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    体が硬い人のための柔軟講座 (NHKテキスト 趣味どきっ!)

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    中野 ジェームズ修一 (講師),日本放送協会 (編集),NHK出版 (編集)

    5つ星のうち 4.0 レビュー詳細を見る

marekuroさんのレビュー一覧

投稿者:marekuro

90 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

雪のひとひら

紙の本雪のひとひら

2009/11/03 00:40

札幌より今年初雪を記念して

14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書のストーリーを一言で表現すると

ごくごく平凡な女性の一生を雪のひとひらに例えた話

と表現出来ると思います。

ですが、非常に美しい文章、そして美しい挿絵

そして生命の、人生の肯定感に満ちた作品です。

ギャリコの作品の中でも1位2位を争う短い作品。

ですから、そのストーリーを詳しく説明するのは

この作品の場合、ルール違反でしょう。

文庫はリーズナブルな値段で入手可能です

可能なら手にとってもらって読んでいただきたい。

本気でそう思う作品でした。

評者自身の話で申し訳ありませんが

評者は以前にターミナルケアの病棟に勤めていた
事があります。

そこで出会った女性が、人生の最後の時間を過ごした
ベットの上で本作品を何度も何度も読み返していました。

評者自身もその方から勧められ手にとった経過がありました。

彼女が繰り返し読んでいた部分を引用します。

      いかなる理由があって、この身は生まれ、地上に送られ、
      喜びかつ悲しみ、ある時は幸いを、ある時は憂いを味わ
      ったりしたのか。
      (中略)
      こうして死すべくして生まれ、無に還るべくして長らえるに
      過ぎないとすれば、感覚とは、正義とは、また美とは、
      はたして何ほどの意味を持つのか?

      (p134)


      
      彼女の生涯はつつましいものでした。この身はささやかな
      雪のひとひらにすぎず、片時もそれ以上のものであったり、
      それ以上を望んだりしたことはありませんでした。
      けれども、こうしてふりかえってみると、彼女は終始役に立
      つものであり、その目的を果たすために必要とされるところ
      に、つねに居合わせていたわけでした。
      (中略)
      生まれ落ちてこのかた、彼女の身に起こったあらゆることど
      もの裏には、何とまあ思慮深くも周到な、えもいわれず美しく
      こまやかで親身な見取り図がひそんでいたものでしょう。
      いまにして彼女は知りました、この身は、片時も、造り主にわす
      れられたり見放されたりしてはいなかったのです。
      (p141-142)

そして、彼女は「私は平凡だけど次につなげることができた」
とおっしゃっていた事が多かったように記憶しています。
彼女の言う「次につなげることができた」というのは
何を意味するのか、色々と解釈はできますが
はっきりとした事はわかりません。

残念ながら彼女とは短い期間のお付き合いしかできませんでしたが
本書の存在があったせいもあり、強く記憶に残っている次第です。
時々、本書を読み返しては今は亡き彼女を思い出します。

人と人の出会いの不思議、そして本を介した出会いの不思議
そして改めて本の素晴らしさを感じます。


引用部分を見ていただけばご理解いただけると思いますが
信仰がある登場人物の様子が描かれています
信仰というと遠慮がちになりがちな評者ですが
この作品には”信仰”という言葉からイメージされやすい
マイナス部分は感じませんでした。
評者はその点に敏感なのですが、すごく自然に読めました。

所々、造り主という単語は出てきますが
評者自身は「自分の理解を越えた存在」位に解釈して
読み進めました。

また、中にはこの作品で表現される、ゆきのひとひらが
あまりに固定的な性別役割を割り当てられていると
不快になる方もいるかもしれません。(実際友人にいました)
ですが、この作品のコンテキストを読むとそのよう点に不快になる
必要はないと思います。時代背景の違いは仕方がありません。
1897年生まれで、すでに故人となられている作者に現在の
価値観を押し付けて解釈するのもどうかなという思いもあります。

札幌は今、窓を開けると雪がちらついています。今年初雪です。
今まさに手の平に落ちたこの、ゆきのひとひらにも
生まれ落ちた理由があり
太陽や地球や人間と何ら変わらない大宇宙の一部だと
考えるとちょっと不思議な気分になるのと共に
自然、そして生命に対してある種の畏敬の念を覚えます。

ちょうど雪が降り始めるこの時期に、自然や生命、そして運命
などという深遠な事を考えるのに良い作品かもしれません。
もちろん純粋にストーリーを楽しむにも良い作品です。

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紙の本

ドラえもん 1

紙の本ドラえもん 1

2010/01/24 22:16

親子でドラえもん

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

言わずと知れた名作、ドラえもんである。
ストーリーは説明するまでもないだろう。
自分も子供の頃はドラえもんに夢中だった。

そんなドラえもんに夢中だった自分も大人になり
いつしか人の子の親になっていた。

最近になって子供がテレビ版のドラえもんを見るようになった。
自然、我が家ではテレビにDVDにドラえもんが映っている事が
多くなっている。

先にも述べたが、自分も幼少期よりドラえもんに親しんできた。
今のドラえもんの声が大山のぶ代さんではないことに違和感を
感じつつも、やはり子供に付き合って目に耳にする機会が多く
なってきた。ドラえもん再入門状態である。

ドラえもんは国民的アニメと称されることがある。
親子2代に渡ってお世話になっている事から考えても
やはり、国民的アニメなのだろう。

ところで、2009年7月より藤子不二雄全集が発売開始になった。
ドラえもんはもちろんの事、藤子不二雄作品に影響を受け育ってきた
自分は、この全集を記念に購入しようかと思ったが、ふと思い返すと
自分が幼少期~少年時代に近所の小さい小さい個人経営の本屋さんで
親にせがんで買ってもらった、あるいは、おこづかいを握りしめて買いに
行った本は、このてんとう虫コミックス版のドラえもんだった。

このドラえもんシリーズ。一度は全巻そろえていたものの、長い年月を経て
引越しの度に、ひとつまたひとつと紛失していき、気づけば本棚には
ボロボロになった、てんとう虫コミックス版ドラえもんが数冊残っているだけに
なっていた。

先にも述べたが、ドラえもんを見て育ってきた感のある自分は、本棚に残った
数冊のドラえもんを見ている内になんだか寂しくなってきた。
それは、幼少期~少年時代が年月と共に遠くなっていき、忘れられていく事と
コミックスが欠けている事を重ねたからなのかもしれない。
いずれにしても、いい大人になった自分がドラえもんのコミックスをきっかけに
感傷的になっているさまが少々滑稽に感じられた。

しかしだ。その一方で「大人には大人の買い方があるじゃないか!」と
妙な蛮勇を奮い立たせている自分もいたわけで、思い立ったその数日後には
妻の顔色をうかがう…前に全巻を注文してしまった。

そんな訳で届いたドラえもん全45巻を妻の視線を気にしつつも、ご満悦
で眺めながら、さっそく第1巻を手にしてみた。
奥付を見ると初版は1974年とある。あらためて歴史を感じた一瞬だった。

長い年月を経て再読した感想は
・教育的な要素が入りつつファンタジーと子ども向けのギャグがバランスよく
 混ざっている
というものだった。
それは「走れ!タケウマ」で登場する秘密道具の「ウマタケ」や
「一生に一度は百点を・・・」で登場する秘密道具の「コンピューターペンシル」
の使い方をめぐる、のび太の葛藤と選択に色濃く表れている。それは
のび太が22世紀の便利な道具を用いて、うまく事をなしとげる誘惑に
惑わされつつも、最後は失敗しつつも自力で頑張り抜く姿が印象的だ。
また、SFギャグ漫画だと思い気を抜きながら読んでいると思わぬ名言に
遭遇するから気が抜けない。どのような名言が飛び出てくるかについては
inbookというサービスに@marekuroとしてドラえもんの
名言をいくつか投稿しているので参照してみてほしい。

