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美しい彼 ドラマ化記念 凪良ゆう先生特別インタビュー

ついに実写ドラマ化されることになった『美しい彼』。凪良ゆう先生にドラマや作品、創作活動についてロングインタビューにお答えいただきました!

――まずは『美しい彼』の実写ドラマ化おめでとうございます!ドラマ化が決まったときのお気持ちはどうでしたか?

嬉しいという気持ちしかなかったですね。実写化というかメディア化すること自体、考えたこともなかったんです。ボーイズラブという一般とはまた違ったジャンルなので、まだアニメ化のほうが想像できるくらい、実写はないかなと(笑)。
平良が吃音症であるという設定を考えても、なかなかハードルが高いかなと思っていました。そういった題材でもあるのに、そこはよくぞ白羽の矢を立ててくださったという気持ちですね。

――ドラマ版のキャストついてお伺いさせてください。

清居役の八木勇征さんはとにかく美しいですね。「美しい」という言葉自体、今の時代口に出しづらいところもあるんですが、芸能界で美しさを商売道具にされている方だと思うので言ってしまうと、とにかく「美しい」。八木さんが清居を演じるということに、誰も異論はないと思います。本当に小説の中から抜け出てきたかのような清居ですね。
平良役の萩原利久さんは、一目見た時から、そこはかとない平良っぽさを感じています。見た目よりも内面から滲み出てくる「平良」感というか。撮影を見学しにいった時も思ったんですが、内側から平良に近い感じで演じてくださっているなと感じました。
二人とも「清居」らしいし、「平良」らしい、絶妙なキャスティングだと思います。ドラマを観るのが本当に楽しみです。

――タイトルの『美しい彼』は清居のことではありますが、平良のキャラクター性が突き抜けていてすごいです。キャラクターはどのように考えられたのでしょうか?

よく聞かれるんですが、これは本当に、単に私の趣味から生まれただけのことで、深い意味はないんですよ(笑)。BLは萌えが大事なジャンルなので、「たまには自分の萌えを追求してもいいじゃないか」と。
かっこいい攻め様がもともとそんなに好きじゃないというか、他にも上手に書く方がいらっしゃるので、自分の得意なものを書きたいなと思ったんです。私自身が「平良のようなキャラクターが好き」、ただそれだけですね。

――なるほど。「好き」を追い求めた『美しい彼』シリーズは、先生にとってやはり特に思い入れのある作品でしょうか。

ここまでのシリーズに育った作品はないですから、もちろん思い入れはありますね。主人公が変わっていくスピンオフならありますが、同じ主人公で何冊も書くというのは、これが初めてなんです。上下巻の『セキュリティ・ブランケット』もありますが、こちらは2カップル出てきますしね。

――平良と清居の恋愛だけでなく、それぞれ二人の成長が描かれているというのも大きかったですね。

恋愛だけに終始して、続編でもくっついたり離れたりを繰り返すのは止めようかなと思ったんです。読んでいるほうも嫌になっちゃうじゃないですか。「せっかく結ばれたのに、また揉めてるの!?」と(笑)。
平良がカメラマン、清居が俳優として成長していくというのは、1巻を書いたときは考えていなかったです。平良のカメラも、最初は趣味で終わらせようかと思っていたくらいで(笑)。でも、平良にもカメラくらい得意なものがないと、ずっと工場勤め(モンブランの栗を載せる仕事)を続けそうですから。

――『美しい彼』シリーズで特にお気に入りのシーンはどこでしょうか?

読者の方は、1巻だと音楽室のシーン(初めて清居の手にキスする)を挙げられる方が多いんです。葛西先生にも挿絵で描いていただいていますし。私としては、シーンとして美しいところというより、派手に二人の思考がすれ違っているシーンが一番のお気に入りですね。

1巻なら、ラブシーンになるんですが、平良が初めて清居に口でしてあげたあと、「俺もしてやるよ」と言う清居に「いやいや、それは結構です」と断ってしまうシーン(笑)。2巻なら、平良が「俺の人生に清居は金輪際関係ないから!」と言い切ってしまうシーンとか。ああいう、平良と清居の想いが派手にすれ違っているシーンが好きなんです。
3巻の、平良の「家電のスタンス」発言もそう(笑)。シーン的には全然映えないんですが、大好きですね。イラストにはしにくいですが、文章で読んでいたら「映える」と思うんです!(笑)。

――創作活動についてもお聞きしたいです。作品を創るときのルーティンのようなものはありますか?

