ブックキュレーターコンシェルジュ 阿部佳
ラグビーをめぐる人々
まだトップリーグすらなかった頃、当日でも満席の心配などなかった秩父宮ラグビー場に通った。敵味方入交って坐り、英国風のコートの襟を立てながら、互いのプレーを讃え合う。この一戦に勝ちたい気持ちはもちろん強くあるのだが、一方で、誰が世界一でもいいじゃないかと、ワールドカップをしなかったこのスポーツの考え方の誇りが漂っていた。時代は変わり、2年後には日本で開催という。楽しみである。
※本ブックツリーの内容は、執筆時点(2017年8月21日)の情報に基づいております。
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2015年のワールドカップ予選で強豪南アフリカを破り、世界中を驚かせたこの人。好き嫌いは分かれると思うが、日本人の多くが興味をもたずにいられないひとりであろう。「勝ちたいと思う気持ちがあれば、常に向上心をもって練習に取り組む」「成功するには自分たちのプレースタイルで戦うのだと自信を持つ」「コーチにとって大切なのは、選手はなぜそういう決断をしたのか、を考える」こと。
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1986年、常に社会人が圧倒的有利といわれる日本選手権を、大学生が制した折の監督・上田昭夫氏。その後彼が説いたのは「大切なのは、現在の自分が何を考え、目指しているか。そのためには過去の栄光はリセットすべし」。チームに厳しく問うたのは「それは全力か」「一生懸命か」。近しかった人たちの上田評は幅広い。2005年に若くして逝去。まだまだたくさんのことを教えてほしかった。
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型破りのコーチング
平尾 誠二(著) , 金井 壽宏(著)
アスリートの考え方をビジネスにあてはめて解説する本は多数あるが、本書は少々異色。リーダーシップの研究家が、実績、定評のあるリーダーの考え方を、整理、説明してくれる。人づきあいの実践を専門とする者にとっては実にありがたい一冊。ティーチングではなくコーチングをとよく言われるが、距離の取り方、信念を伝えること、無駄を捨てることなど、最強のチーム作りがすっきり見えてくる。
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説明は不要であろう、2015年ワールドカップ。南アフリカを破ったジャパン、勝ち数が多かったのに決勝に残れなかったジャパン。世界のラグビーファンに、初めてその名前が記憶された大会といえよう。本書は試合、スポーツの記録ではない。とことんまでに、そのドラマでの“人の心”が浮き彫りにされている。名将が「今すぐに次の準備を始めよ」と言い残して日本を去ってから、すでに2年が経とうとしている。
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ルールやゲーム、歴史を説明する本かと思いきや、それだけではなく、著者が感じている個々の選手の特徴を含めた解説である。現在の日本ラグビーの課題、そして今までの代表的、印象的な試合を取り上げて、試合運びと、その時のひとりひとりの気持ちを振り返る。危険を伴う、「真面目にやらないと怪我をする」スポーツに挑むアスリートならではの考え方、感じ方が潔い。
ブックキュレーター
コンシェルジュ 阿部佳1959年東京生まれ。1992年ヨコハマ グランド インター・コンチネンタルホテルにコンシェルジュとして入社。その後、コンシェルジュの世界組織『レ・クレドール(Les Clefs d’Or』国際会員となる。1998年に『レ・クレドール ジャパン』プレジデント(会長)に就任。国内外のコンシェルジュのネットワークの拡充、後進の育成、国内でのコンシェルジュに対する認識を高めるための活動に従事。2000年には日本ホスピタリティ推進協会より、ホスピタリティの精神に基づき、職責を超えて分け隔てなく他人のために尽くした人に与えられる『The Best Hospitality Prize of the Year 2000』を受賞。2002年にグランド ハイアット 東京チーフコンシェルジュに就任。現在はコンシェルジュとして多岐にわたる国内外のゲストリレーション業務、および後進育成に従事。2015年4月より、明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部教授も務めている。著書に『わたしはコンシェルジュ』(講談社)、『ホスピタリティのプロを目指すあなたへ お客様の“気持ち”を読みとく仕事 コンシェルジュ』(秀和システム)がある。「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)など、メディア出演多数。
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