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2018年上半期は女性20代~40代がヒットを支える!?「男性コミック」も4割は女性が購入!~総合1位は『漫画 君たちはどう生きるか』、1982年刊の岩波文庫版もジャンルランキングの上位に~

 出版・書店業界では久しく「出版不況」が言われ続けていますが、生活者による本の購入にはどのような実態があるのでしょうか?今回、hontoサービス実施店の丸善、ジュンク堂書店、文教堂とhontoサイト(電子書籍ストア、本の通販ストア)で購入された書籍や電子書籍の販売データをもとに調査を行いました。2018年上半期のベストセラー作品の動向を見ると、人気作品が関連作品のヒットを生み出し、20代~40代の女性がコミックや小説のヒットを支えているなどの実態が明らかになりました。

【調査結果サマリー】

  1. 総合1位は『漫画 君たちはどう生きるか』。『ラプラスの魔女』や、本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』、『かがみの孤城』といった話題作を抑え、性・年代を問わず購入されている。コミックの販売増加に伴い岩波文庫版も伸び、メディア化原作優勢の文庫ランキングで3位に。
  2. ランキングトップ10作品の購入者の割合は、女性が昨年から10%以上アップし48%に。小説、コミックの映像化作品や「本屋大賞」などの受賞作品、ビジネス書を購入しヒットを牽引。
  3. 男性コミックの購入者の約4割は女性。対して、女性コミックを購入する男性は約2割。
  4. 紙の書籍と電子書籍の販売割合は9:1。電子の販売割合が高いのは、仮想通貨等のトレンドから新しい経済と生き方を解説した『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』とSNS発の『ヲタクに恋は難しい』。男女20代~30代が電子書籍で購入し、電子の割合は2~3割と高い。
  5. ビジネス書は、未来をテーマとした作品が上位に。『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』に次ぐのは『10年後の仕事図鑑』で、実業家として活躍中の堀江貴文さんと落合陽一さんの作品。働き方の多様化、社会の仕組みの変化にある時代にあったこの2作品は併買率が高い。女性人気が高いのは2013年発売のロングセラー『嫌われる勇気』で20代~40代が購入。
  6. 暮らし・実用書は、TV番組で紹介されたタイトルが多数ランクイン。1位『医者が教える食事術 最強の教科書』、3位『こわいもの知らずの病理学講義』の他、トップ10作品中5作品のキーワードは「健康」と「食事」。一般的とされてきた健康法を最新研究を基に覆す内容が50代以上の男性に人気。女性は「ダイエット」「料理」「整理」がキーワード。仕事、家庭に忙しい30代~50代女性が、短時間で効率を求めるのか、2位『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』、4位『レシピを見ないで作れるようになりましょう』が上位。
  7. 10年ぶりに改定された『広辞苑』は、男性の60代以上の購入が3割と高い。9,000円超と高額ながら、総合ランキングの10位にランクイン

調査概要

集計方法:
hontoサービス実施店(丸善、ジュンク堂書店、文教堂)とhontoサイト(電子書籍ストア、本の通販ストア)の販売額・販売数をスコア化して集計
集計期間:
2018年1月1日~2018年6月20日
集計ジャンル:
全て

※本調査の結果・グラフをご利用いただく際は、必ず「ハイブリッド型総合書店honto調べ」と記載ください。

上半期ベストセラー全体の動向

1.2018年上半期のベストセラーは女性が牽引、
特に20代~40代の購入割合がアップ

honto2018年上半期総合ランキングの購入者の性別・年代・ジャンル 01

 総合ランキングの上位作品の購入者を性年代別でみると、購入者の割合は、女性が48%で前年に対して構成比が+12%と大きく伸びました。特に20代(構成比9%)、30代(同10%)、40代(同14%)がメイン層で、各年代で前年+3~4%ほど購入割合が高まっています。

