紙の本
ふたりにさちあれ
2016/09/21 18:10
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの長い夜が、まさかあの日のことだとは思いもよらなかった。綾香の出身がなぜ仙台だったのか。ここでようやくはっきりとする。芭子と綾香、彼女たちの絆は他者からは計り切れないほど強い。正直、芭子が綾香に秘密で仙台へ行った時、なんて面倒なことをするんだろう、綾香の古傷をえぐるようなまねをしてと苦々しく感じた。芭子は綾香さんのため!って思い込んでいるところがまた痛いとも感じた。けれど、綾香はそれを受け入れた。とても驚いたがそんな関係が羨ましくも思う。これぞ本当の大親友だろう。新しい道を歩み始めた二人に幸あれ。
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慕わしく感じていたこの物語もこれで完結。
2020/07/19 22:06
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公が罪を犯して出所した(普通の)女性2名という設定のこのシリーズの完結編。彼女らが、淡々と日常を過ごす中、小さな幸せをいとおしむ様子が本作でも描かれ、続けて読んできた身としては慕わしい。しかし、前作2つは、大きな山場もなく読ませてきたものを、本作は、東日本大震災を物語の中心にすえたのが大きく違う。しかも、なんだかとってもリアリティありまくりな描き様。...と思ったら、作家は、2011年3月11日に、この物語の取材のために仙台にゆき、そこで被災したんだそうです。作家は、その日の体験をこの物語に取り入れなければいけないような運命を感じた。
この大きな事件は、人々の考え方や生活スタイルを確かに変えたものだけど、主人公2人ももちろん。そして、作家自身もそうだったはず。だからかどうか、ずっと、彼女らに寄り添ってきた読者としては、かなり納得のエンディングでした。
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久しぶりの乃南アサ。芭子ちゃんと綾さんのお話もこれで完結のよう。
もはや上戸彩の顔しか思い浮かばずに読み進むが、刑務所で知り合った二人が寄り添いながら暮らす姿を、手を変え品を変え読まされているようで、正直しんどい。
ところが芭子が綾香の生き別れた息子の消息を探しに仙台に行った日が東日本大震災の日にぶち当たり、ここから物語は大きく展開する。
あれから4年が経ち、死者15,891人、行方不明者2,584人、そしていまだの避難生活者 約229,000人-、そんな数字が突きつけられる3月11日を跨いで読むことになったが、この物語の中であの日のことが語られるのに些かの戸惑いを感じた。
あとがきを読むと、作者が偶然にも取材に行った日の様子がそのまま描かれていると知って、成程と合点がいく。自ら精神的に痛手を負ったところもあると思われる中でよくぞ書いたというべきか。それでも何となく収まりの悪さは拭えなかった。
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三部作の完結編。下町での二人の再生と人とのふれあいをもう少し見続けていたかったな。居心地が良くてもずっと同じ場所にとどまってはいられないのかな。芭子と綾香の家族も大変な思いをして、たくさん傷ついて、大切な家族を失ってしまったんだとわかってはいても、過去と向き合いながら健気に生きる二人の姿に幸せになってと思わずにはいられなかった。被災地にボランティアに行き過酷な現実を見た綾香の、みんな人間だからすべての人たちが善良なわけではないけれど、だからってあんな死に方をしなきゃいけないなんていうことはなかった。この言葉に綾香の取り返しのつかない過去や失ってしまったものの大きさをおもって苦しくもなった。過去を変えることはできないけれど、小さくても希望を見つけて歩き続ける二人には、いつかきっと幸せになってほしい。
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ううーん、筆者の3.11に対する思いは伝わってくるけど、もう少し物語に波があった方が面白かったかな??