なお、一部では不評も多いこの漫画。特にのび太がドラえもんに依存する
姿は海外でのドラえもんの人気がいまひとつなのと関連があるとかないとか
という話を聞いたことがある。その他にもジャイアンのいじめる姿が槍玉に
あがったこともあった。はっきりと「子供を堕落させる」と言っている人を見た
事もある。
しかし、自分はそうは思わない。
本作の中では不器用ながらに一進一退しつつ成長しようとする少年(のび太)
の姿と、同じく不器用ながらに一進一退しつつ、のび太を支援しようとしている
ドラえもんの姿がある。
その双方向性の支援のあり方は、友人というもののあり方をあますことなく
表現してくれていると言っても過言ではない。そして、のび太をとりまく友人ら
(ジャイアン、スネ夫、しずかちゃん)の関係も、綺麗事を抜きにした現実の
社会のいくらかを表していると思う。
子どもにとって良い意味でも悪い意味でも学ぶ所は多いであろう。

自分は少年時代にドラえもんに想像する事の楽しさを育ませてもらい、今は
大人として、親としてドラえもんの世界を子どもと共に楽しませてもらっている。
子供とドラえもんの事を話すという、この上なく楽しい時間と共に、想像すること
という、この上ない秘密道具を与えてくれたドラえもんに感謝の念は絶えない。

いつまでもいつまでも、受け継いでいってほしい作品である。

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紙の本

家を借りたくなったら

紙の本家を借りたくなったら

2010/07/29 23:15

の時、これを読んでいたら・・・。

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者による前作
家を買いたくなったら
が良書だったので本書も買い求めました。

本書においても著者の語り口は非常に穏やかで
安心して読み進める事が出来ます。

基本的な事はしっかりと網羅されており
かつ丁寧に解説されていますが
「○○しなさい」や「○○すべき」といった
断定的な表現はほとんど見られず、むしろ
「○○と言われているが○○という選択肢もある」
的な書き方をされています。



以下、目次
**********************************************
第1章 「部屋探し」を始める前に
第2章 不動産屋さんを訪ねてみよう
第3章 内見・下見のチェックポイント
第4章 こだわり派の賃貸物件
第5章 契約を交わす
第6章 住みはじめてからの注意点
第7章 退室にまつわる法律知識
※詳細略
**********************************************

以上のように
部屋探し~入居~退室
までの一連の流れが網羅されています。

各章ごとに大切なポイントが網羅されており
普通に家を借りる分には、特定の場合を除いて
本書一冊で事足りるのではないでしょうか?

上記の特定の場合というのは、いわゆる退去時の
トラブル等が該当すると思います。

その点に関しても本書で触れられていますが
よほどトラブルがこじれた時は他書、あるいは
専門家を頼った方が無難だとは思います。

個人的な話で申し訳ありませんが
以前に住んでいた賃貸マンションの退去時に
大家と、いわゆる現状回復に関してトラブルになった
事があります。

専門家ではないので、断定は避けたいのですが
いわゆる現状回復義務というのに経年劣化の分は
含まれないはずなのですが、トラブルになった際に
大家の言い分としては
「人様の物を使って汚したら新品で返すのが道理だ」
と言いフルリフォーム分の代金を請求してきました。
1Rとはいえ、水周りを含めたフルリフォーム分の
代金は結構な額であり面食らったのを記憶しています。

当時、大学を出たてで若かったのですが
なんだかものすごい違和感を感じて、色々と手を尽くして
情報を集め、宅建協会、その他相談機関などにも出向き
とっても怖い人相の不動産屋さん(兼管理会社)と
これまたとっても怖い人相の大家さんを相手に話し合いを
続けめでたく(?)1円も払うことなく退去できました。

あの時の胃の痛くなるような日々はなんだったのか・・・。

結果的には良い経験になったと思うようにしているのですが
あの時に、あるいは家を借りる前に本書を読んでいたら
(だいぶ昔なのでまだ発売してませんが)
事はかなりスムーズだったろうなと思います。

今時の不動産屋さんや大家さんを相手に評者のような
経験をする人も少ないとは思いますが・・・。
転ばぬ先の杖とも言いますので、賃貸住宅に住んでいるけど
詳しいことは全く知らないという人や
これから家を借りようとしている人におすすめしたい
一冊です。

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紙の本

猫 クラフト・エヴィング商會プレゼンツ

今も昔も猫を愛でる人は変わらないという事がわかった。猫好きにはたまらないエッセイ。

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は本屋で偶然見つけました。
タイトルも直球で「猫」です。
猫好きで本好きの自分は思わず手に取って
しまいました。

内容はというと
有名な作家が猫について書いたエッセイです。
いや。本書の雰囲気を正確に伝えるならエッセイと言うより
「随筆」と表現した方がいいかもしれません。

本書に収録されている随筆の書き手は以下

・有馬頼義
・猪熊弦一郎
・井伏鱒二
・大佛次郎
・尾高京子
・坂西志保
・滝井孝作
・谷崎潤一郎
・壷井栄
・寺田寅彦
・柳田國男

帯には谷崎潤一郎の
「美しくてしなやかで、お上品で、さうかと思ふと
悪魔のやうに残忍である。飼へばきつと面白いにちが
ひありません」
とあります。

この帯にある谷崎潤一郎の一文を見て思ったのですが
なんというか、いまいち理由を説明できませんが
谷崎”らしい"猫のとらえ方だなぁと感じました。
谷崎潤一郎の猫の見方からもわかるように
それぞれの作家がそれぞれのフィルターを通して
猫について語っているのです。
一例を挙げると・・・

井伏鱒二とその飼い猫が、お互いに適度な距離を
もちながら、猫と人間、双方が観察しあって、
じりじりとにじり寄るような場面があります。

あくまで主観ですが、井伏鱒二の作品である
「山椒魚」における山椒魚とカエルのやりとり
に近い雰囲気を感じて、またはるか昔に「山椒魚」
を読了したのちに作者である井伏鱒二に対して
感じた作家に対するイメージのままであった事が
強く印象に残っています。


しかし、本書に目を通す前にひとつ気になったことが
ありました。
というのも本書に収録されている随筆を書いた作家は
すでにこの世の人ではありませんし、その作家の飼って
いた猫はもちろん、この世の猫(?)ではありません。
したがって今日的な猫に対する価値観と違うのではない
かという懸念です。

せっかくの猫エッセイ(随筆)が、あまりにも自分の
価値観と違う記述に満ちていて、がっかりするのでは
ないかと心配した訳です。

そのような杞憂を覚えた理由としては
評者は仕事柄、高齢者と多く接するのですが
どういうわけか、今まで出会った高齢者は
犬猫をひとまとめに「畜生」として扱う方が
多かったからという個人的背景があります。
※偶然だと思いますし、「畜生」として
 扱わない人もたくさんいました。

さすがに随筆に猫の事を書く作家の文章ですから
評者が出会ってきた高齢者のような猫のとらえ方を
する事はないとは思いましたが、それでも一抹の
不安はありました。

しかし、そんな評者のつまらない不安は見事に
一蹴されます。
どの作家も、その猫とのやり取りは

飼っているのか、飼われているのかわからない。

という感じなのです。
今日における猫好きの人間のそれとほとんど
変わらないと言っても過言ではないでしょう。
冷静に距離をとって猫と付き合っているように
見える作家も、結局はマイペースに振る舞う
猫に振り回されている様がなんとも共感できるし
思わず我が身を振り返って笑ってしまいます。

先にも述べましたが、本書で随筆を書いている人も
その随筆に出てくる猫も、すでにこの世の人(猫)
ではありません。
ですが、そのやりとりは今まさに我が家で起こって
いる事と変わりなく、半世紀近い昔に書かれたもの
だとは思えない内容です。
読んでいるうちに時間感覚が麻痺してくるような
随筆を書いている作家が身近な隣人であるような
錯覚を覚えたりもします。

もちろん本文をはじめコンテキストから半世紀以上
前のそれがにじみ出てます。それはそれで歴史を
感じることが出来て大変、興味深い点ではあります。
評者が拙い文章でダラダラと感想を述べた部分は
あくまで猫と人との関わりの箇所に限局したものでは
ありますが、時代は変化しても人と猫との変わらぬ
間柄を感じる事が出来る本書は、多くの猫好きの方に
手に取ってもらいたい一冊です。

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紙の本

Linuxがまるごとわかる本 Ubuntuの導入からカスタマイズ、フリーソフトまで全部解説!

