紙の本
権力と憎悪
2022/09/23 10:17
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投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
リチャード三世の悪人の性格の描き方が凄い。ここぞとばかりに憎悪をぶちまける。人を罠に嵌めていく。今まで殺した者が夢に現れて来る所がゾッとする。権力と個性の間の悲劇。
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リチャード三世
2022/03/22 11:32
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「快読シェイクスピア」の中で、河合隼雄が「リチャードは王位に就くことが目標で、目標を達成しちゃったからそのあと転落したんですよ」みたいなことを言っていた。目標を達成したが故の転落に、興味が出たので読んでみた。確かに、彼は王として君臨することよりも、卑怯な手を使ってでもライバルに勝つことが好きだったというのはわかる気がした。
本題とは外れるけど、第一幕第二場でアンがグサッとやっていればよかったのにと思ってしまった。返り討ちにあうリスクもあるけど、やってほしかったなあと思ってしまう自分はなんて悪人なんだろう。
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面白かったです
2021/11/19 12:26
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
シェイクスピア屈指の勧善懲悪ものです。シャイロックやフォルスタッフなどなどシェイクスピア作品にはつい思わず応援したくなるような小悪党がいくらか登場しますが、今作のリチャード三世は身も心も醜く(実際の彼がどうであったかはともかく)、ひたすら憎い存在。そんな最低な人物の所業をずっと見せられている分、ラストの負けっぷりがとても気持ちいいです。また、ヘンリー六世から引き続き登場する数々の個性的なキャラクターがとても魅力的でもありました。面白い作品です。
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リチャード3世
2020/03/28 14:17
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
「時の娘」を読んでからリチャード3世ファンです。たしかに面白いけれども、リチャード悪人説を決定づけたのはシェークスピア。ポアロも、人間はその人のキャラクターにないことはしない、と言っています。生涯を通じて兄エドワード4世への「忠誠が我を縛る」をモットーとしたリチャードが幼い甥を殺すでしょうか。一億万歩譲ってリチャードが犯人だったとしても、血筋としては国王の私生児の子孫でしかないヘンリー7世よりも正統なのに、何故ボズワースで負けてしまったのか、神も仏もないと思います。
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「馬だ!馬をよこせ!代わりに俺の王国をくれてやる!」という明言を残したリチャード三世。卑劣な行いをしながらも、爽快に悪を演じきる様が素敵。皆が善を演じている中、悪を演じるリチャードが光る。
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あれほどまでに人を裏切り、殺した末に玉座に着いた男が、その死の間際に欲したのが一頭の馬だったという虚しさ。リチャードの最後の台詞が、この物語の全てではないか。
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リチャード三世は純悪である。それでいてどこか捉えがたい魅力を内に秘めている。どうしてこうも蠱惑的なのか?比類なきまでの完全な悪には人々の心を惹きつけるものがあると感じた。
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薔薇戦争末期。エドワード4世の統治下のイングランド。自らの容貌にコンプレックスを持ち野心を膨らませるエドワード4世の弟グロスター公リチャード。兄であるクラレンス公ジョージを罠にはめ殺害し周囲の人間たちを徐々に殺害していく。ヘンリー6世の息子の妻であったアンへの求婚。ジョージの遺児たちの殺害。王位に上り詰めたグロスター公リチャード。リチャード3世となったグロスター公に反旗を翻す諸侯たち。薔薇戦争の終結。
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"A horse! A horse! My kingdom for a horse!"
