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投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひさしぶりに楽しめる巻だった。平氏源氏の源平合戦を中心に話がすすむ。個人的には義経の騎兵論が興味深かった。一巻以来の出来だと思う。
紙の本
源氏の復活と武士政権
2020/01/11 10:46
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投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
□鎌倉幕府の誕生
源頼朝の奇蹟
・清盛の母池禅尼の懇願で伊豆に流罪
・北条一族という腹心を得た
・後白河法皇の次男以仁王の「平家追統」令旨が
全国の源氏に伝わった
・石橋山の合戦で惨敗するが、生き残った
・義経の平家三連勝(一の谷、屋島、壇之浦)
鎌倉幕府成立に至る過程は「源平の争い」ではなく、律令政治に対する地方武士の反乱であり、木曾義仲も源頼朝も武士政権獲得の為の「神輿」に過ぎなかった
源義経が歴史に与えた影響
平家の呆気ない滅亡はなく、平家滅亡による軍事バランスの崩れによる奥州藤原氏の滅亡も無かった
義経は戦術の天才であったが、頼朝の戦略を理解していなかった
頼朝の戦争目的は平家を滅ぼすことではなく、安徳天皇の持つ神剣を取り戻すことであったが、それができなかった
また、頼朝の許可なく、後白河法皇より検非遺使(判官)に任命された
頼朝が目指したのは関東独立(武家政権)であり、人事権も独自のものでなければならず、義経にはこれが理解できなかった
武士達は何故独立したかったのか?
武士達には明確な土地所有権が認められていなかった
土地は命を懸けて守るものであった→一所懸命
武家政権の将来の禍の種が奥州藤原氏
秀衡は鎌倉との武力衝突は避けながらも、義経を司令官として戦う硬軟両面の戦略を進めていた
秀衡が死に、泰衡を義経を匿った謀反人として追討した
金色堂が現存していることや義経不死伝説が残っていることも、怨霊信仰によるものである
1185年
鎌倉幕府(頼朝)は、後白河法皇より日本国惣追捕使、日本国惣地頭、反別五升の兵粮米徴収権を得た
これにより、実質的支配者の地位を獲得した
軍事面の代官は源義経であり、政治外交面の代官は北条時政であった
京育ちの頼朝は、流罪地で現地部族と協力し革命を指導、成功させたが、幕府開設後は朝廷との協調路線をとろうとし、天皇家に娘を嫁がせて貴族になろうとした
坂東武士から見ると、裏切り者であり、源氏が三代に渡って不審死したのも不思議ではない
頼朝には革命理論がなく、天皇家を倒すことが正当化されない以上、天皇家と同化するしかなく、娘の入内=天皇家の外戚という手段でしか日本統治は達成できないのである
□武家政治の確立
頼朝の落馬による急死(1199年)で頼家が二代目将軍となる
暗愚の将軍であった頼家は伊豆に幽閉され殺される
三代目は頼家の弟の実朝である
実朝は言霊将軍であり、歌詠み政治だった
制度的には公武合体となり、幕府が朝廷の支配下に入るということになる
実朝暗殺は公武融和の象徴である鶴岡八幡宮で行われ、公武合体路線を断固拒否するという鎌倉武士団の総意を示したものであった
北条政子は実朝に実子がいないことから、朝廷に親王将軍派遣を依頼
しかし、地方武士の北条には身分差もあり拒否されたが、軍事圧力をかけ強要した
後鳥羽上皇は武力倒幕を決意、承久の乱を起こす
政子は鎌倉武士達に頼朝以前に戻ることを訴え、結束した
承久の乱後、北条泰時は御成敗式目を発布
律令に変わる新憲法であったが、天皇家及び律令体制を抹殺せず、朝廷と幕府を併存させた
御成敗式目は納得の実現に至る正しい筋道=道理に基づく考え方で成立
日本統治のために泰時は思想的サポート役として、明恵に弟子入りする
明恵の教えは日本自然教の教義として仏教の枠を越えて受入れられていく
律令政治は何もしないコトダマイズムの政治であったが、武家政治はリアリズムの政治である
その背景は、一所懸命に土地を守ることにあった
電子書籍
時代の転換期
2024/02/25 17:39
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「穢れ」た存在であるはずの武士が政治の主導権を握ったせいか、怨霊の出番がまるでなくなってきたみたいだ。その代わりに道理が登場するそうだ。今までの巻の怨霊と言霊と比べて今ひとつ納得感に乏しい。いずれにしても今までになかった政治形態を作るということは、このように試行錯誤の連続なのだなということを感じた。
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このシリーズは「日本人」を知る上で、かなり重要な本だと思います。言葉遣いをセンセーショナルにしすぎなのは、ちと頂けませんが、歴史じゃなくて思想を主題においているからしょうがないのかな。
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なんで5巻だけ買ったかっていうと時代が義経だから?wそんな感じっす。内容ね、面白いん。学校で先生のやつ読んで、面白かったから自分でも買ったのw有名なんだねぇ。勉強なるし、いいよ?