Linuxのムック本。バックナンバー全11冊がPDFで収録されている事からもコストパフォーマンスの高い1冊。この1冊からLinuxに入門してみるのも楽しいかもしれない。付録DVDですぐにLinuxを体験できるしインストールも可能。

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書はLinuxの入門書的なムックです。
※Linuxってなに?という方はこちら
リンク先を見ていただいて感じたと思いますが
今まで全くLinuxに縁のなかった人には意味不明な用語の羅列だと思います。

このLinuxに関してほとんど予備知識のない方にざっくりと、そして
かなり乱暴に説明するなら、無料で使えるOSという事になるでしょう。
※厳密に言うならLinuxとはOSの基盤となる中核ソフトウェア「カーネル」
のみをさす言葉です。

OSというのはwindowsだったりmacが有名ですがLinuxという選択肢もあります。
このLinuxありがたいことに各種アプリケーションも無料です。
オフィスソフトからフォトレタッチソフトまで、MSやadobe製品等々と
機能的にはなんら遜色のないものが初めからバンドルされています。


本書の特徴はLinuxOSのいくつかを、かなり丁寧に詳細に
そのインストール方法からカスタマイズ方法まで語られている事です。
そしてバックナンバー全11冊もPDFで収録されています。

DVDが2枚ついてくるので、いくつかの種類のLinuxに関しては
このDVDから直接パソコンにインストールすることも可能です。

また通称、1CDLinuxと呼ばれる
ものを使って、windowsがインストールされているパソコンでお試し的に
Linux(の好みのディストリビューション)を立ち上がることが可能です。

詳細は各LiveCDの公式サイトにありますが
大体のLiveCDはPCを起動する前にDVDドライブにLinuxのインストール
されたDVDあるいはCDを入れて起動することで立ち上がります。
このLiveCD RAM上で動くためROMを取り出してしまうとデータは
残りません(残す方法もあります)
したがってお試しには最適です。もちろんHDDにインストールされている
windowsにはなんら影響はありません。
その他にも起動しなくなったwindowsのデータをサルベージする時にも
使えるのでとても便利です。

これからLinuxを使ってみたいという方には、まずはこの1冊を購入して
色々といじってみることをおすすめしたいです。
個人的な感想ですが、PCの使用用途がごくごく普通に
インターネット閲覧や文章作成が多い方ならLinuxを使っても
ほとんど問題ないでしょう。
※互換性の問題があるのでいきなり仕事用に使うのはおすすめしません。

バックナンバーの全11冊も目を通すことでマニアックな作業以外は
ほとんどwindowsと変わらないPC環境を構築することも可能だと思います。

正確な年数は忘れてしまいましたが評者は7~8年前からLinuxを使って
います。この書評もubuntuLinuxという種類のOS(ディストリビューション)
を使って書いています。

なぜLinuxに興味をもったのか、詳細は今ではすっかり記憶の彼方
になってしまいましたが、当時使っていたwindows MeがあまりにアレでOSの
再インストールを余儀なくされること数回の後に見切りをつける形で
Linuxに入門したような気がします。

今のLinuxはソフトのインストールもインターネット接続もかなり簡単に
なったのですが、評者が使い始めた時は難解で、情報もあまり多くなく
イライラしながら調べつつ、挫折しつつ取り組みました。
車に例えるならマニュアル車がLinuxでオートマ車がwindowsでしょう。

そしてLinuxに関しては当時から比べると隔世の感があります。
なんせwindowsと同じように数クリックでソフトをインストール出来て
ほとんど面倒な設定をしないでネットに接続出来るようになっているのですから。

しかし、一方で複雑な環境を構築しようと思ったら技術次第ではそれが
可能なのも魅力のひとつでしょう。
ubuntuには最初から開発環境が整っています。

評者が特におすすめしたいディストリビューションは
今現在、使っているubuntuというディストリビューションです。
これはもうwindows並の使いやすさです。1CDにも対応しています。
無料でDLでき(本書はDVDに収録されています)インストールも簡単です。
5年くらい前の非力なPCでも問題なく動作します。
ちなみに評者がubuntuを入れているPCは
CPU celeron D 2,8Ghlz RAM 512M HDD 80G
です。 もはや店頭では見かけない程の低スペックマシンです。

もうひとつのおすすめは
["Puppy Linux","http://openlab.ring.gr.jp/puppylinux/"]
というディストリビューションです。
このPuppy Linuxの特徴はとにかく軽い事。
インストール容量が50M前後だということからも軽さが理解出来ると思います。
ちなみにXPだと1G少々は使います。XPと比較しても格段に軽いです。
とても軽いOSのため、10年以上前の化石のようなPCにもインストールできます。

ちなみに評者はこのPuppyをwindows98のインストールされていたノートPCに
インストールして現役使用中です。動作も全く問題ありません。
押入れに眠っている化石のようなPCを再利用することが出来るのです。

現在Puppyを入れて使用中のマシンスペックはCPUセレロン400Mhz 
RAM128M HDD10Gと現在店頭に置いてあるPCの処理能力と比較
すると比べ物にならないくらい非力です。
しかしネット閲覧、文章作成程度ならほとんど問題らしい問題もなく使えています。
※さすがに動画編集などのマシンスペックを求める作業には向きません。

このPuppyLinuxも本書のDVDに収録されています。
もし、押入れの中に使わなくなった化石のようなPCがあるのでしたら
導入をおすすめしたいです。

windowsのバージョンアップやサポート期限等々に一喜一憂するのも
楽しいですが、Linuxの世界ものぞいてみませんか?
きっとお金の節約以上に様々なわくわくする事に出会えると思います。
そして何よりパソコンに触れることが今までより楽しくなります。
そのために本書が最初の道標になってくれると思うので
少しでもLinuxに興味を持った方にはおすすめしたい1冊です。

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紙の本

福本伸行人生を逆転する名言集 覚醒と不屈の言葉たち

現実は直視しにくい

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、ギャンブルを題材としたマンガで有名な
福本伸行氏の著作から、名(迷?)言を集めたものである。

評者自身はギャンブルをするわけでもなく
福本伸行氏の著作が特に好きな訳でもない。

代表作である「カイジ」や「アカギ」「最強伝説 黒沢」
を読んだ程度である。

本書を書店で何気なく手に取って、1ページ目にある
強烈な一文が気になった。

その強烈な一文とは
   
     勝たなきゃダメだ・・・
     勝たなきゃ悲惨がむしろ当たり前!
     勝たなきゃ誰かの養分・・・!