2.女性20代~40代の購入割合の増加は「コミック」、
「文庫・新書」、「小説・文学」ジャンルが要因

honto2018年上半期総合ランキングの購入者の性年代とジャンル 02

 ジャンル別に購入者の性年代割合をみると、「コミック」は男女20代~40代が購入し、特に女性の40代が増えています。これは上半期ランキングで1位となった『漫画 君たちはどう生きるか』などが要因です。「言語・語学」は10年ぶりに改訂された『広辞苑』が好調で男性の60代以上に人気です。「ビジネス」は、男性が多く30代~50代がメイン層です。「文庫・新書」と「小説・文学」は男女40代~50代の購入割合が高く、女性の20代~50代の購入割合が上がっています。

3.上半期総合ランキングでは、受賞作品・映像化作品(※1)
上位に入り、女性の購入割合が上昇

honto2018年上半期総合ランキングの上位10作品と購入者の性年代 03

※1主な受賞(本屋大賞など)・映像化作品:2位、3位、4位、5位、6位、7位、9位

 ランキングトップ10の作品ごとに購入者の特徴を見ていくと、1位は、『漫画 君たちはどう生きるか(絵本・児童書)となり、男女幅広い年代で購入されています。3位~5位は、映像化作品や受賞作品が占め、女性の購入割合が高いです。東野圭吾さんの『ラプラスの魔女』は映画公開され、辻村深月さんの『かがみの孤城』は今年の、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』は2016年の「本屋大賞」に選出されています。受賞作品といったトレンドをチェックしたいという心理があるように感じられます。また、顕著に女性の購入割合が高いのは、隠れ腐女子とゲームオタクの男性の恋愛を描いた9位の『ヲタクに恋は難しい』です。SNSから誕生したこの作品は購入者の7割近くが10代~30代です。
 男性の購入割合が高いのは、2位に入った『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(ビジネス)。仮想通貨、シェアリングエコノミー等の新しい経済とそこでの生き方を解説しています。男性購入者が8割で20代~50代と幅広く購入されています。

4.上半期総合ランキング上位作品の「紙の書籍」と「電子書籍」の
販売構成比は「紙」90%対「電子」10%で市場と同等

honto2018年上半期総合ランキングの上位10作品の販売形態(紙・電子) 04

 上位作品について、「紙の書籍」と「電子書籍」の販売構成比をみると、2017年の市場(*1)は「紙」が86%対「電子」が14%であったのに対し、honto上半期総合の上位作品(*2)では、「紙」90%対「電子」10%で、やや紙が多いものの、市場に近い結果となりました。紙の購入割合が高いのは、1位の『漫画 君たちはどう生きるか』、4位『かがみの孤城』、5位『羊と鋼の森』、7位『ONE PIECE』、8位『AI vs.教科書が読めない子どもたちです。
 電子の割合が高いのは、2位の『お金2.0』、6位の『ダンジョン飯』、9位の『ヲタクに恋は難しいです。電子書籍市場の8割がコミックと推計されているなか、hontoの上位ランキングでもコミックが電子書籍で購入されています。その中で、『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』はインターネットによる新しいサービスをテーマとしていること、『ヲタクに恋は難しい』はSNSの投稿からコミックス化された作品であること、これらの要因で電子書籍で購入する人が特に多いと考えられます。

*1;市場2017年:「出版月報1月号」(出版科学研究所)の紙書籍と電子書籍の販売金額を構成比で算出
*2;honto上半期総合ランキング上位20作品の紙書籍(店舗+通販)と電子書籍の販売額を構成比で算出

上半期総合ランキング第1位『漫画 君たちはどう生きるか』の購買動向

 2017年8月に発売されて以降、半年で発行部数200万部を突破している『漫画 君たちはどう生きるか』は、hontoの上半期総合ランキングでも1位となりました。本書について、購入者の性年代、併読書籍、原作本の購買動向を集計・分析しました。

1.『漫画 君たちはどう生きるか』の購入者は、男性の40代~60代以上、女性は30代~50代が多く、総合上位の他の作品と比べるとやや年代が高い

『漫画 君たちはどう生きるか』の購入者の性年代 05

出所:honto3チャネル(リアル書店・電子書籍ストア・本の通販ストア)の販売数の合計(2017年8月~2018年5月までの各月の販売数を集計)

 全年代に購入されていますが、男性では40代(13%)~60代以上(10%)が多く女性は30代(9%)、40代(18%)、50代(9%)がメインで、購入者の構成比は総合ランキングの上位作品と比べて年代が高い傾向です。購入者の履歴を集計すると、コミックをあまり読んでいない層が読んでいることもわかりました。

