紙の本
美しい一冊の中にちりばめられた魅力ある可笑しさ。
2023/11/07 15:11
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
装幀の美しさと「じゃむパンの日」というタイトルに惹かれて手に取った一冊。馴染みのない著者名だけど、読めば、「なぜこの方を私は知らなかった?」と思うほどに、いずれのエッセイも瑞々しく、そして、ふふふっと笑いが出てしまう、楽しさ。油断して電車の中で読んでいたら、つい爆笑してしまって、恥ずかしい思いすらしてしまう...。
著者の赤染晶子氏とは?と調べてみたら、アンネの日記を題材にした物語『乙女の秘密』で芥川賞をとった...ああ、あの人かぁ...と、当時TVニュースか雑誌のインタビューでみたのか、真面目そうな姿がちらり蘇る。
他の作品も読まなくちゃと思ったら、どうも既刊のモノが少なく。なんと、2017年に肺炎で亡くなってしまったのだとか。
面白さへの余韻と、知ったその日に居なくなってしまった才能に少しの悲しみを感じつつ、本を閉じる。なんとも惜しい方を失ってしまっているのかといまさらながら...。
紙の本
面白かったです
2023/10/14 23:19
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投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
エッセイのような短編小説?言葉のリズムも物の見方や捉え方も独特で面白かったです。
それに少し飽きたところで、通常のエッセイになり、最後は岸本佐知子さんとの交換日記。この辺り、編集者の力を感じました。装丁もセンスがある。
早世されたことをとても痛ましく残念に思います。もっと歳を重ねられてからの作品も読みたかった。
雑紙で本の特集がされる時、名前の挙がる本だと思います。
紙の本
エッセイなのかショートショートなのか
2023/09/16 08:11
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
装丁がおもしろいです。大学ノートみたい。
エッセイなのかショートショートなのか分からないくらい
不思議な視点での文章が多くて、
ふわふわしてるけどふっと笑える本でした。
紙の本
ゆるくて独特でノートみたいなエッセイ
2023/01/24 13:19
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノートみたいな装丁に惹かれて買ってみたらゆるくて楽しいエッセイ集だった。
右折と言われて左折し、みかんを食べ過ぎる祖父にキレて、京都の思い出を語り、岸本佐知子さんと交換日記をする。面白くて、人情味があって、少し抜けた雰囲気が寒い日の家読書に丁度良い。
紙の本
静かなおかしさ
2024/01/04 06:41
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
さり気なく面白い。
関西人とはいえ、大阪人ののりとは違う。
静かで言いたいこともやや内に込めて、そのくせちゃっかり面白いことを観察している。
その姿勢も何だかおかしくて楽しめた。
ただ、お若いのにもうお亡くなりになっていたとは…ショックだった。
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いいなあ、これいいなあ。好きなのは、『夏の葬式』『安全運転』『病院の夜長』『北の国から』『おはる』『昭和の家』『蝦夷梅雨』。そして岸本佐知子と赤染晶子という、この2人ならではの『交換日記』。
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結局私が手に取った本はデビュー作と芥川賞受賞作のみで、訃報のニュースを聞き、そして五年経った今こちらのエッセイを手に取った。
早いなぁ、勿体無いなぁ、、もっともっと赤染さんの言葉が聞きたかったなと思わせてくれるようなエッセイで切なくなった。
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ブクログのおすすめで見て気になって購入。装丁がノートみたいで可愛い。芥川賞作家とのことだけど筆者のことは全く知らない、しかももうこの世にはいない。タイトルから料理にまつわるエッセイかと思ったら全く関係なかった、生活や家族のことが書かれたエッセイ。京都弁が優しい感じのせいか、なんだかふわふわした文体。妄想?ってぐらい不思議と現実感が薄い。お寺の小僧さんに一目惚れをして密かに「珍念さん」と名付けて友人と女の戦いをしたけれど本当の名前が普通すぎて百年の恋も冷めた話がお気に入り。他にも蝿取り紙に蝿がくっつく瞬間を見たくて奮闘したり、編み物で手袋の右手を4つ作ったり、クスッとくる話が多数。家族も周りの人も愉快。ちょいちょい小児病棟の話があったけどこの人どういう経歴なんだ?って思った。他の人の感想読んで共感したけどもっと前の時代の人かと思ってしまうぐらいレトロな感じが漂う本だった。
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赤染さんが書く文に涙したり声を出して笑ったり、彼女の送った日々が優しく私の中で再生されて心にあかりを灯してくれるような素敵な本でした。
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このエッセイを読んでいる間ずっと考えていた。
この人の目でこの人の日常を短歌にしたらどんなにか素敵な歌ができるだろう。
『乙女の密告』で芥川賞を受賞した赤染晶子さんのエッセイ集である。
ユーモラスで、出会う人々への愛情に満ちている。
ときには、関西人のサービス精神?と作家の妄想力で日常をワンダーランドにしてしまう。
文章のテンポも小気味よいリズムで、まるでタップダンスを踊っているのを見ている感じ。
ラストの翻訳家岸本佐知子さんとの交換日記も、どこか同じ匂いのする二人が、お互いに気を使いつつも、仲が温まっていく。
もっともっと続けて欲しかったと思った。
クラシックで慎ましやかな装丁も好ましい。
読み終わると、読み始める前より、ひとが好きになっているのに気づいた。
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アトロクで、岸本佐知子さんが紹介していたときに聞いた抜粋朗読がおもしろすぎてすぐ購入。『安全運転』の続きがさらにおもしろかった!