というもの。
文章だけ見ると、平凡極まりないが
決して外人にはウケないような癖のある独特な絵と共に
上記の引用部分を見ると、妙に説得力がある。

評者の仕事は福祉専門職である。
色々な現場があり、色々な考え方があると思うが
福祉はどうしても「みんな平等」とか、ちょっと前に流行った
歌のように「No.1じゃなくオンリーワン」を目指す的な雰囲気がある。
※もちろん、全てに当てはまるわけではない。


それはそれで良いことなのだが、働いている中で
上記とは相容れない場面に遭遇する事もしばしばだ。
それは組織の中で感じる場合もあれば、援助を必要としている
人たち(ケース)との関わりで感じる場合もある。
”厳しい現実”と言い換えても良いかもしれない。

そんな時、キレイ事の無力さを味わうことになる。
いわゆる、理想と現実の矛盾である。その矛盾を抱えるが故の
強さも、もちろんあるが・・・
その強さの前提には、現実をしっかりと直視する
ということが欠かせない。

本書は、その「現実」の部分を若干、誇張した上で、嫌というほど
主張してくれている。

もちろん、この「現実」の部分は、福祉分野だけに限定したもの
ではなく、広く一般に照らし合わせて解釈することが可能だろう。

本書の名言をいくつか引用する。

      30になろうと40になろうと奴らは言い続ける・・・!
      自分の人生の本番はまだ先なんだと・・・!
      「本当のオレ」を使ってないから
      今はこの程度なのだと・・・
      そう飽きず、言い続け 結局は老い・・・死ぬっ・・・!
      その間際、いやでも気がつくだろう・・・
      今まで生きてきたすべてが
      丸ごと「本物」だったことを・・・!
      (p16)


      ここぞという時・・・
      そんな急所・・・
      悪魔はみな優しいのだっ・・・!
      何故それに気づかない・・・?
      (p30)

      一生迷ってろ
      そして失い続けるんだ・・・・・
      貴重な機会を・・・・・!
      (p40)


      教えたる
      正しさとは つごうや・・・
      ある者たちの都合にすぎへん・・・!
      正しさをふりかざす奴は・・・
      それは   ただ
      おどれの都合を声高に主張しているだけや
      (p50)

      本当の悪党っていうのは
      もっと巧妙にピンハネするものなのさ
      多分されてる方はそれをピンハネと気づきもしねぇ
      大抵は呼び名を変えてあるしな・・・
      税金がそうだろうし 企業の給料 銀行の金利・・・
      人間が集まれば蜜は自然に湧いてくる・・・
      大切なのは蜜ではなく
      それを受け取る皿の方だ・・・
      甘い蜜は受け皿(システム)を用意した者の手に渡る
      (p58)

      人のスキをつけ・・・!
      欲望が飽和点に達した時
      人の注意力はもろくも飛散する・・・!
      そこを撃て・・・!
      (p132)



こうやってランダムに引用すると、
これらのセリフの引用元はギャンブルマンガだと
言うことをあまり感じさせない。
どの分野に当てはめても、ある程度の普遍性を
もったセリフであるように感じる。

福本氏はギャンブルマンガの中に
人生を描いているのだと思った。

引用こそしなかったが、名言として掲載された
ものの中には、福祉的にちょっと・・・
というものもあるには、あった。

しかし、評者にとっては”だからこそ”
刮目して見た箇所でもある。
自分の専門分野に入り込んで
安全圏からしか、ものを考えなくなるのは
視野が狭まってしまう。

一方で、この本にあるような世界観だけで
全て事が運ぶ訳ではない事にも留意したい。

本書に引用されている名言達は、元々が
漫画の中でのセリフである。

当然、ストーリーを盛り上げるために
誇張して書かれたセリフもあるだろう。

それが故なのか、あまりに厳しすぎるのだ。
中には、  失敗=死
という図式をにおわす名言(?)もあった。

福祉系の評者としては、もう少し
安心とか優しさとか、見る人が見たら
生ぬるいと感じるようなセリフも欲しかった。

言い換えるなら、ハード面だけではない
セーフティーネットを意識したセリフである。
※福本氏の漫画の中にもそういうセリフはある。

本書を読む場合には、厳しさと安心との
さじ加減が大切になるだろう。
それを自己調節できない状態で本書を読むのは
怪我のもとかもしれない。

個人的には、心身共に順調で
自分自身を奮い立たせたい時などに
カンフル剤的に本書を読むのが良いと思う。

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紙の本

秘境駅へ行こう!

紙の本秘境駅へ行こう!

2009/11/15 00:07

秘境駅へ行ってみた。

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書はその道の人には有名なウェブサイト
  秘境駅へ行こう
の書籍化です。

実は評者は全く鉄道の世界に興味はありません。
※今もあまり興味ない
しかし、付き合いの長い古い友人が病的な”鉄ちゃん”
だったこともあり、その友人に渡されました。

なかば押し付けられるように読んだ本書。

ですが、当たりでした。

本書の内容は、タイトルが表すとおり
日本中の秘境駅を尋ね歩いた著者の
記録です。

普通に生活していたら、おそらく
一生縁がないであろうと思われる
辺鄙な場所にある駅たち。

例えばそこは
既に使われなくなっているような駅だったり
どうしてそうなった?と思うような地形にある駅だったり
各駅停車の汽車が1日に1回位しか停まらないであろう
駅だったりします。
それはそれは、見事に読む人の”駅”の常識を打ち破ってくれる
ものばかりです。

読了後の感想は、よくぞこれだけ日本中の秘境駅を
歩き回ったものだの一言に尽きます。
とてもとても自分には真似できません。

そして、秘境のような場所にある駅を
書いた本書は読書を通じてとっても素敵な
非日常を自分に提供してくれました。

と、ここで書評を終えるなら初めから書評を
書くことはしなかったのですが
この本で秘境駅No1に認定されている
室蘭本線の小幌駅に行くことになってしまったのです。

もちろん言い出したのは先に書いた友人。
本書を大絶賛した手前
何となく断れなくなって、普段は乗らない汽車にのり
小幌駅へ行ってきました。そしてあろうことか
1泊の野宿までしたのです。

一日に朝と夕方に1回ずつ汽車が停まる小幌駅。
夕方に訪れ、ホームから崖を降り、崖下の海岸で
野宿。まるで日本にいるような気がしませんでした。
そして、生きた心地もしませんでした。

それなりな準備をしてたからよかったものの・・・

それにしても秘境とはよく言ったもので、その名の
通りの場所でした。
なぜ、そんな場所に駅があるのかについては
本書を読むことで謎がとけます。

話は変わりますが、ビジネス書で有名な経済評論家の
勝間和代氏は著作の中で
「本は読むだけではだめで、何か一つでも実行に移すことに意義がある」
というような主張をされていたような気がします。
まぁ色々と賛否両論ある方でしょうけど、上で言っている
事に限定して考えるなら正論だと思います。

評者はビジネス書ではなく、一部のマニアのための本で
勝間氏の提言を実行する事になったのです。

結論としては、めったに出来ない貴重な経験をした
というところでしょうか。
そして勝間氏ではありませんが
実行してみる事の効果も感じました。

普段、自分が読まないジャンルの本を読む楽しさ。
そして、そのような本に書かれている事を実行に
移すことによって得られる、自分にとっての非日常。
自分の世界観の広がり。本を介した人と人のつながり。
そして本の持つ可能性やチカラ。

文章にしてしまうと、なんとも陳腐な言いまわしですが
確かに実感した次第です。

なお、本書を立ち読み感覚で覗いてみたい方は
タイトルで検索をかけると、書籍の内容そのままの
ウェブサイトがヒットします。

そして、本書の楽しみ方ですが
自分の住んでいる地域の秘境駅を探したり
自分が知っている地域の秘境駅を探したり
自分が実際にその場に行ってみたり(あまりおすすめしません)
等があるのではないかと思います。

自分の知らない秘境駅の記事も
大変興味深く読むことが出来ました。

ジャンルが独特でもあるため声高に
誰にでもおすすめできる本ではありませんが
ちょっとした非日常を感じたい方には
そっとおすすめしたい1冊です。

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紙の本

もっと秘境駅へ行こう!

紙の本もっと秘境駅へ行こう!