2.『漫画 君たちはどう生きるか』の併読作品は、
原作と関連本で24%を占める

『漫画 君たちはどう生きるか』の併読本状況 06

出所:honto3チャネル(リアル書店・電子書籍ストア・本の通販ストア)の販売数の合計(2017年8月~2018年5月までの各月の販売数を集計)

 『漫画 君たちはどう生きるか』と一緒に買われている作品は、原作本と関連本で24%を占めました。その他の併読作品は『羊と鋼の森』、『おらおらでひとりいぐも』(文学・小説)、『ラプラスの魔女』、『かがみの孤城』など、最近の映像化作品や受賞作品が多いことからヒット作と人気作を読んでみたいという気持ちが読み取れます。

3.『漫画 君たちはどう生きるか』の販売冊数の増加と連動して
原作本の販売も伸長

コミック発売月を「1」とした場合の「コミック」と「原作本」の販売増加率 07

出所:honto3チャネル(リアル書店・電子書籍ストア・本の通販ストア)販売数の合計(2017年8月~2018年5月までの各月の販売数を集計)

 『漫画 君たちはどう生きるか』について、発売初月(2017年8月)の販売冊数を「1」として、本紙(コミック)と原作4作品(※2)の累計での販売数をみると、コミックの販売冊数が増加するのと連動し、原作本の販売数も伸びていることが分かりました。発売10カ月後には各々初月の160倍まで販売数が上がっています。

※2「岩波文庫」「ワイド岩波文庫」「ポプラポケット文庫」「マガジンハウス」の4作品

ジャンル別トップ10の動向

 ジャンル別にランキングトップ10の作品について、購入者の性年代別の割合を確認しました。(ジャンル分類はハイブリッド型総合書店hontoの保有するジャンルに順じます。)

1.【男性コミック】半数弱は女性が購入。メインの購入層は男女20代~30代、
男女40代が増加。トップ10の内6作品がアニメ化、劇場アニメ化。

honto2018年上半期「男性コミック」ランキング上位10作品と購入者の性年代 08

 上位10作品の購入者の割合は、男性が59%とやや多いですが半数弱の41%は女性が購入しています。
 1位は「このマンガがすごい!2016年1位」の『ダンジョン飯(6)です。次いで2位『ONE PIECE(88)』(連載開始1997年)、3位『進撃の巨人(25)』(同2009年)と長期連載作品が続き、男女20代~30代が多く購入しています。4位は2014年に「マンガ大賞」を受賞した『乙嫁語り(10)』で女性の購入率が6割と高いです。10位の『ファイブスター物語(14)』は連載開始が1986年で、当時10代の読者が購読しているためか、40代の購入比率が7割と高いのが特徴的です。

2.【女性コミック】上位作品の購入者は女性が81%と高い。
男女とも10代~30代が増加。7作品がアニメ化、実写化

honto2018年上半期「女性コミック」ランキング上位10作品と購入者の性年代 09

 上位作品は、男性コミックと異なり女性の購入割合が高く、81%となりました。
 1位は、深夜枠のCMやWebメディアで取り上げられることが多かった『ヲタクに恋は難しい(5)で、女性の20代~30代が購入者の5割強を占めています。2位は、2018年3月に実写映画完結編が公開された『ちはやふる(37)』で。男性人気も高く約4割は男性が購入しています。第3位の『凪のお暇(3)』は、「an・anマンガ大賞獲得」、「2018年マンガ大賞」の第3位を受賞し20代~30代の女性の人気が高く、購入者の割合は7割以上となっています。他にも、7位の『君に届け(30)』、8位の『七つ屋志のぶの宝石匣(6)』が女性の割合が高いです。