「馬をよこせ!馬を!代りに俺の王国をやる!馬!」
脚注に「この戯曲で最も有名なセリフ」とある。
リチャード三世は悪の権化として描かれている。競争者を欺き、陥れ、暗殺し、弁護のしようもない。
ではなぜリチャードはイングランド王の地位を望んだのか。冒頭の独白はあるが、動機としては弱い気がする。
思うにリチャードは王国そのものはどうでもよく、周りに映るライバルや裏切者や不安材料を振り払いたかったのではないだろうか。
そこで最後のライバルであるリッチモンド伯を追いかけるための馬を欲した。
王国を手にするためにその手をあまりにも血で汚し過ぎた代償として、どんな競争者であっても完全な勝利をおさめない限りは生きていけない...そのことを自覚しているからこそのセリフだと考えると、「共感できる悪党」という評価もわかるような気がする。
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ヘンリー4世を読む前にこれを読んだ方が背景がわかるから、とのことで読了。自分が正当・正統な王様であるかどうかをみんなわりと気にするんだなぁ。
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2017年17冊目。
『ヘンリー六世』の終盤に不穏な言葉を放ったリチャード三世が王位を狙った史劇。
見た目からも言動からも際立った悪役で、強烈な印象を残す。
悪役ならではの策に次ぐ策。
市民たちの前で聖人ぶる姿は見事でありながら滑稽で見所。
二者のやり取りが対になってリズミカルに交わされる場面が多く、
心地よいテンポとうまい言葉遊びに舌を巻く。
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シェイクスピア全集 (7) リチャード三世
(和書)2009年04月15日 15:57
1999 筑摩書房 W. シェイクスピア, William Shakespeare, 松岡 和子
翻訳の読み比べなどが楽しい。福田恒存と松岡和子の読み比べをしています。正義の論理で悪を貫くところが見所です。悪に見えて善。善に見えて悪という、その諸関係が織りなされていてそこが非常に面白いです。
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訳者あとがきとか解説とかを先に読んでから読み始めれば良かったのかもしれない。とにかくまあなんでこんな悪者が主人公になるのだろう、とそんなことを考えながら読んでしまった。で、自分なりの解釈は、そう言えば日本であっても戦国武将(ほとんど知らないが)の中には悪党で魅力のある人物もいただろう、それと同じようなことなのだろうということ。本当に簡単に人を殺してしまう。その辺の感覚はいまとはずいぶん違っていたのだろうなあ。それで、解説を見ると、主人公は身体に障害があったのか、醜悪な容姿ということ。まあ、それも事実かどうか、シェイクスピアが誇張しただけなのか、そのあたりは分からないが、その辺からくる世の中へのうらみつらみなど、いろいろとあるのかもしれない。歴史を全く理解していないので、どこまでが史実に基づくものかもわからない。でも、歴史的な背景を知った上で舞台を観れば印象もずいぶん違うのかもしれない。やっぱり教養は必要だなあ。ところで、ずいぶんと「馬」が強調されていて、蜷川の舞台でもそのあたりに力が入れられているようだが、読んでいるときには全く気付いていなかった。うかつである。
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漫画『薔薇王の葬列』の原作ということで読んだ。
一気読み。
シェイクスピアの中で1番好きな作品群に入る。
リチャードが最初から「思い切って悪党になり、
この世のあだな楽しみの一切を憎んでやる。」と
悪に振り切っており気持ちいい。
我らが主人公!って感じ。
連禱のような対になる台詞が多く気分が高まる。
かわいく賢い小さなヨークが
無邪気にリチャードの地雷を踏み抜いていく場面は
舞台で見てみたい。
饒舌で自信家だったリチャードが
終盤ぐらぐらと揺らいでいき、
最後には一頭の馬を求めて死んでいくというのがまた浪漫だなぁ。
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初めてのシェイクスピア!
去年海外ドラマで薔薇戦争やヘンリー八世にはまったので、ついにシェイクスピアを。
いくつか有名なセリフが出てくるのだが、全て初耳(初目?)。
今までシェイクスピアといえば「恋に落ちたシェイクスピア」止まりだもの...
教養の低さね...
リチャードがまだグロスター公だった頃から、悪巧みや人を始末してしまうところなど数々の悪が描かれているが、最期はあっけない。
あんなに切望した王冠が3年ほどでチューダーに。
裏表や野心は誰にでもあるし、時代や王家に生まれたこともあってあまり憎めず、そこまで悪い人には思えなかった。
エリザベスが、憎いはずのリチャードに説得されて娘を結婚させるように翻意するのがえっ?!と思わずにはいられなかった。
息子二人や兄弟を殺された相手に娘を?!
父を殺されたアンも、罵っていたはずのリチャードに口説かれて結局結婚しているし、リチャードは口が上手く、意外と女性受けが良いのかもしれない。
少し前に遺骨が発掘され顔も復元されたリチャード三世。
あまりに醜く悪意に満ちた王として知られているのは気の毒に思える。
歴史は勝者が作る(創る)ものだし、シェイクスピアの作品があまりに有名で、名誉を挽回するのは難しそう。
エリザベスの二人の息子を殺したのも、本当にリチャード三世か分からないしね。
今後新しい資料などが見つかって、本当の姿がわかることを期待!