ごっとんさんのレビュー一覧
投稿者:ごっとん
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紙の本競争優位で勝つ統計学 わずかな差を大きな勝利に変える方法
2011/12/18 12:51
ギャンブルやスポーツが好きで、統計学との関係に興味がある方におすすめ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
映画「ラスベガスをぶっつぶせ」のモデルである著者が、ブラックジャックの必勝法を統計学的に解説している。また統計学が、野球、バスケットボール、アメリカンフットボールなどのスポーツの戦略や選手獲得に役立っているかの経験談は、素直に面白かった。特にスポーツについては、いわゆるセオリーに合理性が欠ける面が多いことの指摘は、本書中に言及されているように、「マネーボール」の理論にも結びついている。文章もとても読みやすかった。
スポーツやギャンブルが好きで、統計学との関係に興味がある方は、一読される価値があると思う。また一般のビジネスにも敷衍して、思い込みではなく統計学的な分析を戦略策定の中心に置くことの重要性も、分かりやすく理解できる。
ただし、著者が金儲けへの執着心を前面に押し出している点には、違和感を(更に敢えて言えば少なからぬ嫌悪感を)感じざるを得なかった。スポーツ関係者に統計学を説明するときには、実経験に基づく相手の意見に謙虚に対応すべし、という著者の意見は誠に適切な指摘である。しかし、金銭への執着心が透けて見えるが故に、そうした態度も結局は功利的な下心ゆえ、と誤解されかねないのではないだろうか。
なお統計学としての記述はおおむね正確だが、消費者物価指数を偽統計学に位置づけていることには異論がある。対象品目の選択やその入れ替え、エネルギーを除くなどのカテゴライズには、経済統計としての必要性や根拠がある。にもかかわらず、これらを無視して単に政治的謀略で過小推計しているかのごとくの記述は、短絡的すぎると思う。
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