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Snake Holeさんのレビュー一覧

投稿者:Snake Hole

33 件中 31 件~ 33 件を表示

紙の本虹よ、冒瀆の虹よ 上

2001/12/04 08:42

生きるに善も悪もない

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 いつもながらこのヒトの小説は「読んだ」というより「読まされた」みたいな読後感を残す。左右の頬を交互にひっぱたかれまくったなぁ,というところか,でもそれが不快ぢゃない。
 物語はこんな感じだ。主人公「真昼の銀次」は,暗黒街を二分するヤクザ組織の双方のオヤダマを殺し,足を洗ったかつての弟分を頼って海辺の街へ逃げて来る。
 その弟分のマコトは,ろうあ者の女房と5歳の娘花子を抱えて漁師をやっているが,実際には堅気の生活に行き詰まっている。マコトは銀次を廃屋となった電波塔のてっぺんにかくまい,潜伏中に刺青を入れることを強く勧める。この土地には「彫り龍」と異名を取った名人が引退して住んでいるのだ。この名人によって背中の刺青 (題材はなんと「虹」である…これが題名の由来でもある) に色が入るたび,銀次の「悪漢」としてのアイデンティティが崩壊して行く…。
 ストーリー上決定的な意味を持つ音楽にマタイの受難曲を使っているせいか,銀次=キリスト,マコト=ユダという図式の,師弟の愛憎の物語,という印象が強い。「悪為すモノ」としての銀次の自己分析的思弁が,死に神や仮面,塔やクロツグミ,亀といった生物や無生物,幻影などに投影され,生きるに善も悪もあるものか,神などいない,いや神がいるとすればそれはお前自身ではないのか,と問い続けるヘビーな描写は,しかし美しい。この種の,このヒトしか書けないであろう文章が,どうにもクセになるんだよね,読みつけると。

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紙の本漫才作者秋田実

2001/11/24 15:53

知らん間に漫才作者になってしまった笑いの天才

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 昭和初期,上方漫才が現在の形になる揺籃期の傑作に,エンタツ・アチャコの「早慶戦」というのがあった。とゆーとまるでオレがえらい詳しいみたいだが,名前を知ってただけ。…海の向こうの似たような話芸,アボット・コステロの傑作がやはり野球ネタの「Who's on first? (誰が一塁?)」(実をいうとこれはちゃんと収録されているCDを持っている)なのと妙な符合であるなぁ,と思っていたんだけどね。この本は,その「早慶戦」を初めとする数多のしゃべくり漫才を書いた「漫才の育ての親」,秋田實の評伝である。
 文字で漫才を読むと言うのは同じ話芸である落語を文字で読むのと同様,いやそれ以上にまどろっこしい行為なんだが,一応その「早慶戦」も全文収録されている。なるほどこういう話だったんか,と思いましたね,それだけでも捨てられない資料的価値があるぞ,この本は。
 いやそれにしても,昭和初期,旧制大阪高等学校を出て東京帝国大学に進学,そこで社会主義の活動家になった秋田實が,大阪朝日新聞記者の白石凡の紹介で横山エンタツに逢い,当人の言葉を借りれば「知らん間に漫才作者に」なってしまうまでの経緯は大変興味深かった。
 なんてのか,ジャンルを問わず新しいモノが産まれるその時に立ち合っているその興奮が富岡多恵子(もともとは詩人なんだよな,このおばはんは)の筆致で鮮やかに浮かび上がる。面白い本でありました。…とこれだけぢゃあんまりなので,「早慶戦」からちょっと引用しよか。
 アチャコ:あの時に山下が盗塁したやろ?
 エンタツ:盗塁をねぇ。
 アチャコ:はぁ,滑り込んだがな。
 エンタツ:レフトへ!
 アチャコ:なんでレフトに滑りこむのやな?
 エンタツ:いや,そこんとこ君,いうけどね。そこらが野球の作戦でっせ。
……どっかにCDないかなぁ?

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紙の本陋巷に在り 12 聖の巻

2001/11/22 10:09

こりゃ完結するまで死ねないぞ

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 おお,待ちかねたぞ12巻,ようやく話が急展開。孔子の三都毀壊の策はようやくその最終段階である「成城破壊」にたどりつく。しかしこの城は孔子の意図を疑う孟孫家の忠臣,公斂處父によって堅く守られ,のみならず孔子に敵対する少生卯の部下悪悦の企みにより成兵2,000が孔子の生地,尼丘を襲う。太長老が逝き子蓉が逝き,顔儒はわずかを残して崩壊する。
 故郷の瓦解に苦悩する孔子,顔回,生き残った悪悦とかつて太長老の放った犬に襲われた傷の癒えた少生卯が次に巡らす陰謀は何か。また少生卯,悪悦をしのぐ力で周囲を恐れさせていた子蓉の美しい死に様になにかを感じたらしい彡一の今後は? と,また来年の今頃が気の遠くなるほど待ち遠しいのであった。
 いやしかし長いよねぇ。確か話の最初は孔子が魯の大司冠になったあたりだったと思う。つまり単行本12巻を費やしてまだ3年経過していないのである (孔子がこの職にあったのは紀元前500〜497のたった3年間) 。酒見さん,この物語をどこまで書くつもりなのだろうか。孔子の大司冠時代のみを描いて終わりであるならそれでも半分は過ぎたろうが,もし「春秋」の終わりまで書くとかいうと,ハナシはまだ序の口の唇にくっついた海苔のかけらほどしか進んでないことになる。月刊誌 (小説新潮) 連載で,だいたい単行本が年に一冊のペースだから……,うーん,酒見さん長生きしてくれなくちゃ (って,こうなると読んでるこっちもご同様である) 。

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