お知らせ 開催終了 丸善 松本店
開催日時:2023年10月16日(月)~2023年12月31日(日)
【出会えて良かった本】読めば日記を書きたくなる『さみしい夜にはペンを持て』好評発売中!
寝ることを忘れるくらい夢中になって読んだ本、何度も読み返している本、そんな「出会えて良かった本」は誰しもあるのではないでしょうか。読書家の方はそのような本がたくさんあるかもしれませんが、その中の一冊にこの本が加えられることを願って、松本店書店員の私が最近読んだ「出会えて良かった本」をご紹介します。小説『さみしい夜にはペンを持て』著者は古賀史健さんで、大人気ビジネス書『嫌われる勇気』の著者の方です。本書は古賀さんが中学生へ向けた「書くことを通じて自分と対話し、自分を受け入れ、みずからの生を肯定していく本」で、物語を通して日記を書くことの大切さを教えてくれます。物語の主人公は海のなかの中学校に通うタコジローくん。彼は学校でいじめられて家族にもクラスメイトにも本音が言えず、居場所がないと思い詰めたある日、学校を休んでしまいます。そんな時に公園で出会った不思議なヤドカリのおじさんから日記を書くことを勧められて、戸惑いながらも日記を書き始めます。ただ、日記を書くとなると「書き続けられない」「何も書くことがない」「悪口ばかり書いてしまう」といった問題に直面する人が多いのではないでしょうか。タコジローくんもそんな問題にぶつかりながらも、ヤドカリのおじさんとの対話を通してその問題を乗り越え日記を書き続けます。そして日記を書くことで自分の本音と向き合い、周りの人との関係とも向き合っていくようになります。本書を読めば成長するタコジローくんに励まされ、書くことのおもしろさを知り、自分の悩みや日々の出来事で思ったことなど、自分の本音と向き合ってみたくなります。きっと読み終わったその日から日記を書きたくてたまらなくなります。私も本書をきっかけに書くことをやめていた日記を書き始めることにしました。もちろん日記を書いたら悩みが全て消えることも、文章が突然上手に書けるようになることもありません。でもこんなに「日記を書いてみよう」と前向きな気持ちになれたことがこの本に出会えて良かったと思える理由です。本書を読んだ効果はすぐには出ませんが、日記を書き続けていつか読み返した時に実感できるものだと思います。また皆様は日頃、文章はよく書かれますか?SNSやメールなどでたくさん書かれている人もいるかもしれません。でもそのような他人に読まれることを意識した文章だけではなく、自分という読者のために日記を書くことをおすすめします。物語の中でヤドカリのおじさんが言った「おじさんはね、日記をつけはじめてから気づいたんだ。おじさんがいちばん『わかってほしい』と思っていた相手は自分自身だったんだ、ってね」という言葉にもあるように、自分の一番の理解者になるためにも日記を書くことが大切なのだと思います。生まれてから死ぬまで自分といちばん付き合っていくのは自分自身ですから。さて、ご紹介した書店員おすすめの「出会えて良かった本」ですが、まだ一冊もそういう本に出会えていない人がいましたらこの本が最初の一冊になりますように。もし周りに出会えていない人がいるようでしたら、ご自身のおすすめ本と一緒に『さみしい夜にはペンを持て』もプレゼントしてみてはいかがでしょうか。売り場は1階話題所棚です。ぜひ「出会えて良かった本」を探しにご来店くださいませ。
2023/10/16 掲載