川のほとりに立つ者は

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寺地さんの作品は、いつも言葉にならない感情を描いているので救われる気分になるが、このお話は見たくないもの、背を向けてきたものを突きつけられたような感じで、途中から胸が苦しくなった。でも「頼ってよ」と言ってくれる友人や会社の人たちがいるから救われる。そして、自分も「頼ってよ」と言えるような関係性になりたいと願う清瀬や篠ちゃんの優しさ、強さに勇気づけられる。
やっぱり今回も救済の物語だった。

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寺地さんには珍しく、ちょっとミステリーっぽい作品だった。
カフェの雇われ店長である清瀬は、恋人の松木と喧嘩別れしたような状態だったが、ある日病院からかかってきた電話に衝撃を受ける。松木が歩道橋の階段から転落し、意識不明の重体だというのだ。松木の転落の真相や、清瀬が自分以外の人に向ける思い込みや勘違いからの偏見が綴られていく。
清瀬の“気付き”は大事なことだが、そこは寺地作品なので綺麗事では済まされない。その苦さも味わいながら、自分を振り返る読書となった。最後に明かされるタイトルの意味が素晴らしかった。
NetGalleyにて読了。

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これまでの作品とは少し雰囲気の違った作品
常に何かを問われているような気持ちで読み終えました。

私のなかで、寺地さんの作品には何らかの“生きづらさ”を抱える登場人物がよく出てくるイメージ。
｢普通｣に埋もれた声や苦しみを掬い上げてくれる作家さん。

大多数の人が当たり前に出来ると思っていることも｢出来ない人｣｢人の何倍も努力してやっと出来る人｣がいる。
自分の｢普通｣と｢当たり前｣について、読みながら自分に問いかける場面がいくつもありました。

世の中にはいろんな人、境遇の人がいる。
作品を通してたくさんのことを感じました。
松木といっちゃんの関係が素敵だったなぁ。
｢六年間の思い出｣の作文にグッときた。
また再読したい。

『誰もが同じことを同じように
    できるわけではないのに、
    ｢ちゃんと｣しているか、していないか
    どうして言い切れるのか』
.

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簡単には心を開けない人たちに対して、
手を差し伸べることとただ待つこと、
どちらを選ぶべきなのか。

自分の言動について、
どんなふうに誤解されようとも、
絶対に理由を説明したくないこと、
誰にでもあると思う。

ブラック寺地さんが見られておもしろかった。

でも主人公が、というかどの人も好きになれなかったなぁ…

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不穏な流れがゆっくりと心を不安にさせて、どんな結末を迎えるのか、読みながらしんどくて、
「明日がよい日でありますように」と祈りながら読み進めた。

清瀬の親友、篠ちゃんの言葉は響く。
「ほんとうの自分とか、そんな確固たるもん、誰も持ってないもん。いい部分と悪い部分がその時のコンディションによって濃くなったり、薄くなったりするだけで」
「清瀬には松木が今までとってきた行動でしか、松木を
判断でけへんってことやん。疑わしい行動をしたから松木は清瀬に疑われた。それだけのことちゃうの」

寺地はるなさんの作品は毎回面白い！
次回作も楽しみ！

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カフェ店長・清瀬は職場で部下のフォローに忙しい日々。そんな中、しばらく会えてなかった恋人の松木が病院に意識不明で運ばれる。

コロナ禍の中での働き方や女性の不自由さ、周囲の人の生きづらさの事情などが子細に描かれている。（ただし、子細すぎて専門書を読んでる気分になるときもあって冗長と感じることもありました。）

でも本作はnot for meだったかな。ADHDにしてもディスレクシアを書くにしても2022年、もっと違うアプローチがあったと思う。特にADHDの女性。就労時に職場に特性をオープン（公開する）にするかクローズ（公開しない）にするかは当事者にとって非常に重要なことなのであの書き方はなんだかなー…、と感じました。

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カフェの店長を務める清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いていた。原因は彼の「隠し事」のせいだ。そんなある日、松木が怪我をして意識を失い病院に運ばれたと連絡を受ける…

今まで無意識に他人事だと避けていた物事の考え方を正されるような感じでした。

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文中に『明日がよい日でありますように』と書かれている箇所があった。この表現にちょっと違和感を覚えた。その気持ちを掘り下げると自分が使わない表現だからかなと思った。
自分的には『明日もよい日でありますように』と言うんだろうと思う。常に今の瞬間を肯定して生きたいと考えているからかもしれない。