――先生のBLとの出会いを教えてください。

商業BLを初めてちゃんと読んだのは8年前くらいです。商業マンガに対する視野を広げたくなっていた頃、今までちゃんと読んだことのなかったジャンルに挑戦してみようと、表紙で惹かれた阿仁谷ユイジ先生の『目をとじて3秒』を読みました。キャラクターの魅力をはじめ、会話劇の巧みさとハイレベルな感情表現にとても感銘を受けて、そこから色んなBL作家さんの作品を読み始めました。

――BLの「こういうところが好き！」という点はなんですか？

色々ありますが、一番は「境界の曖昧さ」です。
BLも少女マンガもメインテーマが「恋愛」なのは同じです。知り合うところがスタートとしてキスや告白をゴールとした場合、男女CPだと「これ以上の距離感は恋愛関係」という明確な線引きが人間関係のスタートラインのけっこう近くに存在します。でもBLは、ゴール手前にならないとその境界が現れないんです。
具体的にいうと、恋人同士でない男女が手を繋いでいたらこれはもう明確に境界を越しているけど、男同士ならノリで肩を組んだり雑魚寝で一緒に寝てしまっても決定打にならず、個人差がある。Aは「越してしまった」と思っていてもBの方はまったくその認識がないとか、もしくはお互い越していないと思っていたはずなのにふとした時に困惑が生まれたりとか。その曖昧さから発生する油断や危うさが好きです。

――BLならではの魅力ですね。創作活動についてお伺いします。キャラクターやお話はどんなときに思いつきますか？

生み出そうとしている時に生まれることはほとんどなくて、たいていは調べものをしていたり仕事と関係ないものを楽しんでいる時に思いつきます。時間が経って忘れてしまうこともありますが、忘れてしまうようなアイデアは大したことがない（と思いたい）ので、メモは取りません。だから取りこぼしてしまったキャラクターたちもたくさんいるかもしれません。

――好きな攻タイプと好きな受タイプがあれば教えてください。

愛が重い攻めと愛が深い受けの組み合わせが好きです。
あと最近は男女CPでもBLでも年下攻めにハマってます。

――作品を書く上で一番楽しいと感じる、または好きなことありますか？

下絵で上手く描けた表情や、納得いく構図で描けた絵にペン入れするときが一番好きかもしれません。なんか上手く描けなかったな……という絵にペン入れをするのはとてもしんどいので、ペン入れ自体が好きなわけではないです。
一番楽しいのは描く前のお話を練っている時と、読者さんから頂いた感想を読むときです。どちらも「描いているとき」ではないですね（笑）

――先生ご自身のことについても少し教えてください！今一番ハマっている人・もの・コトはなんでしょう？

色々ハマっているものは多いんですが、一番新しいのは『進撃の巨人』のアニメを1期から見始めたことです。
ずっと原作派でアニメの方はなんとなく未視聴だったんですが、アニメが完結したら一気に見てみようとは思っていて、そしたらファイナルシーズンがこの前終わったと聞いたので見てみようと。でも見始めて4期の最後まで見たら「まだ終わってない！？」と気づいて愕然としました。続きを待ちます……。

――執筆中のリラックス方法があれば教えてください。

今年6歳になった愛犬（パピヨン×スピッツMIX）をだっこします。仕事机の下に犬ベッドがあって私の仕事中はほぼそこで寝ているんですが、たまに下から這い出てきて膝に乗せろとせがんでくるので、そのたびに。
あとは、一日一度の晩ごはんだけは料理をするので（朝と昼は家族が用意してくれるので任せてます）それがけっこう良い気分転換になっています。

――今後挑戦してみたいテーマやシチュエーション等はありますか？

高校生BLを描いてみたいです。曖昧な境界線でぐらぐらしていただきたい。
同級生カップルもいいけどまた年下攻めになりそうな気もする……。

――たくさんの質問にお答えいただきありがとうございました！最後に読者の方へメッセージをお願いします。

商業BLは新参者なのでいたらない部分もあるかと思いますが、それでもBL作品として楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。
BLももっと数をこなして腕を上げたいなあ。