ブックキュレーター哲学読書室
文化相対主義を考え直すために多自然主義を知る
文化相対主義の考えって、問題はないのでしょうか?文化相対主義は言い換えると「自然は唯一で、文化がたくさんある」とする「多文化主義」です。人類学では近年、「文化は一つで、自然が複数ある」とする「多自然主義」の議論が盛んにおこなわれています。【奥野克巳(おくの・かつみ:1962-:立教大学異文化コミュニケーション学部教授)】
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Lexicon現代人類学
奥野 克巳(編) , 石倉 敏明(編)
本書は、アメリカ先住民の諸社会で多自然主義的な宇宙の潜勢力を見出した「存在論的転回」以降の現代人類学の関心と課題が、50項目にわたってコンパクトに整理されています。人類学だけでなく、哲学、考古学、言語学、民俗学、心理学などを専門とする27名が執筆し、新たな人文学が構想されています。
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森は考える 人間的なるものを超えた人類学
エドゥアルド・コーン(著) , 奥野 克巳(監訳) , 近藤 宏(監訳) , 近藤 祉秋(共訳) , 二文字屋 脩(共訳)
多自然的宇宙では、人間だけでなく動物たちもまた、一つの文化的な共同体の住人だとみなされます。エドゥアルド・コーンは、チャールズ・パースの記号論を手がかりとしながら、南米エクアドル東部のアヴィラの森に住むルナにとって、ナナフシが、イヌが、森がいかに思考しているのかを描き出します。
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ソウル・ハンターズ シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学
レーン・ウィラースレフ(著) , 奥野 克巳(訳) , 近藤 祉秋(訳) , 古川 不可知(訳)
シベリアやアラスカに住む多くの先住民にとって、人格を有するのは私たち人間だけではありません。動物にもまた人格があるのです。この本でR・ウィラースレフは、狩猟活動を頻繁におこなうシベリアのユカギールにとって、動物たちがいかに「人間」であるのかを綿密に描き出しています。
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動物の境界 現象学から展成の自然誌へ
菅原 和孝(著)
菅原和孝は最初、動物行動学から出発し、カラハリ原野に住むグイ・ブッシュマンと現代日本を何度も行き来する中で、独自の思想を切り拓いた人類学者です。人類学、哲学、生物学、動物学、文学という学問を自在に行き来しながら、人間存在だけに囚われない、動物をめぐる多自然的な人類学を、全実存を投じて思索しています。
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感応の呪文 〈人間以上の世界〉における知覚と言語
デイヴィッド・エイブラム(著) , 結城 正美(訳)
手品師でもあるエコクリティシズム研究者D・エイブラムは、1990年代半ばに〈人間以上〉という概念を持ち出して、多自然主義的な人文学を先取りしました。本書では、息や風に力があったかつてのアニミズムからそれらが母音として文字に住みつくことにより、霊力が外なる自然から人間の頭蓋に収まったとする異色のアニミズム論を展開しています。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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