2010/03/23 01:35

あぁ秘境駅。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前作「秘境駅へ行こう」の続編です。
先に断っておきますが評者は鉄道オタク
いわゆる「鉄ちゃん」ではありません。
正直言うと、列車の型番や時刻表を覚えて
何が楽しいのかわかりません。理解に苦しみます。

ただ、長い付き合いの年上の友人が
「病気」いや「ビョーキ」と表現しても
差し支えのない「鉄ちゃん」なのです。
前回もその友人に本書を渡され、挙句は
現地にまで連れて行かれました。
その友人から渡された前作
が結構楽しかったので、続編の本作は自分で
購入してみました。

なお、前作、本作ともに
秘境駅へ行こう
というサイトの書籍化です。
ほぼ同じ内容の文章が上記リンク先で読めます。

前作の書評において、北海道で一番理解に苦しむ
場所に設置された小幌駅
に野宿した(させられた)事を書かせていただきました。
リンク先を見ていただけるとわかると思いますが
とんでもない場所です。死ぬかと思いました。

で、前置きが長くなりましたが
続編である本作においても、前作と同様に
「どうしてこうなった??」
的な場所に建てられた駅のオンパレード。
北は北海道の西女満別駅から南は薩摩塩屋駅まで
かなり一癖も二癖もある駅たちが紹介されています。

以下、目次から抜粋

旅1 「海」へと続く駅
旅2 川を「独り占め」できる駅
旅3 駅旅のついでに「温泉」で入浴
旅4 古い駅舎が歴史を語る駅
旅5 駅が秘境になるまでの物語
旅6 「町から至近」の秘境駅
旅7 日本の「広さ」を感じる駅
旅8 ちょっと変わった駅を探検に

となっており、本作と前作の違いを挙げるなら
本作は前作のように北から南と順に書いていくの
ではなく、テーマごとに書かれている事でしょう。
個人的には「旅4」と「旅5」が秘境駅の歴史的
な流れを丁寧に書かれていて興味深く読ませていただき
ました。
「旅3」の温泉も風情があって良い感じです。
「旅2」の川と駅の関係も、なるほどと思う記述が
たくさんありました。

掲載されている駅はどれもこれも国鉄時代のなごりの
ような駅だったり昔は栄えてた地方都市から比較的
近い町村が過疎化してしまい、結果として秘境駅に
なったというものが目立ちます。

秘境というからには当然、無人駅です。
無人駅というのは端から見ると、とっても不気味です。
ですが、その不気味さというか不思議さ、秘境駅の
建っている空間だけが時間においていかれたような感覚。
かつては人の生活のにおいが感じられた箇所が現在では人
の気配すら感じることができない事の不思議。
そして、その空間に対する恐怖心と憧れと、ある種の
畏敬の念。それらの入り混じったものが秘境駅マニアの心
をくすぐるようです。
その点に関しては評者も本書を読むことで感じたこと
でもありますし、本という媒体を通してなら充分に
楽しめることでもあります。

正直、前回の小幌駅での野宿で心身共に疲れ果て
ド田舎というのは憧憬の眼差しで眺めるだけにする
のが無難である。
という教訓を得た自分は、次は何があっても秘境駅
などというおぞましい場所へは行かないと決意
していたのですが・・・

色々あって、やっぱり今回も連れて行かれました・・・

大狩部駅

本書だと26頁~30頁に詳細が記述されています。
実はこの頁を読んでいて比較的、近場にある事から「
危ないかも・・」と思っていたのです。

友人がいつもより厚着で色々と荷物を持って
我が家にやってきたのを見たときには
「やっぱり・・」と思いました。

本書27頁には大狩部駅へ訪問した著者の印象が
 
   ひゅ~~~~~~~~~
   (27p)
とありましたが、まさにその通り。
当日は、ひゅ~~~~~~ ではなく
ビュ~~~ゴゴォ~~~~~ざっぶ~ん!!!!
という感じでしたが。

駅と海と重い色をした空と強風しかありません。
唯一ある建物の待合室などむき出しのブロック
で作られていて、昔の石炭小屋のようです。
著者が本書で記述している事、そのまんまの世界。
友人と二人、無言で2時間、過ごしました。
※今回は2時間で退散
バカらしいと思いつつも、秘境駅めぐりが
どこか楽しいと思っている自分を発見して
嫌になります。

ですが、前作、本作共に大変面白い内容です。
繰り返しの代わり映えのしない日常に嫌気を感じた
時などは、ちょっと荒療法的ではありますが
良い気分転換になります。
毎日目を通すような類の書籍ではありませんが
時々、無性に読み返したくなる一冊でもあります。

前作の書評で

  ジャンルが独特でもあるため声高に
  誰にでもおすすめできる本ではありませんが
  ちょっとした非日常を感じたい方には
  そっとおすすめしたい1冊です。

などと書きましたが、本作では
上記の推薦文に加えて体験談として

とっても嫌なことがあって、例えば生きていく事が
辛いと感じたり、対人ストレスに苛まされて
誰もいない場所へ行きたい!一人になりたい!
と思うなら、その時は本書をひも解くことで
ある種の悟りを得ることが出来る・・かもしれない。

と付け足したいと思います。

実際、自分は何もない大狩部駅で2時間滞在した際
「生きているって良い事なのかもしれない」
「対人ストレスっていうけど、誰もいないよりまし」
と湧き上がるように想いが、こみ上げてきました。


自分の価値観の一側面に強く揺さぶりかけてくる
本書は前作同様やっぱり、そっとおすすめしたい
1冊です。

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紙の本

ルドルフとイッパイアッテナ

紙の本ルドルフとイッパイアッテナ

2009/10/25 05:40

初のジャケ買い。楽しいと教育的のバランスが優れている作品。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

目的もなく書店を歩き、ふと目にとまった本書。

赤い表紙に、ふてぶてしい顔をした黒猫の絵が描かれている。

いつもは通り過ぎる児童書コーナーにあったが

何気に手に取ってみた。

自分は猫が好きで、特に黒猫が大好きだという事もあり

”はじめに”も"目次”も”あと書き”も”第◯刷”かも確認せずに購入。

もちろん作者も確認していない。

完全に本のジャケ買いである。


しかし、大当たりだった。


ストーリーに関しては他のレビュアーの方も書かれているように

とある街で飼い猫として何不自由なく、それでいて自由気ままに

暮らしていた少年猫ルドルフの出会いと別れと学習と仇討ちを盛り込んだ成長物語。

そんなルドルフは、生まれ育った街でのある出来事によって長距離トラックの荷台に乗って東京に出てしまう。もちろん帰る方法など知るよしもない。

そんな経緯から、東京で野良デビューを果たしたルドルフは、いきなり現地でボス猫と出会う。表題にもある、この物語の重要登場人(猫)物のイッパイアッテナである。

世間知らずなルドルフは、ボス猫のイッパイアッテナに対する先入観がない。

それ故にかわいがられる事となる。そしていつしか兄弟であり師弟であり友人として

お互いが認め合う関係になり共に様々な出来事を乗り越えていく。

そんなお話である。こう書いてしまうと幾分味気ない感じもするが
誤解を恐れずに書評を続けると

このお話の魅力は表題にもあるルドルフとイッパイアッテナ。この2匹の魅力的な人(猫)物像にある。もちろん他の登場人(猫)物も十分に魅力的であり、さらに登場人(猫)物が読者の周りにいる人に置き換えて見れる点にある。そしてストーリーも秀逸である。
ルドルフとイッパイアッテナの関わり。そしてタイプこそ違えど2匹ともすごく気持ちの良いキャラクターであり、お互いを高めあっている。言い換えれば理想的な友情と師弟関係が同時に描かれている事が魅力の要因として大きいのではないだろうか。繰り返すがストーリー自体も面白い。

私個人の話で申し訳ないが、私はイッパイアッテナの大ファンだ。
強面だけど義理・人情に厚く面倒見がいい。彼の存在がなければ本書はなりたたないだろう。ビジネス書的に言うならイッパイアッテナは見事にルドルフをコーチングしている。

