ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
メットガラにソール・ライター、映画でも話題になったN.Y.に接近する本
いつの時代もニューヨークってどこか「憧れ」の匂いがしませんか?先日行った、N.Y.に在住した写真家ソール・ライターの日本初の回顧展「ニューヨークが生んだ伝説 写真家 ソール・ライター展」で目にしたのは、ドキッとするほど色彩豊かな50年代のN.Y.の街の姿。そして映画『メットガラ ドレスをまとった美術館』で見たメットガラの華麗な世界。その残像を追うように自宅の本棚からN.Y.にまつわる本だけを集めてみました。
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展覧会に関連して刊行された一冊にはカラーやモノクロ写真のほか、もともと画家をめざしていたソール・ライターが描いた水彩画など約230点を収録。たびたび写真に現れる赤い傘やガラス越しの風景に浮かぶ雨粒の美しさ。「神秘的なことはなじみ深い場所で起きると思っている」などページに並ぶ彼の言葉も響いてくる。
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フランス生まれのイラストレーター、ジャン=ジャック・サンペ。彼の「プチ・ニコラ」は多くの子供たちに親しまれてきた絵本。若い頃「いつか自分のイラストを載せたい」と夢見た名門誌「ニューヨーカー」の表紙や誌面を、その後30年に渡って飾り続けた作品を集めた一冊。どれも優しく、クスっと笑えるユーモアに和む。
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ポール・オースターの、その名も「ニューヨーク三部作」といわれた中の一冊。描かれるのは小さなエリアで、登場人物もわずか。にも関わらず主人公、私立探偵ブルーの妄想や回想が幾重にも混在し、たちまち迷宮に彷徨い込んでしまうような感覚。ブルーが見張っていたのは一体誰だったのか?読めばタイトルにも納得できる。
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個人的に旅したり、映画で見たりしてN.Y.らしさを感じるのはなぜか街角の「ベーグルスタンド」。このレシピブックはニューヨーク在住のライターが探したおいしい店を、ともに食べ歩いた料理家が起こした再現レシピで構成。もちろんベーグルもありドーナツやマカロニアンドチーズも。多様な人種が生み出した味を。
ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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