金曜日のらいおんさんのレビュー一覧
投稿者:金曜日のらいおん
2011/01/31 09:13
英語のタイトルもよく練られています。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
人間のキノと言葉をしゃべるエルメスの旅を綴った短編集。
このシリーズの話を読んでいると、常識や物事の考え方はしみじみ環境に依存するのだな、と思います。自分の常識や考え方が、自分の属している社会や組織に染まり、いつのまにか偏向していることを実感するのです。
さて、今はもう10巻以上出版されている本シリーズですが、中でも一番印象の強かった話を紹介します。
この第3巻の「城壁のない国」です。
この話に出てくるラウハーという男性が強烈な印象でした。淡々とした口調、謎めいた仕草、その行動、全てが伏線であり、最後にああそうかとその行く末を納得とともに見守ってしまいます。
単発のキャラなのに、これだけ魅力的なんて素晴らしいと思います。
紙の本ストーリー・セラー
2011/01/28 17:28
瞬時にひきつけられる文章。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
家族って何かを考えさせられるside.Aと、夫婦って何か考えさせられるside.B。
私が印象に残っているのは、side.Aの方です。
この話のように、ここまで親と意見が合わず、こじれ、どうしようもなくて、互いに干渉せずに生きてくしかない、ということは、一般にはそうそうないと思います。
しかし、家族との確執は多かれ少なかれ、みんな一度くらいは経験しているのではないでしょうか。
よく、血は水よりも濃いといいますが、それだけでもないだろう、と。
血よりも濃い絆もある、と思います。
よくベタ甘と言われていますが(作者も言ってる)、そんな絆を持つことのできている登場人物を、またその周囲の人間関係も含めて、魅力ある文章であり、惹きつけられるのではないでしょうか。
2011/01/06 16:06
仕事場=戦場
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
今,日本全国で繰り広げられてそうな就職活動中心の生活から,ひょんなことでゲーム開発にライターとして主人公か巻き込まれてしまうお話。
作者が現実にゲームのシナリオライターをやっているだけあって,リアリティに富み,話に引き込まれます。
私は,クリエイティブな仕事だと,ある程度自分の納得がいくようにもっていけるものだと思っていましたが,実際は制約がこんなに多く,理不尽さや不本意さとも隣り合わせなのかとひっくりしました。
極限状態での職場の人間関係の濃密さや,開発終了までこぎつけた達成感等,前向きな感じなラストで,読後がよかったです。
2011/01/06 14:18
カラーページのタイトルが秀逸。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
読後が非常によかったです。
作者が,元SE(システムエンジニア)だけあって,描写はリアル。ライトノベルらしからぬ,社会人のまたはSEの悲哀が書かれています(笑)。
実際仕事をしていると,道理が通らなかったり,膨大な業務量に圧死しそうになることなんてしばしばです。
しかしながら,このお話のように,尊敬できる人がいたり,最終的に仕事にやりがいを感じることができれば,何とかなるかと思います。たぶん。
まあ,逆を言えば,人がダメだと,もうダメなんですが(笑)。
また,あとがき2ページ目後半の「自分を守る術」。業務量の多さに少しでも苦労した人なら,かなり共感できると思います。
私は,ここを見て笑ってしまい,レジに持っていくことにしました!
2011/01/24 22:40
読後最高!
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今回の「なれる!SE」は入門、構築ときて営業活動です。
帯に「萌えるSE残酷物語」と銘打たれているように、相変わらず仕事は膨大で大変そうですが、主人公の人柄からその人にしかできない調整能力を発揮するようになり、徐々にスルガシステム(会社名)に必須の人材になっているようです。
ネタばれになるといけないので、詳しくは書きませんが、ラストこうきたか~と言う感じで、読後は最高でした。
ストーリー構成に無理がなく、続編がとても楽しみです。
また、ラストのSE豆知識。これがまた意外とためになります。吹き出すツボもあります(^○^)。
2011/01/06 15:27
魅力多いキャラクター群。
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近未来的な要素と,ちょっと中世的な要素が混ざった独特のファンタジー。
後悔を抱えながら生きてく主人公と,時に真っ直ぐ過ぎる女の子と,一癖ある脇役(女性の刑事と情報屋)など魅力的なキャラがたくさんいます。
特に,女性の刑事であるイルマの強さ,自分は正義の星から来たと言い切る強さが印象に残りました。
人が,仕事や生活をしていく上で,いつの間にか変質してしまうものを初心のままで持ち続けているようで,とても魅力的です。
大きな組織を相手にこれから盛り上がりそうな伏線が多いだけに,シリーズが止まってしまっているのは,とても残念。
紙の本愛犬ビンゴ
2010/06/21 13:00
久しぶりに読むと結構怖い部分も
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1987年ごろより同社から出版された少年処女向きの単行本の文庫化と思われる。「ですます」調であった少年少女向きの単行本と異なり,「~である」という文体に変わっている。挿絵も大人向きとなっている。
収録作品
愛犬ビンゴ
銀ギツネの伝記
ウェイ・アッチャ
愛犬ビンゴの話の中で,作者シートンが不注意で自分で仕掛けた罠に手足それぞれはまってしまい,動けなくなるシーンがあります。
幼いころ読んだ当時は,何の気なしにビンゴが助けに来るのねと思っていましたが,今,実際の話として認識したときに,自分の家の犬では無理だろうな(笑)と。そうしたら夕暮れ迫る草原の中で,ひとりで動けなくなっている恐怖はいかばかりか,と思いました。
紙の本ぎざ耳ウサギの冒険
2010/06/21 12:59
幼い頃,シートン動物記を読んだ方は是非
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
1987年ごろより同社から出版された少年処女向きの単行本の文庫化と思われる。「ですます」調であった少年少女向きの単行本と異なり,「~である」という文体に変わっている。挿絵も大人向きとなっている。
収録作品
ぎざ耳ウサギの冒険
黒いくり毛
あぶく坊や
ビリー
通常,作品のタイトルは比較的有名どころを採用することが多いと思いますが(一巻のように),あえて綿尾ウサギが主人公のこの物語がタイトルであるところに編集者のマニアックさを感じさせます。
この本の元となっている少年処女向きの単行本は,話の本数が46本と多いようですので,是非全て文庫化してほしいところ。
紙の本毛布おばけと金曜日の階段
2012/08/20 12:09
心に残る言葉
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この作品は、主人公となる未明、未明の姉の恋人である
和人、姉のさくらの3人を中心に展開していくお話です。
三者三様、どこか普通ではない。しかしそれを皆充分認識
している。認識していながら、そうせざるを得ない切なさが
この作品の根底にはあります。
このお話は橋本紡氏の作品の中でも、登場人物達が一番
葛藤を背負っている作品だろうと思います。ライトノベル
らしからぬ趣向です。
だれもが持っているであろう心の弱さ、喪失感。それと
どうやっておりあっていくか。そんな心の動きが淡々と
綴られています。
しかしながら、要所要所にはっとさせられる言葉があり、
読後に強烈な印象を残します。
そしてもう一つ、印象に残るのが、短歌です。ネタバレに
なってもあれなので書きませんが、使い方がもう本当に舞台
効果満点で、この作品を読んだ人は、きっと全員ネットで
調べているはずです(笑)。