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逆説の日本史第5巻
鎌倉幕府の成立と、武家政治の確立が描かれている。
何故、源頼朝は弟義経を殺したのか??結構、義経が悲劇の武将と思われているけど、この本を読むと、義経が如何に軍事の天才であっても、ただそれだけの事であり、兄頼朝からみれば、兄の意志を無意識のうちの挫いていたんだねぇ。兄は政治家として大局を見極めて動こうとしていたのに…義経はそんな兄の心を知らなかった…。
今までの義経イメージが覆されました。そして源氏は何故三代で滅んだのか!!そりゃ、そうなるよねぇ〜と思わずにはいられませんでした。鎌倉幕府とは武家の寄り合い所帯で源氏はそのお飾り的存在だったんだよね結局は…。そして執権・北条一族の暗躍!!好きです(笑)大河ドラマ「北条時宗」好きでした(爆)
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相変わらず、面白い。本筋に関係ないけど、「アニミズム・マナイズム」の対比は「アマ・マナ」→「オモ・モノ」の対比を使った方が日本語として明瞭になる。オモ主義とは情理主義、モノ主義とは合理主義のこと。これらは現代思想の文脈では実存論と実在論になる。根拠に興味のある方はjump。http://homepage2.nifty.com/midoka/
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武士の世界が日本を席巻した理由とは?
源義経の印象が変わりましたー!
鎌倉幕府第四代征夷大将軍って誰だかご存知?
ハマります
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「奇跡」の連呼で、他の巻に比していま一つ切れ味に欠ける巻だったように思う。ボリュームも心なしか少ない印象もある。
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今回は鎌倉幕府成立を通して、日本の宗教感、学会の矛盾や憲法問題にまで迫っています。
頼朝がなぜ幕府を成立できたか、義経はなぜ滅びなければならなかったのか、日本史の「なぜ」を解き明かす筆者の主張には納得の一言。
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怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》
日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。
日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。
近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。
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源氏勝利の奇蹟の謎
・鎌倉幕府の誕生Ⅰ
源頼朝と北条一族編―「源源合戦」「幕府成立」を予見した北条時 政の謀略
・鎌倉幕府の誕生Ⅱ
源義経と奥州藤原氏編―”戦術の天才”義経が陥った「落とし穴」
・鎌倉幕府の誕生Ⅲ
執権北条一族の陰謀編―鎌倉「幕府」を教える歴史教科書の陥穽
・武家政治の確立Ⅰ
悲劇の将軍たち編―「言霊将軍」実朝を暗殺した黒幕
・武家政治の確立Ⅱ
北条泰時と御成敗式目編―「法の正義」に優先する「道理」精神
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学生時代に歴史を専門として勉強してきた私には、目から鱗。学校ではあくまで歴史書として残されているものが第一として教えられる。でもその時代の為政者の都合に書物が左右されるのも事実。結局どちらが正しいのかはその時代に生きている人しかわからないのだけれど、こういう解釈もありよね…って思わせてくれる。無理もないので楽しく読める。
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鎌倉幕府の誕生から北条泰時による武家政治の確立までの約150年間が書かれている。
平氏が滅び源氏が鎌倉幕府を起こした、というのに、戦では源平合戦どころか、源源合戦になっていたり、教科書で学んだ学生当時は、よくわからなかったが、時の流れと、当時の感覚に意識をのせてみると、面白いほどよく分かった。
源氏も平氏ももとは天皇家の子孫。そこから頼朝が幕府という実体をつくり、実権を握るが、あくまで朝廷は存続し、源氏三代を経て、北条氏によって、朝幕併存体制という日本独特の不思議なシステムが確立する。
しかも、幕府時代(武家社会)といっても、日本はあくまで桓武天皇の古代から律令国家のままだった。そして、それが明治時代まで続いていたというから驚きだ。
果たして今の教科書は、このような物語を教えているのだろうか。
そして、この朝幕併存体制が生まれた背景には、日本人の和の思想があった。
「法」と「道徳」と「道理」。
中世に生まれたこれらの思想の軋轢は、現代もなお続いている。
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日本人は「納得」できるかが最も大事なんだと。白黒つけるより、灰色の納得に満足する民族。
このシリーズを読んで毎回思うことだが、歴史の奥深さを改めて感じた。
ただ単に史的証拠とされるものが正しいことをいってるとは限らない。
広い視野で物事を俯瞰する。それが良く分かるね。
高校生以上におすすめです。