批判を恐れずに本書をコーチングの本として、あえて誤読してみたら

読了後、ふと私自身にとってイッパイアッテナにあたる人は誰なんだろう・・・?と考えたり
私自身が誰かにとってのイッパイアッテナになりえているだろうか・・・?
等と考えてしまった。

もちろん。純粋にストーリーを楽しむことも忘れてはならない。本書は基本的には不必要な深読みや意図的な誤読は必要ない。まずは純粋に楽しむべきである。

読了後、第一刷発行年度を確認した。
何と1987年の作品である。約20年前だ。

20年前と言えば私は小学生だった。
小学生の時の私はこの作品を知らなかった。

仮に出版当時にこの作品と出会えていたら・・・
きっと今とは違う感想をもったのだろう。
当然、”コーチング”等とは考えなかったはずだ。
いや、考えようがない。小学生なんだから。

言い換えるなら純粋に物語を楽しめたはずだった。
私はその点で大変な機会損失をしている。
その点が実に口惜しいし、悔やまれてならない。
上記が書評を書くモチベーションの源泉となった。

そんな後悔と反省と諸々が入り交じった気持ちから
自分の息子が近い将来タイミングを間違わずに、この本を読めるように
もう1冊購入した。(絶版になる事は無いと思うが)

今、もう1冊の「ルドルフとイッパイアッテナ」は本棚の中で
まだ字も読めない息子が読めるようになる日を待っている。

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紙の本

人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

紙の本人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則

2010/01/18 23:07

日常生活を”支援”という切り口から捉え直すと。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は支援学に関する平易な入門書です。
評者は本書を福祉専門書だと思い購入しました。
確かに福祉の臨床場面でも使えるノウハウは多いのですが
およそ支援という概念が当てはまりそうな所、全般で使える知見に満ちています。
そのような本書の特徴を簡単にまとめると

相手の役に立つこと、そして相手にそう思ってもらえる行為。
これをうまく成し遂げていくにはどのような原理・原則があるのか
支援という言葉の土台にある考え方が整理されている。

と表現可能かと思います。
なお、監訳者あとがきにおいて訳者の金井氏は
本書は以下のような方々におすすめであると書いています。

・ソーシャルワーカーやコンサルタントなどの対人援助職に従事する人
・より若い世代を教育・コーチする立場にある人
・子どもや恋人、配偶者ともっと実りある関係を作りたいと思う人
・支援を受ける立場にいる人。(ex 患者 学生等々)
・プロジェクトリーダー 研究者

このように書き出してみると、誰しもがどれかには必ず該当しそうです。

以下が目次となります。
***************************************************
監訳者序文
まえがき
1)人を助けるとはどういうことか
2)経済と演劇~人間関係における究極のルール
3)成功する支援関係とは?
4)支援の種類
5)控えめな問いかけ~支援関係を築き、維持するための鍵
6)「問いかけ」を活用する
7)チームワークの本質とは?
8)支援するリーダーと組織というクライアント
9)支援関係における7つの原則とコツ
最後に
監訳者解
**************************************************

目次をご覧いただいてもわかるかと思いますが
本書の扱う"支援”は多岐にわたります。
その視点はマクロからミクロまでに及んでいます。

本書のユニークな点を一つ挙げるとしたら、それは
支援を効率よく受ける為の方法に関する記述が、支援を与える為の方法と
同じくらい記述されている事だと思います。

本書では、生活を"支援関係”という切り口から捉え直す試みをしています。
本書の言う支援とは例えばそれは、家族にコーヒーをついでもらうことも支援に
該当します。
気持ちよく支援を受ける技術の必要性とその技法を主張している本書。
支援という行為が双方向性の性質を持っている事に着目すると
効率よく支援を受ける必要性とその技法にページが割かれているのは納得の
いくところです。

評者自身は、本書の内容を仕事において、家庭において使わせてもらっており
その恩恵にあずかっているのですが、その一例をとして
先に述べたような、生活を支援関係という切り口から捉え直すという事によって
今まで当たり前に過ぎ去っていた日常生活における何気ない一場面一場面が新たな
意味を持ち始めた事が挙げられます。

それはあまりに個人的過ぎる事柄なため、これ以上の詳細な記述は控えますが
この様な出来事・感覚を一言で説明するなら「生活の再発見」とでもなるのでしょうけど
仕事において、家庭において”当たり前”を捉え直す視点を得られたということは
得がたい体験でした。

本書は、「はじめに」と「最後に」で同じメッセージを投げかけてきます。
それは「われわれが支援者としてもっと有能になれたら人生はより良いものになる」
というものです。

著者は本書を乳がんを患った妻の介護をしながら書いたそうです。

・最後に
・監訳者あとがき

を読むと、著者であるエドガー・H・シャインの個人的なエピソードが多く
書かれており、それらを読むことで先ほどの
「われわれが支援者としてもっと有能になれたら人生はより良いものになる」
という言葉がより重みを持ちます。
本書のサブタイトルにもなっている「本当の協力関係をつくる7つの原則」
を引用します。なお、これらの原則を支える細かい技法や考え方が本書に書かれており
この7原則を暗記したからどうなるものでもありません。
あくまで参考までに見てみてください。

原則1 与える側も受け入れる側も用意ができているとき、効果的な支援が生じる
原則2 支援関係が公平なものだと見なされたとき、効果的な支援が生まれる
原則3 支援者が適切な支援の役割を果たしているとき、支援は効果的に行われる
原則4 あなたの言動のすべてが、人間関係の将来を決定づける介入である。
原則5 効果的な支援は純粋な問いかけとともに始まる。
原則6 問題を抱えている当事者はクライエントである。
原則7 すべての答えを得ることは出来ない。


本書の主張する、日常生活は支援関係により成り立っているという考えに賛同できるなら誰もが支援者であり、被支援者であります。
より良い支援者・被支援者として生活していくために本書は有益な知見を与えてくれます。

評者のように対人援助職として、支援という言葉が空気のようになってしまい
気に留めることもなくなった人には、改めて仕事を捉え直す、考え直すヒントを得ることが
出来るでしょうし、対人援助職に従事していない方にとっても自らの生活が
双方向性の支援で成り立っている事とその動態、重要性が腑に落ちると思います。
そしてそれは当たり前に流れていた生活を捉え直す良いきっかけになると思います。
多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。



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紙の本

無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法

ビジネス書の女王(?)の代表作を読み直す。

11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

はじめに断っておきますが、評者はいわゆる
「カツマー」ではありません。

評者の言う「カツマー」とは
この本で
ニッコリと笑顔を作って「三毒追放」とプリントされた
シャツを着ているような人たちです。
いわゆる「信者」と呼んでもいい位の人達の事を指します。

では、断る力
などで散々書かれている、2chなどで誹謗中傷を繰り返す
「アンチ」かというと、そうでもありません。

言い換えるなら、ごくごくフラットな立ち位置から
氏の著作を、時に好奇心の目で、時に生暖かい目で
眺めている、ごくごく平凡な読者です。

ネット上で著者の本の書評を探すと
「信者」VS「アンチ」が目立ちます。

表には出てこないけど実際は、「信者」でも「アンチ」
でもない平凡な読者も多いのではないかと思います。

自分の立ち位置を明確にした上で、改めて2007年に出版
されたこの本を書評する理由を述べたいと思います。

理由は簡単で、批判も多いけど、この勉強法が優れている
と思っているからです。
ついでに言うと、著者の著作の中でも一番の出来だと
思っています。

この作品の評価は、ばっさりと2分されています。
理由は色々あるでしょうが、そのひとつには
あまりに拝金主義に見える側面を持ち合わせているから
というものがあるでしょう。
確かに「年収があがると幸せになります」的な記述が
散見されます。
個人的には、もっともだと思うのでこの点に特に批判は
ありません。

この著者の特徴として、某カリスマ経営コンサルタント
と同等か、それ以上に自慢が多く鼻につきます。
それは特に最近の作品になると顕著ですが、本作の頃は
まだ微々たるものでした。