作品を執筆する前に、音楽のプレイリストは必ず作ります。登場人物を立てていくときに、「この人っぽいな」と思う音楽を一人分ずつ作っていって、音楽を聴きながら人物像を固めていくんです。そうしてだんだんキャラが固まっていくと、プレイリストに入れていた音楽が合わなくなるときがあるんですよ。そうすると合わない曲は捨てて、また合う曲を入れて。人物とプレイリスト、交互作業でどんな人間かが決まっていくんです。音楽は、その人物に入っていくときの『扉』みたいなものですね。

――先生にとって、音楽は身近なものなんですね。

生活していく中で、だいたい常に音楽が鳴っているんです。原稿を書いているときもそうですね。ただ集中していくと音が聞こえなくなっちゃうんです。鳴っていても聴いてはいない、みたいな。外を歩いているときも聴いていますし、常に身近ですね。
ジャンルもその時その時で様々です。道を歩いているときは勢いのいい曲、これから原稿を書くぞ、集中するぞってときは静かな曲を聴くし。一概に好きなジャンルというのは言えないですね。その時その時のシチュエーションで、いろんなジャンルを聴いています。
今はSpotifyをメインに使ってるんですけど、便利な世の中になったなって実感してます。
昔は自分で買うか友達にCD借りるかくらいしかなかったので(笑)。気軽にいろんな音楽が聴けるようになって、世界が広がっていきましたね。

――作家活動のほかに、今ハマっていることや、執筆中のリラックス方法はありますか?

お香はよく炊いています。アロマオイルとか、一人のときに香水をつけたりとか。香水もサブスクがあって、毎月ミニボトルでいろんなブランドの香水が楽しめるという。香りを楽しむというのもリラックスの手段ですね。こうして話すと、特に変わったものではないかと……幅の狭い人間なのかもしれません(笑)。

─音楽も香りも五感を刺激するものですね。先生の作品に通じる読者の「共感性」の高さも、先生のそうした感覚へのこだわりからきているかもしれません。

そういう観点では、料理も好きですね。凝ったベトナム料理やフランス料理とかではなく、普通の家庭のお惣菜的な料理です。大根と牛肉を炊いたのとか、ポテトサラダ、何の変哲もない卵焼きとか。日常の料理の中で、美味しいと思える料理ですね。

――「恋愛前夜」で、ナツメがメシスタントで作っていた料理も美味しそうでした。

あれもまさに、だいたい自分が作っている料理です。原稿を書いていて詰まってしまうときってあるじゃないですか。私はそういう時も机を離れられないタイプなんです。負けたような気分になってしまう。詰まっているときほど意固地に席に座り続けたりしてしまうんですが、料理には「これを食べるんだ!」という目的があるので、席を立ちやすいんです。気分転換というか、ひとつの逃避の手段になっているのかもしれないです。だから作っても食べない場合もあって、冷蔵庫にストックがどんどん溜まって大変なことになったりします(笑)。

――一般文芸作品にも挑戦され、活躍の場を広げられています。今後チャレンジしてみたいテーマはありますか?

今は初めて男女の恋愛物に挑戦しています。恋愛物はずっと書いてきたけれど、男性同士だったり片方が幽霊だったり……。二人とも生きていて、そんなに突飛でない普通の男女の恋愛物を書くのは、十数年書いてきて初めてですから、新しいチャレンジですね。
私はだいたいいつも、はみ出している人ばかり書いているんです。するっと普通のレールに乗れない人というか……。それはこれからもずっと変わらないですね。
作家って何を書いていても、自分の中の書きたいテーマって、実はそんなにたくさんはないと思うんです。書きたい題材はいっぱいあるけれど、テーマとなると、手を替え品を替え、ずっと同じテーマを書き続けるんじゃないかなと思います。それが私の場合、「うまく普通のレールに乗れない人たち」ということになるんでしょうね。

――新作を楽しみにしています!最後に読者と視聴者の方にメッセージをお願いします。

小説から始まってドラマCD、今回の実写ドラマと、皆さんの応援のおかげで、どんどん「美しい彼」の世界が広がっていて感謝しています。
ドラマに関しては、主演キャストの二人が、原作から抜け出てきたような二人なので、原作ファンの方にも楽しんでもらえると思います。期待して待っていてください!

ドラマ化に続いてコミカライズも発表され、さらに楽しめる形が広がっていく『美しい彼』シリーズ。ドラマをきっかけに知った方も是非原作をお楽しみください!

ドラマ情報

©「美しい彼」製作委員会・MBS

萩原利久 八木勇征 W主演
2021年11月18日(木)放送スタート
MBS、テレビ神奈川、チバテレ、テレ玉、とちテレ、群馬テレビ他

ドラマ公式サイト ※外部サイトに移動します。

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