紙の本
扉の向こうへ。
2017/02/19 11:38
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投稿者:M77 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもと違う道へ踏み出して博物館に入り込んだ子供時代の享と現在の作家である私。十九世紀、エジプトで遺跡を発掘し博物館に展示し、次代へ語り継ごうと奮闘するマリエット。幾つもの時間が博物館で交錯し、ついには現実が物語と溶け合っていく。
手を繋いで扉の向こうへ踏み出す享と美宇のイメージに心が踊る。
紙の本
あの大名作への、オマージュ的作品。
2006/11/27 15:54
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間と空間を歪めてしまうといった物語は星の数ほどあるし、物語の内側と読み手のこちら側を交錯させてしまう、というのもそれほど珍しい手法では無い。
ミヒャエルエンデの「はてしない物語」等に代表されるその手法は、読み手を物語に引き込むのに、非常に有効的であると思う。果たして本作品は、ファラオの時代の物語に、そのファラオの墓を発掘する探険家の物語、そして現代の小説家と、その小説家の少年時代。そして、未来からきた少女。その5つの時間が、「博物館の博物館」を軸に交錯し、進んで行く。誰がどの時代の登場人物なのか!?いや一体誰が書いているのか?読んでる私は一体誰なのか!?
作者の意図するところは理解できる。それらの手法に小説の矛盾点や盲点(人称等)、それら全てを盛り込み、ミステリも冒険もSFも高い次元で融合させて物語として編み上げ、昇華させる。物語終盤は長いRPGのラスボス対決を読んでいるような、上等なアニメ映画のラストを見ているかのような錯覚を覚えさせられた。
確かに非常に良く考え調査されているし、書き上げるのに相当苦労されたのではないかと思われる。物語はパズルのように組み上げられ、見事に纏め上げられている。ただどうも何かこの「何でもアリ」感、覚えがあるような無いような・・・。それからどうも、内容に対してのタイトル・表紙絵に違和感があったのだけど。なるほど、最後の最後にその答えが書いてあった。日本人なら知らない人はいない、「あの大名作」へのオマージュ的な意味合いが含まれていたのだ。「あの大名作」とは・・・表紙絵の「扉」、がヒントw。
ただぶっちゃけ、解り辛いのだ。馴染みの薄いファラオの時代の用語が飛び交う中、時間空間に物語のあっちこっちに視点までがぐるぐる変わって、どうも落ち着いて読むことが出来ないのが難点と言えば難点か。
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2006/10/10購入。未読。瀬名秀明は、ブレイン・バレー(上)を鞄に入れっぱなしのママ半年くらい経ってしまってしますが、つい購入。
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瀬名秀明の長編第三作です。
PEやBVのような圧倒的なスケールを感じさせるSF小説ではなく、藤子・F・不二雄的、少し不思議な物語でした。実際、本作は藤子先生に捧げられています。ドラファンの私は満月博士とミウにはちょっとにやりとしてしまいました。
ジュヴナイルものとしてもほのぼのとしたところがあって、なかなか面白かったです。
終盤の怒濤の展開もメタ的で面白かったのですね。
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パラサイト・イブの作者が放つどちらかというと青春モノ。こういうのをボーイミーツガールというのであろうか。
科学者である筆者が、フィクションつまり嘘を書くことに苦悩してるのがよくわかる。
そんなメタな話を抜きにしても十分面白かったのに。
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失礼ながら脱理系作家を目指す足掻きを感じた。
前半、まったく面白さを感じられず、なかなか読み勧められなかった。「お?」と思ったのは100ページを過ぎてからだった。
最初はバラバラだった物語が、後半絡まりあっていく様は、なかなか面白い展開だった。物語は「見せ方」が大切とは、この人の心の叫びのようでもあり興味深かった。
でも私は、いつもの理系物語が好き。
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2010 1/24 読了。友人に借りて読んだ。
中盤、Museumに関しての蘊蓄や描写、「見せ方」の話のあたりや啓太との確執部分が非常に面白かった。
アピスが出てきてからはあまり物語に入り込めなくなった・・・なんでだろう?