3.【小説・文学】他ジャンルと比べて購入者の年齢層は高め。
トップ10中5つが受賞作品でベテラン作家の中に新人作家も上位に

honto2018年上半期「文学・小説」ランキング上位10作品と購入者の性年代 10

 トップ10作品全体の購入者は男性が53%で男女ほぼ均衡となっています。男性は40代(10%)、50代(13%)、60代以上(15%)、女性は40代(12%)、50代(10%)がメインの購買層となり、他ジャンルと比べて年齢層が高めです。小説・文学ジャンルは1月に発表される「芥川賞・直木賞」と4月に発表される「本屋大賞」の受賞作品が上位に入る傾向はここ数年変わりません。
 1位は、本年の「本屋大賞」受賞作、辻村深月さんの『かがみの孤城』、2位は「芥川賞」受賞、若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』、3位は世界的な大ベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』の著者ダン・ブラウンさんの『オリジン(上)』となりました。4位の今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』は「このミステリーがすごい」、「本格ミステリ・ベスト10」「週刊文春ミステリーベスト10」で1位を獲得、その後「本屋大賞」で3位になっています。これらは各性年代で購入されています。
 7位の「直木賞」・「本屋大賞」受賞作、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』と10位の宮部みゆきさんの『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』は女性割合が高いです。5位の『青くて痛くて脆い』はデビュー作『君の膵臓をたべたい』が昨年大ヒットした住野よるさんの5作目。大学で出会った男女を主人公とした青春物で男女10代~20代の人気が特に高いです。『君の膵臓をたべたい』は「キミスイ」の略称でよばれ、昨年は実写映画がヒット、今年9月にはアニメ映画も公開予定で、この勢いが本作の販売を後押ししているとも考えられます。

4.【ビジネス】上位作品の購入者は男性が69%と高く、
「未来予測」がテーマの作品が上位

honto2018年上半期「ビジネス」ランキング上位10作品と購入者の性年代 11

 上位作品は、男性40代(17%)、50代(15%)、30代(14%)、20代(12%)がメインの購入層です。
 上位には、未来をテーマとした作品が入り、男性の20代~40代が多く購入しています。1位は、2018年に幻冬舎が経済ニュースアプリの「NewsPicks」と立ちあげた新しい書籍レーベル「NewsPicks Book」から刊行された『お金2.0となりました。著者の佐藤航陽さんは、低価格のオンライン決済、個人のタイムシェア販売など新しいサービスを生み出している企業「メタップス」の創業者です。本書では仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー等のトレンドから新しい経済と生き方を著しています。「仮想通貨とは?」という人から、働き方の多様化、社会の仕組みの変化の過渡期にある現在の人々にあった作品と言えそうです。
 3位は『10年後の仕事図鑑』が入りました。著者は実業家の堀江貴文さんとメディアアーティスト等多方面で活躍する落合陽一さんです。1位の『お金2.0』と3位の『10年後の仕事図鑑』は併買率が高いです。ランキング外ではありますが、堀江さんは『多動力』が、落合さんは『日本再興戦略』がそれぞれヒットしています。『お金2.0』『多動力』『日本再興戦略』はいずれも「NewsPicks Book」から発売されており、今後注目のビジネス書レーベルと言えるでしょう。
 女性の購入割合が高いのは、4位『大人の語彙力ノート』や、2013年発売のロングセラーで7位に入った『嫌われる勇気』で、20代~40代に多く購入されています。

その他のジャンル動向のサマリー

1.【ラノベ】男性が82%と多く30代が増加、“異世界転生”が人気

・トップ10の内、6作品は小説投稿サイト「小説家になろう」や「Arcadia」への掲載から出版された“異世界転生モノ”(※3)と呼ばれる作品です。

・女性の構成比が高い10位の『本好きの下剋上』は、「このライトノベルがすごい!2018」単行本・ノベルズ部門で第1位を獲得しています。

※3 異世界転生モノ:主人公が元の世界で一度死亡し異なる人物として異世界への生まれ変わりを果たしている作品

2.【文庫】男女均衡、メインは男女40代・50代と男性60代以上で
文学・小説とともに年代は高め

・1位は東野圭吾さんの『ラプラスの魔女』。東野圭吾さんは7位『人魚の眠る家』と2作品がトップ10入りしました。2位は2016年の「本屋大賞」を受賞した『羊と鋼の森』で映画化作品が上位に入りました。トップ10の内5作品が映像化されています。

