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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『儒学』をつくり、後世に多大な影響を与えた歴史上の巨人「孔子」の一生の大河小説です。
「儒学とはなんぞや」ってことはあんまり関係ない(ちょっとは触れてますよ)ただただ孔子の一生が書かれてる。
儒学に全く興味がないので、その辺は純粋に歴史小説として楽しめました。
ある程度、宮城谷作品を読んでる人は楽に読めます。
紙の本
孔子という教育者
2020/12/13 10:10
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
孔子伝というべき歴史・時代物語である。論語という孔子の言葉があり、それがいかなる時代順に述べられたが不明の状態で、生まれる物語は、作者の想いが強く表れる。失言があり失敗があった孔丘(孔子)は、周礼にあこがれ、聖人君子に憧れ続けた人だった。仁ということばに形而上学的なより高度な意義を求めた人でもあった。人として成功人とは言えないが、多くの者に教えを与え、多くの者の人格を育んだことは間違いない。神格化という被り物を取り除いた孔子を、読むことが出来たと思う。
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今回はいよいよ孔子の話。悠々とした著者の筆致の良さが前半特に出ていて、後半はややバタバタするけど、全体通して楽しめた。以外に孔子の人生は波乱があったのですな。
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【人間・孔子が生きている!】「論語」に描かれる神格化された姿ではなく、不運や失意にも苛まれた男の波瀾万丈を書いた大河小説。構想二十年にして最高傑作誕生!
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あとがきにもあるように、神格化された孔子ではなく、失敗もあった人間孔丘の生涯を描いた作品。その波乱万丈な生涯や、弟子たちとのエピソードもさることながら、個人的には孔鯉との親子関係が妙に印象に残った。
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孔子の生涯の物語。
孔子といえば、素晴らしい「論語」が思い浮かぶが、子供がありながら離婚して、人の生きる道や道徳を教えている。家庭がうまくいっていないのに他の人に人の生きる道を教えていることに違和感を感じる。
印象に残った文章
⒈ 人を樹木にたとえてみれば、礼は幹である。幹がなければ、樹木が立たぬように、礼がなければ、人は立てぬ。
⒉ 近くの者が悦び、遠くの者がやってくる。それが政治です。
⒊ 心の欲する所に従って、矩を踰え
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登録数100冊目は著者の書籍にしようと以前から思っていた。論語のから伝わる孔子は言葉に感銘する事が多いが、孔子の生き方については自分の中でもほぼ謎であった。ほんの一部かと思うが人間孔丘(孔子)の物語を少し読めたと感じる。引き続き著者の作品を読んでみようと思う。
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孔子だけでなく、その時代の王たちの骨肉の争いが伝わってくる。読んでる間はタイムスリップしてる感じになる。酒見賢一先生の「陋巷に在り」と、このなかにも書かれてるが、白川静先生の「孔子伝」も合わせて読むと楽しい。「陽虎」てどんな人やったのだろうか。。城壁を壊す孔子の施策とか。飛び抜けていて面白い
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孔子の生涯を描いた歴史小説。
論語は読んだことがあるので、孔子のイメージは先生しかないのですが、宮城谷さんにかかれば等身大の人間になるわけです。
論語のエピソードも物語の流れの中でうまく挿入できているように思います。(時々唐突感もありましたが)
中庸を説きながらも理想論をかざす孔丘に対して現実的な仲由の気持ちもよくわかります。
また、晏嬰が孔丘を否定するのですが、晏嬰は悪く描かれていないのは著者の贔屓でしょうか。
それにしても教育人として、学究人としての孔丘が良くわかりました。
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面白かった。孔子の解釈には自分も難しい部分も多く、何が正解かはわからないけど、一定の答えが出ている内容になっていると思われる。
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著者本人があとがきに書いているように、孔子を小説にするのは大変なことだ。だがそれを実行してくれたがために、論語で書かれていることやその他の孔子関連の書籍に書かれていることがどういう文脈だったのか想像しやすくなり、門弟一人一人も言動を伴うことでその個性がよくわかるようになった。
決して孔子を神格化するものではなく、かといって凡人に降ろすのでもなく、人間孔丘をしっかり描き切っている。
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2021/1/24読了。孔子とその時代背景(春秋時代の攻防)や取り巻く人々の人物描写が活写されていて大変面白かった。しかし、後世釈迦、キリスト(カント?)孔子、ソクラテスを四聖と言われているが、物語によると孔子様も随分と悩み苦労されたのがわかる。支えた弟子たちもまた個性豊かで素晴らしい。師である孔子と自分の意見で答える弟子のやりとりは感動的。
最近読んだ歴史小説としては古代中国作家としての推理も随所に織り込まれて(もちろん論語がベースにはなっているが)楽しかった。
実は、今年は論語に接してみたい(渋沢栄一と論語の関係に興味が引かれた)と年初から計画を立てて
下村湖人の『論語物語』を購入していたが、ちょうど図書館に予約してあった本作が先に手に入ったためこちらを優先した。幸運だった。今年の読書計画に幅が持てそう。
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若干回りくどい点はある。
しかし、それこそが孔子が生きた証であるとすれば、
宮城谷昌光さんの視点はとても温かい。
長編の本読みに慣れない人がこの本にチャレンジするには、ある程度、この春秋時代の歴史知識を知っておくことをお勧めする。
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一生学び続けた意欲、周囲の人々への素の対応。フィクションであっても、人間としての孔子をイメージでき、とても楽しかった。仲由の師匠に対する尊敬と不満の両感情の葛藤が共感できました。中島敦「弟子」も読んでみたい。弟子の皆さん、老子、春秋戦国の動きなど色々関連付けて楽しみたい。
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学ぶものは学ばない者を超えて行く。
孔丘は、弟子と共に学んでいく姿勢をとった。
孔丘は礼の祖であり、礼は形式を重んじるが、それが形骸化することを嫌った。まごころを持って礼を行えば、多少形式からはみ出してもよしとするのが孔丘の考え方であった。儒者とは、元々は葬儀屋を指すことばだった。孔丘もその出身であり、若者に葬儀の礼を教えることが広がりを持ち、礼法を教えるようになった。
孔丘は、士あるいはそれ以下の階層の者を政治的指導者とすべく教育している。礼と政治とは別物ではなく、礼の理義を高めてゆけば政治に到達すると考えているのだ。
孔丘は、弟子に政治とは何かと聞かれた際に言った。先んずること、労することである、と。
これは、率先して行うことであり、また、ねぎらうことを言う。ほかには、倦むことなかれ、と言った。飽きていやになることなく行えと言うことだ。
孔丘は教育している。教育というものは、本当の自己を発見させることだろう。そのために礼が要り、楽が要り、芸が要る。ここでいう礼とは、確かに古来からの礼、作法というものではあるが、当時、学ぶものといえば、言い伝えであり、歴史であり、多くが礼儀作法的なものだったのかもしれない。だとすると、礼を学べとは、勉強をしろ、色々な知らないことを学べと言うことだったのかもしれない。
本書は、孔丘の生涯を描いているが、なんだか孔丘の顔が見えない。孔丘は不遇で、政治を任せてもらうことがなかったため、この行動に感動したとかなかった。宮城谷さんの作品だが、ちょっと楽しめなかった。あとがきに著者は書いている。書こうか迷っていたと。