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冒険小説なのかどうかよくわからないけど、帯の文句で冒険小説にカテゴライズしました。
時空を超えて移動することができる不思議な建物「THE MUSEUM」から始まる、壮大なスケールのストーリーです。
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話の素材が面白かったし、展開も嫌いじゃないんだけど、いかんせん長すぎた…。
遅読の自分としては、話が長い上に歴史や博物館のシステムに関する説明が多すぎて読み進めるのがつらかった。
大枠のストーリーは好き。
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こんなミュージアム行きたいよ!!本当に!!行きたいと願った美術館博物館図書館・・・などなど、自分の行きたいところを心に浮かべるだけで行ける。時間を遡ることも出来るから、劣化していないそのものを見ることが出来るし、ただ見るだけでなく、手にとって触って…五感をフルに使って鑑賞することができるなんて素晴らしすぎるよ…!羨ましい。亨くん、わたしも連れてって。。。
このお話はトオルと美宇の冒険パートとそれを書く小説家となった亨くんパートと2つの視点で話は進められており、前者はとても面白かった。
だけど、この本を入れ子式にする必要はあったのかな?2人の冒険の物語にして最後は蛇足だったんじゃないかと思ってしまった。
解説を読むと瀬名さんが描きたいことの1つであるようなので、大切何だろうけれど、ま、個人的な考えです。
最後変なこと書きましたが、めちゃくちゃ面白かったです(^^)
わたしの博物館に行く意義や楽しさを文章に表してくださったのもあり、スッキリしました。
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***** 図書館抄録 ***** 20年前の夏の午後、ふと足を踏み入れた洋館で出会った不思議な少女・美宇。黒猫、博識の英国人紳士。その奇妙な洋館の扉からトオルは時空を超えて、「物語」の謎をひも解く壮大な冒険へと走り出した−。 *******************現代の世界・作家自身、20年前の世界・小学6年生の少年亨(トオル)、1859年エジプトの世界・オーギュスト・マリエット。>なぜ物語には始まりと終わりがあるのだろう。3つの時代を行きつ戻りつしながら、物語はながれていゆく。小学生最後の夏休みの午後。友達と過ごす時間、宿題、登校日、教室、プール、図書室。エラリー・クイーン、映画「ナイル殺人事件」、ドラえもん。なにもかもが、私にとっても懐かしい世界。思わず私も、瀬名氏と「同調」してしまいそう。ノスタルジックな部分だけではなく、アカデミックでSFでファンタジーで冒険もあり、てんこ盛りに楽しめた。現代の作家自身の部分で、盛り上がった気持ちがダレテしまったり、場面転換が急で、気持ちが繋がらなかったりする箇所が多かったのはちょっと残念。些か物語が複雑だったので、暑い夏の日にまたゆっくり読み返してみたいと思った。たなぞう「すずめ」さんのご紹介本。ありがとうございました。
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古代エジプト、19世紀の遺跡発掘、現代、そして未来を繋げる壮大なファンタジー小説。
理工系大学院生という肩書きでデビューした筆者が、おそらく様々な批評を受ける中で、小説論を追求してみた実験的な要素もあるようだ。
物語の構造が複雑で、半分くらいまでは読むスピードが上がらないが、後半にかけて一気にスピード感が増す。
が、やはり情景描写は、著者のイメージが高度すぎて、文章では伝わりにくかったように思う。
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冒険要素のあるSFが読みたいと思って購入。
少年時代の爽やかな感覚があり、そこはよかったのだが、かなり物語が長く、途中退屈してしまった。
文学的というより映像的な作品。
SFやファタジーの映像表現の技術が進んでいる今、この作品が持つような映像的な要素の価値は減っているのかもしれない。