・3位に総合1位の『漫画 君たちはどう生きるか』の原作で1982年発売の岩波文庫版が入っています。

3.【新書】男性が81%とかなり高くメインは男性40代~60代以上で、
特に60代以上がアップ

・上位は日本の歴史を扱う作品が多く占め、読者層の年齢が高いです。

・女性割合が高いのは6位、下重暁子さんの『極上の孤独』。一人を楽しむ生き方といった内容で男女50代~60代以上が多く購入しています。

4.【コンピュータ・IT】男性が81%と高く、メインは30代~50代で増加、
女性は少ないが40代~60代以上が増加

・1位は、AI(人工知能)と人間の現状と未来について書かれた『AI vs.教科書が読めない子どもたち』で、40代~60代以上の男性の購入割合が高いです。全般的に「AI」、「ディープラーニング」がタイトルの書籍が多く、「機械学習」、「RPA(Robotic Process Automation)」、「自動化」といった最近話題の派生キーワードを盛り込んだタイトルの作品が上位に入っています。

5.【暮らし・実用】男女でほぼ同等、メインは女性の40代だが減少、
男性は50代~60代以上で増加

・男性の購入作品をキーワードで捉えると「健康」と「食事」。一般的な健康法を最新研究などをもとに、常識を覆す内容の作品を50代~60代以上が好んでいると見受けられます。1位は『医者が教える食事術 最強の教科書』、3位は『こわいもの知らずの病理学講義』で、この他に上位10作品中5作品が「健康」や「食事」をテーマにしたものになっています。

・女性は、「ダイエット」、「料理」、「整理」などがキーワード。仕事、家庭、子育てに忙しい30代~50代女性が、短時間で効率良く人生の理想を求めるといった内容が見受けられます。2位に『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』、4位『レシピを見ないで作れるようになりましょう』が上位に入りました。

6.【絵本・児童書】女性59%、40代がメインだが減少、男性20代~60代以上が増加。
女性は子供目線で一緒に楽しめる、
男性は大人目線で「子供に読ませたい」本が上位に

・1位は総合でも第1位となった『漫画 君たちはどう生きるか』です。2位は『ざんねんないきもの事典』、3位に『おしりたんてい』シリーズが入り、40代の母親層が安心して楽しめる作品と評価していると考えられます。

・5位の『えがないえほん』はミステリー4大出版社、早川書房の作品で、読み聞かせ動画が話題になりヒットしYouTubeに読み聞かせ動画も多数アップされています。

・男性の構成比が高いのは6位の『ミライの授業』です。エンジェル投資家で大学でも教鞭をとる著者の瀧本哲史さんが中学生に向け行った特別講義を書籍化したもので男性30代~50代といった父親世代の購入率が高いです。

今回の調査結果から

 総合ランキング第1位の『漫画 君たちはどう生きるか』は1937年に刊行され読み継がれてきた歴史的名著を万人に読みやすく漫画化したことで大きなヒットとなっています。このヒットは原作本や関連本など他の作品の併売効果を生み出しています。また、スマートフォンの所有率・使用時間が高いとされる20代~40代の女性が、映像化作品の小説、コミックを購入しヒットを支えているということがわかりました。特に女性コミックジャンルではSNS投稿からコミックス化された『ヲタクに恋は難しい』が1位を飾るなど「電子発」の作品の台頭も見逃せません。
 上位10作品のうち7作品が受賞作品、映像化作品という上半期総合ランキングは、メディア露出の影響力を強く感じる結果となりました。2018年下半期は、7月18日に第159回「芥川賞・直木賞」が発表され、また、7月始まりのドラマだけでも10作品以上が“原作本あり”ということで、今後の販売動向は注目です。

hontoランキングについて

 ハイブリッド型総合書店hontoは本好きを中心とした約470万人もの会員を有し、hontoサービス実施店の丸善、ジュンク堂書店、文教堂とhontoサイト(電子書籍ストア、本の通販ストア)による購買調査が可能で、各種ランキング情報などを豊富に提供しています。出版に関わる事業者にとって有益な情報を提供すべく、今回独自の調査に基づきレポートを発表しました。

※本調査の結果・グラフをご利用いただく際は、必ず「ハイブリッド型総合書店honto調べ」と記載ください。

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