紙の本
勇気のある人。
2021/12/17 23:24
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投稿者:通りすがりのなっつさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディケンズの名作の一つ。10代のころ知りました。登場人物としては、弁護士さんが好きです。勇気のある人、その勇気と愛に思いを馳せます。作品最初のほうで酔っ払い。ヒロインの旦那さんはどうこう言っても、ヒロインは彼の来訪を許容しているのですよね。
ディケンズの名作はちょっと大仰にも感じます。でも、読んで心の糧にできるかもしれません。最後の方で、弁護士さんは、ある女性と手をつないであげます。「勇気のある人」
という意味はその時に分かります。
電子書籍
ふたつの都市と人々を結ぶ
2020/04/09 17:41
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス革命に翻弄されていく、多くの人たちの熱い想いが伝わってきます。海を越えたイギリスの、現代にまで続く階級社会についても考えさせられました。
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ディケンズ後期の歴史小説。
先が気になってページをめくらせるところは矢張り流石。当時の読者が熱狂的になったのも頷ける。
今回の新訳はミステリ、サスペンスの翻訳で実績がある加賀山さんということで、よりサスペンスフルでワクワクさせる仕上がりになっている。
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世界の名作を読もうの一環で、新訳が出たということで読み始めてみたが、なんだがやっぱり読みにくい。現代小説とは違うことは分かっている。それでもなんだか読みにくいのは、自分が現代小説の分かりやすさに慣れてしまっているあまちゃんだからなのか・・・どちらにせよ頑張って読んでいった。その中で少しずつ謎めいたものが増えて来て、だんだん先が気になって読めるようになってきたのは3分の2を過ぎたあたりかもしれない。仏革が本格化したあたりからはあっという間だった。
まったく前知識なしで読んだため、色々人物関係を想像していたのだが、最後の最後ではっとさせられた。そして全ての伏線がつながり強い衝撃を受けた。恋愛小説ですこしなめていたところもあるが、恋愛の悲劇だけではかたづけられない何かを感じた。身分制度崩壊の波の中で生きた市政の人々の物語として心に深く残る作品だった。
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翻訳物を読み慣れていないせいかもしれないが、全編にわたる独特の比喩・言い回しにつっかかり、読了するのに非常に時間がかかった。正直、書かれていること全てについて完全に理解できた自信がない。きっと二度三度と繰り返して読むことで味わいが深まる作品なのだろうなあと感じている。
物語の舞台はフランス革命時代のパリとロンドン。これを読むまで知らなかったのだが、当時のフランスは狂気の大衆の手による魔女狩り裁判とギロチン処刑が日常的に行われていたようだ。本作はそのような時代背景のもと、亡命貴族のダーネイ、長年投獄されていたマネット医師とその娘ルーシー、弁護士のカートンの出会いからが描かれている。
波乱万丈の展開で読みどころはたくさんあると思うが、やっぱり括目すべきはラストでしょう。このオチの献身・純愛モノはひとつ間違えると陳腐になりそうなものだが、本作ではそんなことはなかった。理由は主人公の一人であるカートンが影のある魅力的な男性として描かれていたことと、海外作品ということで小説世界から一枚壁を隔てたような立ち位置で読めたことが大きかったと思う。
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先が気になって一気に読んだ。最後の方は話が見えて来たので、ちょっと読み進むのが辛くなったけど。命をかけた純愛物語だねえ。
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古典読書。タイトル以外は予備知識なしで読み始めた。ロンドンとパリを舞台にした歴史小説で、本人の言葉からは歴史考証もこだわったと思われる。フランス革命が起こったときの実際の雰囲気を味わえる。教科書ではただの暗記になることも小説で読むと登場人物に寄り添った疑似体験になるため今までとは違った視点を得られた。ただ前半散りばめられた登場人物の経歴が終盤に次々ときれいにハマっていくミステリ的な要素が強いので、純粋な歴史小説とは言えない面もある。ただそれがドラマチックな展開を引き出しているので、本書はフィクションとノンフィクションどちらの側面でも読み応えのあるものになっている。
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予定調和のような展開でありながら、長編を難なく読ませるディケンズはすごいです。途中で一度だけでてくる「私」は語り手なのでしょうか?革命家、貴族、庶民、いろいろな立場の人がそれぞれの物語をロンドンとパリで紡ぐ物語は、まさに二都物語。世界で読まれ続けている名作には違いありません
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新潮文庫では、佐々木直次郎訳→中野好夫訳→加賀山卓朗訳(本書)と、3つの版が出版されてきたが、本書は非常に丁寧な良訳で感動した。
特にカートンの言葉づかいがすごく良い。彼の話す一言一言に、彼がどんな人間かがにじみ出ている。カートンの登場場面はいつでも胸がつまった。
あとがきを読むと、原文の構成や解釈、過去に出版された邦訳の訳文など丹念に研究した様子がうかがえ、特に最終章の”歴史的現在”をきちんと生かした訳になっているのが素晴らしい。中野訳ではこの部分が破壊され、抑制した中ににじむ感情の高まりや物語全体の余韻を全く感じることができず、佐々木訳に比べて非常な物足りなさを感じていた。
大好きな物語を素晴らしい訳で再び読めるほど嬉しいことはない。新訳刊行を心から喜びたい。(2016.2.24)
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母親にはじめて買ってもらった文庫本(のひとつ)。旺文社文庫だった。表紙はほぼ同じで、こちらはカラーになっている。あまり面白かった記憶はなく、読み終えたかどうかも定かではない。
今回、新訳ということもあり、懐かしくなって読んでみた。けっこう面白いじゃないですか!! なんとなく結末がわかっていても、思ってもみなかった伏線がつながってくる快感と、後半に向けて尻上がりに加速するスピード感が素晴らしい。ディケンズにしてはコンパクトなサイズも、話が広がりすぎずよい。名作。
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シドニー!
