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逆説の日本史
著者 井沢元彦
タブーに近かった空白の古代史の謎を大胆な推理で解明。日本史の常識を覆す全日本人必読の新・日本史!
日本人の「わ」の精神のルーツは?宮内庁が天皇陵の学術調査を拒み続けるのはなぜか? タブーに近かった空白の古代史の謎を大胆な推理で解明し、歴史学界の旧幣と教科書教育的な「日本史の常識」を覆す。
目次
●序論 日本の歴史学の三大欠陥
1.信長と安土
2.アカデミズムと丸山ワクチン
3.「素人」が大それたことをする理由
第1章 古代日本列島人編-日本はどうして「倭」と呼ばれたのか
第2章 大国主命論-「わ」の精神で解く出雲神話の”真実”
第3章 卑弥呼編-女王殺害と紀元二四八年の重大事件
第4章 神功皇后編-邪馬台国東遷説を裏付ける宇佐神宮の拝礼作法
第5章 天皇陵と朝鮮半島編-日本人のルーツと天皇家の起源
年表
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逆説の日本史22 明治維新編/西南戦争と大久保暗殺の謎
06/26まで通常979円
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逆説の日本史 1 古代黎明編
2005/01/26 00:50
日本人の気質が理解できる人のためだけの最高の日本史
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヘモ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の緒言からあとがきまでこれまでの日本史に対する反駁の書であった。現在の日本史の研究家が理系のような実証主義で理論を構築していくことに対し、強烈に批判している。非常に長いシリーズの第一作だけあって筆者の本作を生み出したモチベーションがここにあることが誰にでも理解できる、エネルギーあふれる一冊であった。
(日本史の学会というものを知らないので、この本の内容からの理解だけだが)科学のような実証主義が蔓延した日本史の歴史は確かに、資料の少ない古代を鮮明に描いているとはいえないのだろう。そこを(現代とあまり変わりないであろう)古代日本人の気質を手がかりに、さらに日本の政治が怨霊を抑える・封じ込めるということに基づいて方向性を決定しているという推測を元に、鮮やかに日本史を書き直している。これは、小説の手法であり、読み物としても一級であった。
もちろん学問とは科学的、実証的に進める必要があり、誰にでも納得できることが大切である。しかし、自分の日本人としての経験、感じ方などから本書は論理的整合性が保たれていると十分感じさせるものがあった。したがって、逆にこの前提(日本人としての気質)を持たない人々には、納得できない本なのであり、中傷の対象となっていることも理解できる。
この第一巻は日本が倭と呼ばれる理由から天皇家の成り立ち、そして古代朝鮮半島とのかかわりに関し、大胆かつ明快に解説している。特に任那の日本府に関する謎解きは出色の出来であり、真偽は別として、これが史実なのかと筆者とともに発見している興奮を味わえた。さらに、現代韓国人の気質も詳細に分析し、現代日本人となぜ相性が悪いのかを古代半島に起こった軋轢が原因であると論じている。もちろん完全に正しいとはいえないかも知れないが、非常に論理的な説明であり一読の価値は十分にある。
日本の歴史を勉強する取っ掛かりには最高のエンターテイメント系の書である本書は生涯にわたり長く記憶される熱い一冊である。
2020/06/22 13:41
歴史(学)は科学か?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学とは「客観的な方法で系統的に研究する活動及びその成果」と定義づけられている。この本を読んでいると「歴史(学)というのは科学なのだろうか?」という根本的な問題を突き付けられたような気がする。
客観的というからには文献や出土品をもとにのみ歴史を構築する となるが、著者が何度も指摘しているように文献は製作者の意図でゆがめられているケースが大半。
それならば思い切ってその当時と後世の人々の想いを想像して歴史を構築すべきだという著者の考えに同意するところが多い。