しかし、この作品の優れている点として
勉強をするために必要な事について
5W1Hを踏まえて回答してくれている。という事が
挙げられます。
著者の表現を借りるなら“個別具体的”な記述が
かなりあります。
それは使用するパソコンに関してだったり
ソフトウェアだったりと物に関してすら個別具体的です。
さらに何をどのように勉強するのか?それはなぜか?
についてもかなり細かく言及されます。

残念ながら2年前の本なので、掲載されている情報
自体は古くなっていますし、推奨している道具に関して
も、例えばPCならレッツノートを推奨していますが
現在はもっと安価で耐久性のあるUMPC等があり
選択の幅は広がっています。

ですが、この本に書かれている基本原則は
掲載されている情報が古くなっても色あせないように
思います。

以下は著者の言う勉強の基本的なコツの抜粋です。

 1)基礎を最初に徹底的に学ぶ
 2)先達から、勉強の仕方をしっかりと聞く
 3)学ぶ対象の基本思想を理解する
 4)学んだことを自分の言葉でアウトプットしてみる
 5)勉強をわくわく楽しむ
 (p64)


本書の内容を俯瞰するには目次が最適でしょう。
*****************************************************
【目次】
年収10倍アップ勉強法 基礎編
1なぜ勉強するのか?
2なぜ勉強が続かないのか?
3まずは道具を揃えよう
4勉強の基本的なコツを知る
5目でする勉強 本・新聞・雑誌・ネット
6耳でする勉強 オーディオブック・音声コンテンツダウンロード
7目と耳でする勉強 セミナー・DVD
8学校に行ってみる
9基礎編のまとめ 「勉強の仕組み」を投資しながら組み立てる


年収10倍アップ勉強法 実践篇
10何を勉強すればいいのか?
11英語 めざせ、TOEIC860点
12会計 「さおだけ屋」を超える知識とは?
13IT みんなに頼られるエキスパート
14経済 日本経済の裏を読める
15転職 身に付けたものをお金にしよう
16資産運用 勉強内容が収入に直結する
17さあ、スケジュール帖に予定を入れましょう

あとがき
*******************************************************

残念ながら、タイトルの“年収10倍アップ”というのは
煽り過ぎだと思います。
そして、著者の提案している勉強法もその時々の状況
に合わせて自分流にチューニングする必要性もあります。
もちろん書かれている事を鵜呑みにしないで情報を
取捨選択する事も欠かせません。
※本作以降の作品は特に取捨選択が必要だと思います。

なお、この本において著者はテレビを見るなと
書かれていますが、現在はテレビ番組への出演が
目立ちます。

それについてどうのこうの言える立場にはありませんが
様々な活動を経た現在の著者が改めて勉強法を書いた
としたらどのような勉強法になるのか?

なんとなく予想はつきますが、読んでみたい気がするから
不思議です。

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紙の本

よるくまクリスマスのまえのよる

ぬくもり

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

動物の出てくる絵本はいつも猫のものばかり買っているので
たまには、違う動物の絵本を購入しようと思っていたところ
書店でみつけました。

ちょうど、時期的にもぴったりな本作
「よるくま クリスマスまえのよる」

よくよく調べるとシリーズらしいのですが
本作が初めての「よるくま」だったので
表紙の色の暗さにちょっと不安になりましたが
その不安は杞憂に終わりました。

夜のお話であることから、ページをめくると
黒い色が目立ちますが、月をイメージさせる黄色
の色使いが美しく両者のコントラストによって
あたかも色で触感を感じるような本書。

本書のストーリーは

おかあさんに怒られて、寂しい想いで
クリスマス前の夜を過ごしていた、ぼくの所に
よるくまが遊びにきます。
サンタさんを知らない、よるくま。
ツリーに飾られているいくつかの装飾品を
プレゼントとしてもらいます。
その中の1つである、飛行機の飾りをもらったとき
ライトが消えて、ぼく と よるくまは
飾りだったはずの飛行機で夜空に舞い上がって
皆が寝静まった様子を知ります。
でも、その時、地上から空を見上げて手を振る
人影が見えて・・・

と、このようになって結末に向かうのですが
本書の特徴は、先にも述べたように黒と黄色の
色使いが夜の質感を温かみを伴って伝えてくれる事。
それは、暗いイメージとしての夜ではなく
暖かい夜です。
陳腐な表現かもしれませんが、幻想的にも感じられます。

よるくま が ぼくを抱きしめる場面。
よるくまが母親に抱きしめられる場面。ぼくが母親に抱きしめられる
場面が出てきます。
この場面の描写では人の体温の暖かさ、ぬくもりが伝わってきます。
抱きしめられる事。それは言葉を介さない存在の肯定。
そう自然に感じられました。

皮膚感覚をはじめ、様々な感覚に訴えてくる本書。
ストーリーも秀逸です。

おかあさんに怒られて、不安な夜を過ごすぼく。
でも、よるくまが現れて抱きしめられた僕は不安がいつしか
期待へ変わり、そして安心にたどり着きます。

その昔、怒られた後に布団に入った時の不安な気持ちを
思い出しつつ、そっと慰められた時の安心感を思い出しました。
絵から文章から様々な感覚を刺激してもらいました。
子どもも気に入っていますが、評者自身にとっても
大切な1冊となりそうです。
かつて子どもだった大人が昔を思い出しながら読んだり
自分の子どもと重ねて読んだり・・・

もう名作としての地位を確立している感はありますが
末永く読み継がれていって欲しい。そう思う作品でした。

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紙の本

魔女の宅急便 その6 それぞれの旅立ち

シリーズ完結

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ビーケーワンの内容説明のところにもあるように
トンボさんと結婚して双子の子どもにも恵まれたキキ。

ケーキ作りが得意な男の子のトト
小さいときのキキよりも活発な女の子のニニ

二人共、黒猫を連れています。
上から順にベベとブブという黒猫を相棒にしています。

最終巻である本作の特徴は
物語の主軸がキキやジジ、トンボさんから
子どものトトやニニへ移っている事でしょう。

もうすぐ魔女が旅立ちの修行に入る
年齢に近づいてきている二人。

本作では、魔女の血は女の子に宿るもの
と言われていますが、女の子のニニは
魔女になるよりも楽しいことがいっぱいあります。

一方、男の子のトトは魔女の憧れます。
しかし、魔女の血が流れているものの
男の子です。猫と話す事は出来るようになりますが
魔法は中々、使えません。

魔女の血が流れているということに苦悩するトト。
ある朝早く、ほうきをもって飛ぼうと試みますが・・・
見事に崖から転落。色々と苦悩した後に
飛ぶことを諦めます。
飛べなかったことによって、心身共に大人になったトト。
最終的には、トトなりの「魔法」を見つけることになるのですが・・・

ニニも飛べるようにはなりますが、キキのように
スムーズに優雅に飛べず、自転車をこぐような
足漕ぎをしないと、いつまでも空高く浮かび上がって
止まらない状態です。
キキの思うような魔女像に対する反発心。
思春期特有と言ってしまえばそれまでですが
誰しも、思春期には覚えのある事だと思います。
結局、魔女になることを自主的に受け入れますが・・・


考え深く内省的で、優しいけど、魔女にはなれないトト
若いころのキキ以上に活発で、ともすれば自分勝手なニニ。
家庭内にちょっとした不安材料を抱えるキキ一家。
そんなキキは母親としての苦労心労がかさなり、
自分自身の子ども時代を振り返り、親に感謝するようになります。
世代交代を感じました。
そういえば、この作品を読んでいた評者は小学生でしたが
気づけば父親になっています。
時間は確実に流れているのです。