前知識なく読み始めてフランス革命が舞台と知る。
ロンドンとフランスの。イギリス人とフランス人の。
アガサ・クリスティの「バグダッドの秘密」からの。
シドニーの言葉が優しい。
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ストーリー展開がバラバラで、何がどう繋がるのか不明なまま数百頁を読み進めるのは辛い。後半部分になって、個別の展開が全て繋がってくるとあとは一直線。
新訳の日本文であっても、読みにくい箇所がしばしば出てくる。特に自然描写の箇所など。多分もともとディケンズの文章自体が、修飾語や関係代名詞が長々と使われていたり、主語と述語の関係もおやっ?と思わすところがあるのかもしれない。
やはり一度は、言語で読んでみたい。
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1年以上かけて読了。感動。なぜもっと早く「ディケンズ体験」しておかなかったかと悔やんでいる。英国で人気なのがわかる。時間を見つけて読むというスタイルだったので、時には何ヶ月かたってページを開くこともあったが、どんなに時間が開いても読んだところまでのあらすじや光景が浮かんできた。不思議だったが、それが名作というものの持つ力なのだろうか。あまりにも興奮して感想を話した友人には、「そんな読書体験ができて羨ましい」と言われたほど。最後に向かっって渦巻きの中心に流れが向かうようにすべての人々が世代を経て結びついていく、素晴らしい構成。最後はこのような選択でよかったのかと悲しくもあるが、信仰、そして救済が背景にあるテーマだったかのように思う。フランス革命時をに英仏の時と国をまたいだ大河ドラマ。新潮新訳版は朗読できるかのような文章で読みやすく、登場人物たちがとても生々しく感じられた。挿絵がオリジナルのもので情景が浮かびやすいのも素晴らしい。
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こういう作風に慣れていないので、ハマるまで時間がかかったが、ハマってからははらはらしながら読んだ。
フランス革命時のパリ市民の様子は授業ではよくわからなかったが、こんな感じの印象だったんだなぁ、と歴史の勉強もできた気がする笑
まさかダーネイとカートンの顔が似てることが最後の最後でそうなるとは…!!
カートンが全部持ってった……
自らの死と引き換えに永遠に愛する者の中で生き続けることを選んだんたね……!
自己犠牲の愛を貫いて、聖書の一節のように彼は永遠の命を得たんだろう。
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『二都物語』
18世紀(書かれたのは19世紀)、フランス革命のころの『カサブランカ』だと思う。
読みおわった。最後は電車のなかで泣きそうになった。ほんとにちょっとしかでない貧乏な「お針子」のセリフのところだけど、ディケンズ、ずるいよと思った。
考えさせられたのは、ある男が処刑されることになって、その前日の心理が細かく書いてあるところです。諦めと未練を行ったり来たりし、刑具のどうでもいい細部を想像したりと、いろいろあるんだけど、つぎのような心情にいたるんである。
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愛しい家族の今後の心の平和は、自分が静かで動じない態度を保てるかどうかに多分かかっている。
Next followed the thought that much of the future peace of mind enjoyable by the dear ones, depended on his quiet fortitude.
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定型句で「泰然と死に赴く」などというけど、それはその人がただ強いのではなく、自分が亡き後、最期の自分のことで家族ができるだけ苦しまずにすむように、がんばってそうしているのかもしれないな。そういう意味で強いということなんだろう。つまり、「泰然」の底には、最後のものすごいやさしさがあるんじゃないかなと思った。
あと、78歳の独身のジイサンがでてくるけど、なんともいい人で友人とその娘を救うためにがんばっています。
「君子もとより窮す。小人窮すれば、ここに濫(みだ)る」(『論語』衞霊公)というのも、「君子」は「仁」(やさしさ)のゆえに、他のひとに心配をかけぬよう苦難のなかでも、泰然としているのかもしれないと思った。こういう注釈ってあるのかな。君子が立派というだけなら、なんとも薄っぺらじゃないかなと思う。その根底に「仁」があるというところにまで、届かないといかんと思います。