もちろん様々に考えられる仮説の一つに過ぎない ということを常に心に留めながらではあるが。
ともかく 単なる読み物としても大変に面白い。
逆説の日本史 2 古代怨霊編
2019/08/22 14:43
逆説の日本史シリーズのテーマで聖徳太子から平城京にわたり冷静、時に熱く「史料至上主義」に対し迫っています
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:多摩のおじさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年1月に亡くなられた梅原 猛氏の「隠された十字架 法隆寺論」や、関 裕二氏の今から20年以上も前から想像力溢れる自由闊達な今まで
とは異なった古代史論に魅了され、すっかり古代史に嵌ってしまいましたが、著者の逆説の日本史シリーズは、何故か手に取ったことがなく唯一、
足利義満をテーマの「天皇になろうとした将軍」のみで、本書を読んで、もっと早くから出会っていればと後悔ばかりでした。
第1章「聖徳太子編」、第2章「天智天皇編」、第3章「天武天皇と持統天皇編」、第4章「平城京と奈良の大仏編」の4章からなっていますが、
貫かれているものは、逆説の日本史シリーズのテーマである『歴史の宗教的側面を無視ないし軽視し、「サヨナラされたもの」の中から、日本史の
真実を発見しようと思っている』(p.44の要約)であり、各章毎で首肯せさられた主な点は、以下のとおりですが、これは本書で指摘の「史料至上
主義」に対する著者の熱いメッセージなのでしょう。
その中での圧巻は、第2章、第3章の天武天皇の出自の疑問(没年齢不明)、天智天皇の陵墓の書記での記述なしに着目し、天武天皇による
天智天皇の暗殺説(671年12月「扶桑略記」の天智天皇の沓が落ちていたところを山陵とした記述に着目し、両天皇の対百済・新羅への外交
の違い、671年6月天智朝の大宰府長官へのスパイ(栗隈王)着任、11月唐使来日、天智朝と唐の同盟締結の阻止のため暗殺)は、梅原氏や
関氏の上を行った実に説得力ある展開です。
ただ、両氏も指摘の称徳天皇の死により、結果として天武天皇の皇后で天智天皇の娘・持統天皇による天智朝復活(光仁天皇⇒桓武天皇)は、
実に歴史の不思議さ、皮肉さを改めて知った思いでした。
(第1章)
・殯の期間の短い崇峻天皇と藤ノ木古墳のもう一人の被葬者(穴穂部皇子)の比定と聖徳太子陵墓の検証(p.76-131)
・聖徳太子以降の「徳」の諡号をもつ6人の天皇の死の検証(p.131-198)
・「聖」「徳」のもつ意味(p.172,178,188,196,197)
(第2章)
・天智系(天智~光仁~桓武)と天武系(天武⇒称徳)の並列した系図(p.260)と泉湧寺での天武系の排除(-p.270)
・森鴎外の「帝諡考」での天智と天武の中国・殷の紂王とそれを討った周の武王の対比(p.273-288)
・天武の671年の天智暗殺説と三井寺(p.273-371)
・668年反新羅の天智朝から新羅人の道行が草薙剣を盗む(p.313-315)
・壬申の乱以前の天智朝の反新羅(親百済)体制、天武天皇の唐と断交し新羅と友好関係(p.316)
・壬申の乱で近江朝廷を裏切った天武のスパイ(天智朝の筑紫大宰の栗隈覆王)の存在と天智暗殺計画(p.318-338)
(第3章)
・梅原氏の指摘の持統から文武への祖母から孫への譲位と天孫降臨(p.395-397)
・持統が始祖となることで天智王朝の母系で復活(p.400)
・正史「続日本紀」での長屋王の無実(東人による長屋王の誣告)の記述(p.439)
(第4章)
・怨霊信仰の変遷および飛鳥、奈良時代の怨霊信仰の正史記載なしの指摘(p.459)
・藤原四兄弟の死を長屋王、大津皇子等のたたりと聖武・光明皇后の認識とその怨霊封じを目的に奈良の大仏を造営(p.444)
・光明皇后の強い薦めで国分寺、国分尼寺(法華滅罪之寺)建立(p.432)
また他の著者の作品の引用等の明記や的確な小見出し、著者への反対意見の反証も理路整然と語られている点も読み易さに通じています。
なお古代史の場合には、本書に限らず既出箇所の引用や繰り返しが多くなる傾向があり、引用頁や索引、また巻末の年表や系図がもう少し詳しい
と更に良かったですね。