南くんについてももっと掘り下げて書いて欲しかったなぁ。
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震災のことが書かれていることは事前にネタバレしていたが、ここまでリアルとは思わなかった。
それは、作者自身が2011年の3月11日、取材のために仙台に足を運んでいたことからくるもので、あそこで芭子が経験したことは、ほぼ作者の体験談だという。
あの日、東京で地震に遭った自分ですらそれなりには大変な目に遭い、辛い思いや多少のトラウマもあったが、仙台で被災して、でも向こうに生活の拠点があるわけではない作者と、そして芭子はどれほどのものを抱えているのだろうか。
あの地震が、全ての人々の人生を大きく変えてしまったと書かれていたが、人生だけではなく、この小説の結末さえもあの地震が変えてしまったような気がした。
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読み終わってしまった。毎日寝る前に少しづつ読むようにしていたのに、最後のほうは、一気に読んでしまった。震災以降の展開は、自分の生き方を問われたような気がした。読んでいてつらいくらいであったが、やめられなかった。震災当日の描写は、作者の実体験を基にしているとのことで、非常に生々しく恐怖を覚えた。いろいろなことを考えさせられる物語であった。終盤、主人公に心の支えとなる人が現れ、将来への希望が感じられて、気持ちが少し楽になった。
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シリーズ完結編。谷中でひっそりと暮らす前科者の芭子と綾香。過去を悔みながらお互いを思いやり、懸命に暮らしている姿はずっと読み続けていたかった。数年後の二人をまたいつか見たいです。
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このシリーズもこの巻が完結編とは、何とも惜しい気がする。
著者があとがきで述べているが、3.11を経験することによって、全く予測しない終わり方となったとのこと。確かに2巻までとは、少し趣きが異なる3巻であり、むしろこのほうが二人に似合いの終わり方かなとも思う。
それにしても、3.11の記述に臨場感があると思ったら、著者の実体験だったとは。
読み進むにつれ、テレビドラマを観たせいで、主役二人の顔が場面場面で浮かんでしまうのはどうにも如何ともしがたい(笑)。もちろん、適役なのは間違いないが・・・
「まえ」から逃げていることを克服した二人が、数年後どのような生き方をしているか気になるので、続編も期待したいが。
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シリーズものだと知らず読みましたが、大丈夫でした。震災についても書かれていて自分も被災者だったので、その時を思い出し少し嫌な気持ちになりました。年月も経ったので平気だと思っていましたが、自分自身まだ整理がついていないんだなと気付かされました。
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芭子と綾香のシリーズは、「いつか陽のあたる場所で」を読んだことがあります。
その次の「すれ違う背中を」を読んでないので、「完結編、読んじゃってわかるかな?」と思ってましたが大丈夫でした。
芭子が持ち続けていた夢を実現させてシリーズ完結、と予想していたら全然違うところへ着地しましたね。
芭子が、仙台に行くと言い出し、それが3月半ば…という段階でもしや……と思っていたらやっぱり3.11でした。
しかも芭子の体験は実際に乃南さんがされたのと同じだとのこと。
だからすごい臨場感。
あの日のことは、神奈川の私ですら未だに自分が何をしていたのか、ということをハッキリと覚えているくらいだから、被災された方はなおさらかと。
芭子と綾香は別々の土地で暮らすことになってしまった。あの震災が来なかったら、きっと別の展開になっていたんだろうけど、これでいいのかも。
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「いつか陽の場所で」
「すれ違う背中を」
そして今作、「いちばん長い夜」ひとまず完結編。何気ない日常のなかにも色々な出来事があり、日々の何気ない日常が作品になっている。
ただ、「いちばん長い夜」は、乃南氏の仙台での実体験をベースにしている。おそらく完結だか、何年後かに続編を期待したい。
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3月11日を、そしてその後の生活を
ありありと思い出した。
芭子が強くなっていく姿が
頼もしく嬉しかった。
生きていること、噛み締めなければ。
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ドラマ化もされた「いつか陽のあたる道で」シリーズ3冊目にして最終冊。ムショ帰りの女性2人が寄り添って暮らしている中で、それぞれがだんだん前を向き始めていたところに、3月11日を体験し、それぞれ違った道を見出していく。お話の中でもそれが起きますか!実は作者がこの本の取材のためにたまたまあの日に仙台を訪れていて遭遇したとか。それはそのままお話の中に再現されているとのこと。いろんな意味で人生が変わることになったあの震災。この本を読み終わったのが今日だということも何かの巡り合わせ。
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芭子と綾香の物語が、
まさかこんな場面を迎えて終わるとは思いもしなかった。
あの日のことを、作家としては書かずにはいられないのかなと思ったら、
芭子の経験はそのまま乃南さんの経験だったんですね。
もし、あんなことが起こらなかったら、
芭子と綾香はどんなふうに人生を
過ごしていったのだろう…。
『覆水盆に返らず』
ものすごく重い言葉です。