紙の本
脳神経外科医の自伝
2016/02/21 22:18
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投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリスに生まれるが、本人は同性愛者で兄は統合失調症であることから逃避してアメリカへ逃避する。観察眼は鋭いが、本人には人の顔を覚えられない相貌失認があったためである。亡くなってから自伝を出しているが、予期していたのか。
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「帽子」と「火星」を読んだことがあって、手に取った一冊。脳や神経に由来する病気に偏見が多かった時代に、奇妙や症例を持つ患者に独自の目線を投げかけていたサックス医師に興味があった。医師として書かれた上の2冊の本ではいいこと言う人だなあ、と思っていたけど、結構めちゃくちゃな生活してて、一人の人として医者とは別の一面を垣間見る思いがした。
特に、神経科学者のジェラルド・エーデルマンの説を「生きてこの説を聞けるとはありがたい」と思ったというところが感動的だった。日常の神経科の診療で、これまでの説では説明できない事例にたびたび遭遇し、苦悩していたのだ。さまざまなことが解明されて説明可能になる、その力の大きさを感じた。これは神経科学だけでなく、他の病気でも当てはまるのではないだろうか。たとえ有効な治療法がない場合であっても、メカニズムを知ることで、自分の体(医師であれば患者の体)で何が起こっているのか受け入れやすくなるように思う。医療に携わらない一般人でも、脳や人体について学ぶことにはメリットがある。
紙の本
ドラマチックな人生
2023/01/25 13:18
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
オリヴァー・サックスといえば『レナードの朝』など一般向けの本で知られているが、サックス自身の人生がこれほどドラマチックであったとは。セクシュアリティをめぐる葛藤やガンとの付き合いなど、様々な人に読まれて欲しい。
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「レナードの朝」等の医学エッセイで有名なオリヴァー・サックスの自伝。両親が医者の家庭に育ち、紆余曲折の後、脳神経科の医者として診療を行いながら数々の症例をエッセイで紹介し、作家として才能を発揮する。
彼は仕事の傍ら、オートバイツーリングに熱中したりウェイトリフティングに熱中したり、世界中を旅して廻る等、とにかく一つの事に熱中しやすく、精力的に行動するタイプの人だったようだ。いろいろな経験を紹介しているが、彼自身が人生を通じて最も熱中したことは、「書くこと」であり、日記・論文・手紙・本等で自分の考えや経験を「記録すること」がライフワークだったようだ。付録では、旅行中のベンチやドライブ中の車の屋根で書いている様子が紹介されている。写真も趣味だったというから相当な「記録魔」だったのだろう。人の顔が覚えられない等の持病もあったようだが、それでも交友関係を広く長く続けられたのは、彼の記録癖のお陰かもしれない。病気に冒された人達でも、人間としての可能性を信じて前向きに治療に取り組み、それを紹介してベストセラーとなった本の成立から発売までの裏話、後日談など、いろいろ興味深い話が出ていて大変面白かった。
晩年の記述が少ないのと、性的な遍歴(本人にとっては重要なのかもしれないが)は不要と思うけれど、精神科医師らしくかなり自己分析的な内容で事後の考察も細かく(論文や本の言葉の数まで記録している)、自伝として秀逸な本だと思う。(翻訳も大変判りやすくて素晴らしい)昨年、惜しくも癌で死去してしまい、彼のエッセイが読めないのがとても残念だ。
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医事新報のコラムで紹介。ユダヤ人でホモセクシャルで異常なほど患者を客観視していたオリバーサックスの自伝。
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カオスの窓
不思議な人々を記述した本人もとても不思議。
動き続けた心と体をこれだけ記録してるのがさすが。
改めてサックスコレクション読むべ。
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『レナードの朝』『妻を帽子とまちがえた男』『音楽嗜好症』などの作品で挙げられる症例は「人間とは何か」という根源的な問いを感じさせる。作者自身の全てをさらけ出す自伝。
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12歳のときの通知表に <やりすぎなければ成功する> と書かれた少年がバイクに、化学に、ウェイト・リフティングに、同性愛に、サーフィンに、ドラッグに‥‥とありとあらゆることに首を突っ込んで、ひたすらやりすぎながら神経生理学の世界を突っ走った脳神経科医の自伝。「レナードの朝」や「音楽嗜好症」等々の世界をうならせた著作は、このようなエネルギーの持ち主でなければ生まれなかったのかもしれない。
それにしても60年代のヒッピーの先頭を走っていたのも若きオリヴァー・サックス先生であったという話は、ヒッピー文化の多様性と深さを知るうえで大いに参考となるエピソードといえるだろう。
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・錯視も私の心を引きつけた。知性による理解、洞察力、そして常識さえもが、知覚変容の力に対していかに無力であるかが浮き彫りになる。ギブソンの逆さメガネは光学的ひずみを頭脳が修正する力を示し、錯視は頭脳が知覚のゆがみを修正できないことを示していた。
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この本を通院先の脳神経内科の待合室で読んでいるとき、オリバーサックス急逝のニュースがテレビから流れてきて、しばらく無心状態になった思い出がある。
その後に主治医の脳神経科医にオリバーサックス知ってるか尋ねたら、知らないと伝えられたのも印象的だった。専門家よりは一般人に知名度があるタイプの人なんだろうか。
サックス氏の著書には中学生頃に出会い、夢中で読んで一時期医者になりたいと思っていた。
彼の人生が丸々書かれていて、嬉しくも新鮮だった。彼自身のことはあまり知らなかったので、僕と同じかそれ以上に紆余曲折していて少し安心できた。
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訳者あとがきによれば、本書の翻訳作業が佳境に入った頃、著者の訃報を聞いたとのこと。そのタイミングも含めて最初から最後まで驚きの一冊。
エピソードのひとつひとつの情報量が多くて医学的なことは分からないこともあるのだけど、家族のこと、恋愛のこと、波瀾万丈でドラマティック、かけがえのない人生を丸ごと書き残し広く共有してくれたことに感謝。映画『レナードの朝』撮影時の話も必読。S氏推薦本。