本作においても魔法をはじめとした、見えない力についての
言及がありました。
兄弟が喧嘩をしている時のキキのお説教の一節です。
 
     「(途中中略)物事のむこうにはね、見えるものと同じくらい
     見えないものがかくれてるのよ。それを見ようとしなければね
     人間にはそういう力があたえられてるんだから。よく考えて
     よ。やさしい子になってちょうだい」
     (p59)

この一節はシリーズ通して貫かれているテーマの一つです。

しかし、興味深かったのは二二の将来について
トンボさんとキキが夫婦で相談をしている以下の箇所。

     「(途中中略)この世の中には不思議なんてない。見える世界が
      すべてだって、考える人がふえてくるんじゃない。今はどんな
      事でもお金で計算して考えるんですもの。それを上手に出来る
      ことが魔法だって思う人がいるでしょ。それはどうかしら・・・・?」

というキキに対して

     「でもな、キキ、見える世界も大事だよ。」

と、トンボさん。

本作において、この会話の流れのような現実(お金の事を含む)を
積極的に肯定したのは、この最終巻が初めてです。
連載終了まで24年。初めから読んでいる多くの読者も大人になっています。
そのあたりを意識したものなのか、それとももっと奥行きのある
「見える世界」の事なのか・・・
長年の読者としては少々の驚きを覚えつつ、読んだ箇所です。

本シリーズには非常に満足していますし、どうかしたら
一緒に育ってきた感もありますが、評者にとって残念だった箇所が
ひとつだけあります。

それは、息子のトトが結局、空を飛べなかったこと。
物語的には、飛べないことがわかってからのトトの活躍
や成長が見どころのひとつではあるのですが、本シリーズ通して
「魔女も時代合わせて変化していかなければならない」
というフレーズが出てきます。

そして、遠回しにやんわりと固定的な性別役割を否定するフレーズも
散見されます。
しかし、結局は「魔女の伝統」という事でトトは飛べませんでした。
個人的には男の子であるトトに空を飛んでほしかった。
それによって、シリーズを通して魔法や見えない力
そして、思いやる力の他にやんわりと主張されていた
伝統を大事にしつつ、新しいものを受け入れていこう的なメッセージや
固定的な性別役割に対する否定を完結出来たのではないだろうか?と
思う次第です。まぁ。深読みし過ぎた挙句の誤読かもしれないのですが・・・


しかし、上記の一点を除けば、本シリーズには大変満足しています。
先にも述べたように、本シリーズと共に成長してきた感のある評者。
世の中には、たくさんの本が、ストーリーがありますが、リアルタイムで
自分の成長と共に成長していくストーリーと出会えるというのは
実はあまりないような気がします。
そういう意味では素敵な縁・・いえ、魔法だったのでしょう。

本シリーズの存在と、作者に感謝しつつ
この後も節目節目で読み返していきたい。そんな作品でした。
今から本作とお付き合いする方は、後追い読者になると思いますが
リアルタイムで読むことでも後追いで読むことでも素敵な作品には
違いありませんし、後追い読書でしか楽しめない楽しみ方もあると思います。
いちファンでしかない評者ですが、多くの方に手にとってもらえたら
うれしい限りです。


      
    

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紙の本

空の色

紙の本空の色

2009/12/03 23:13

境界線がぼやける時

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

なんとなく調子の悪い日々が続いている。
そんな日々から気分転換したくて
書店にて普段は足を運ばない写真集の
コーナーに行ってみた。

真っ先に目に入ったのが本書「空の色」
著者はHABU氏という写真家だ。

元々、写真集にはあまり縁がなかったせいもあり
HABU氏を知らなかった。

著者のプロフィールを見ると
サラリーマン生活10年目にオーストラリアの空に魅了され
写真を撮り続けているとある。

今までに出版された氏の写真集は、そのほとんどが
空をテーマにしたものだった。
空を専門とする写真家という一文もあった。

ページをめくると、これでもか!と空の写真が
載っている。
ほとんど、言葉はない。
唯一、書かれているのは
   
     空の青さが心にしみる
     この空はあの場所に
     つながっている

これだけだ。

当たり前だが、撮影場所は異なれど、みんな空の写真。
一枚一枚が違う表情を持っている。

突き抜けるような青空。
血よりも血のように見える朱に染まった空
紫の煙が満ちているような空と雲
全てをのみこむような雲と空
合わせ鏡のような水面と空、水鏡
どれ1つとして同じ空がない。

それらは、空を写しているようで、実は地上を投影した
ものだったり、その逆だったりする。
あるいは人を写している写真だけど、人に空が投影されていたりする。

両者の関係を考えていると、徐々に両者を分かつ境界線がぼやけてくる。
それらは境界線がぼやけ始めると共に混ざりあって、区別することも
難しくなってくる。元々が渾然一体であったかのような錯覚を覚える。
空に「考えすぎるな」と警句を発されているようにも感じる。

今、自分が眺めた空も、この写真の空とつながっていると
考えると不思議だ。

普段ならこんな事は考えない。もしかしたらちょっと
疲れているのかもしれない。そんな事を思いながら
写真集を眺めた。

そういえば、自分自身の記憶にある空って
どこの空だろう?と回想してみた。

私の場合は、そのほとんどが幼少期のものだった。
今は遠い地となってしまった、幼少期を過ごした場所。
先の引用文が言うように、自分が見上げている空と
幼少期を過ごした地の空がつながっている。
そう考えると、なんだかちょっと心安らぐ。

地方に住んでいる時は、空は当たり前にあって
それが故に気にすることもなくなり
政令指定都市に住んでいる今は、空は中々見えなくて
それが故に気にすることがなくなった。

空に自分を投影してたようで自分が空に投影される。
ふと自分自身を見つめなおす時間だった。
いつもボーッと空を見ているわけにもいかないのが現状だが
時々は空を眺める余裕が必要だ。そう思わせてくれる1冊だった。





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紙の本

のらねこ。 外で暮らす猫の姿をありのままにとらえたフォトエッセイ

自由という不自由

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中川こうじ氏による
のらねこのフォトエッセーです。

どのページを開いても
愛らしくて、ちょっと目つきの鋭い
猫たちに出会えます。

本書に写真として収められている
猫たちは基本的にほとんどが野良猫です。

良く言えば自由で、それが故の緊張感のある目をしています。
悪く言えば、全てを疑うような目で写真に写っています。

おそらくは、その両方が入り交じっているのでしょうけど
その見方は本書を見る人によって左右されそうです。

この手の写真集は基本的に
評者のような猫好きが手に取ります。

猫好きからの視点として、最もこの本を手にとってほしい人達
は、まず手にとらないでしょう。

猫好きにも様々な”好き”の度合いがあるでしょうから
一定の啓蒙効果もあると思います。

ですが、本当にこの本を手に取ってほしい人達には
どちら側の立場に立っても中々、敷居が高いような気がします。

そういう意味で、評者は猫好きであるものの
この手の本を買うことはしないようにしていました。

ですが、書店で手に取って何気なく開いたページ(p60-61)に
写っていた片足、片目になって今にも息絶えそうだけど
鋭い眼差しをカメラに向けている猫の視線に射すくめられました。

おそらく、すでにその猫はこの世にはいないでしょう。
ですが、写真に収められている、その姿、その視線は
見る者に強く訴えかけてきます。この本が存在する限り永久に。

そして、同ページのある「自由という名の不自由」というタイトルの
記述が、ものすごい説得力をもって訴えかけてきます。

余談になりますが、人の社会でも自由を声高に喧伝している
国が、一面ではものすごい不自由な現実もあります。

自由と不自由は表裏一体。

そして何かと「自由」と解釈され表現される猫。
特に野良猫はその最たるものでしょう。

この写真集(結果的に購入)を見て
野良猫の問題に思いを馳せ
一方で自由の意味を考えた次第です。

地域によっては害獣扱いにされることもある野良猫
彼(彼女)らの存在を、本書を片手にもう一度、考えてみませんか?

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