赤染さんはきっとずっと真顔だけど、わたしは声に出して笑わざるをえない。
巻末の岸本さんと赤染さんの交換日記も最高でした。
オーディオブックがあればほしい。誰かに朗読してもらって録音して車で永遠に聴きたい。
こんなに楽しく読んだのに、この方の新作をもう読めないのはとても寂しいです。
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・面白かった。
・文章はリズムが重要。
・発想や表現ももちろん大事なのだけど、自分にとってはリズムがかなり重要なんだな、というのを読みながら感じた。
・非常に気持ち良く、永遠に読んでいられる。
・この文章のリズムの感覚、どうやって培ったんだろう?調べてみたくなった。
・京都(地元)への言及が多いので、そことも関係している気がする。関西、ではなく京都。
・本が物として可愛い。このサイズ、紙の本、好き。
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『洗濯物はいつもひらひらしていた。わたしの家の洗濯物は特に華やかだった。わたしは洋服の下に、金太郎の前掛けを身につけていた。洋裁の職人さんがはぎれで作るので、わたしの金太郎はピンクやオレンジや花柄だった。その金太郎がわたしの家の竿には並んでいた』―『異邦人』
十年以上前に書いた自分の感想文を読んでみて、随分とこの作家のことが気に入っていたのだなあ、と気付く。書棚には「うつつ・うつら」と「乙女の密告」。気に入っていたと言っても、それ以上でもそれ以下でもないが、もう新作を読むこともないのだなあとの感慨が急に湧く。
敬愛する翻訳家岸本佐知子氏推しの一冊。今秋創業したばかりの個人出版社palmbooksの記念すべき第一作が本書「じゃむパンの日」。岸本さんとの短いながら作家の個性が滲み出る交換日記がおまけのように付いたエッセイ集。そのほとんどは京都新聞に掲載されたものとのことで、それがこうして読めるというのは行幸のようなこと。「はんなり」とした京ことばで繰り出される可笑しみは、ほぼ全国民が貧乏だった昭和の時代の人の営みを思い起こさせる。ああ、そういえばうちの近所にもそんな風変わりな大人がいたっけなあとか、そういえば友達を呼びに行った時は引き戸を開けて「〇〇ちゃ~ん、あ~そ~ぼ~」なんて声掛けしてたなあとか。あれ、この人って同世代じゃない筈なのに、なんでだろ。
エッセイのテーマはどれも作家の身近な出来事。中でも祖父と祖母の話が矢鱈と面白い。そうかと思えば、博士号取得を断念して就職した京都のパスポート発行事務所の話とか、芥川賞受賞を待つ日の話とか、どれもかなり捻じれたユーモアセンスで書き綴っているのだが、その後ろに何故かほんのりとペーソスがある。そして、何も詳しいことは記されていないものの、ひょっとしたら作家本人の闘病生活に題材があるのではないかとも思える小児病棟の話。大人の目線で子供たちの病院生活を描いているようにも読めるけれど、きっとこれは作家自身の子供時代の出来事なんだろう。そうは思うけれど、どこかしら立原道造の「風立ちぬ」を連想してしまうのは、やはり、作家が急性肺炎で早逝したことを知ってしまっているから。そして、札幌。数は少ないながら、作家が見たであろう景色がありありと浮かび、その眩しい白に押しつぶされそうになる思いには、いたく共感を覚える。そういえば最近ようやく卒論の夢を見なくなったなあ。札幌の冬空って重いんだよねえ。冬、長いし。
どれも関西風(と言っても大阪の、ではなくて京都の。偏見だろうけれど)のサービス精神溢れるユーモアに満ちたエッセイなのに、何故かしんみりとする。泣き笑いするいい本。
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岸本佐知子さんきっかけで知ったのだが、岸本さんのエッセイ同様みずみずしくて味わい深い文章だった。とくに「病院の夜長」のマニキュアを落とす女の子の描写、「女の子は自由だ。」という締めがすばらしかった。あと「書道ガール」の雅号「生盛」には爆笑してしまった。
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どれをとっても面白いです。すべては孫のため、祖父手製の飛び出し坊やしょうちゃんが3つ置かれた道を通う小学校生の著者、祖母のこだわりの腹かけを着てプールのための着替えにのぞんた保育園生の著者がお気に入りの話です。