ブックキュレーター作家・料理家 樋口直哉
一人暮らしをはじめたばかりのあなたへ
学校の家庭科で料理については少しだけ学ぶものの、ほとんどの人は誰からも教えられないまま、一人暮らしをはじめて、いきなり『日々の食』という難題とぶつかります。適当に済ませることもできますが、食べることは意外と重要。これらの本は「今日、なにを食べるか」という選択が「明日をどう生きるか」という問いと同じ、ということを教えてくれます。
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エコノミストの昼ごはん コーエン教授のグルメ経済学
タイラー・コーエン(著) , 浜野 志保(訳) , 田中 秀臣(監訳・解説)
『創造的破壊』『大停滞』『大格差』などの著作で知られる経済学者タイラー・コーエンの食エッセイ。コーエン先生は経済学、文化、食のあり方について考察しつつ、最後にはネット通販などを活用し、自宅で料理をすることを薦めています。ちなみにコーエン先生によると東京の食が世界で一番魅力的な理由は「人口密度の高さ」故、とのこと。
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著者の父、土井勝さんは海軍主計科出身で、戦争経験の反省からおふくろの味=家庭料理の普及につとめた人物です。しかし、気がつけばお母さんの負担は増えるばかり。息子である土井善晴先生は家庭料理を簡素化を説いたこの本で、おふくろの味という言葉の呪縛を解いたように思えます。食は生き方に通じる──そんな一冊です。
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生命と食
福岡 伸一(著)
この本のメッセージはシンプル。「食べたものが生物の身体を構成し、そしてそれは絶えず入れ替わっている」ということ。僕らは生き物が通り過ぎる管に過ぎない。日々の食を見直すきっかけに。〈行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし〉(方丈記)
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料理人という生き方 異端児と呼ばれたシェフの人生のレシピ
道野 正(著)
「人は何のために生きるのか」道野シェフが料理人として生きてきた半生記。金言、至言、センチメンタルで心を打つ言葉ばかり。僕は読んで、勇気づけられました。以下、引用。『今日一日、ぼくはぼくにできる最高の仕事をしよう。たとえ明日が来なかったとしても、今日の自分に恥じないように』『息を吸うだけでは死んでしまう。吐くこともまた生きる術だから』
ブックキュレーター
作家・料理家 樋口直哉作家、料理家 1981年5月19日、東京都生まれ。服部栄養専門学校卒業。2005年、「さよなら アメリカ」で群像新人文学賞を受賞し、作家としてデビュー。同作は第133回芥川龍之介賞の候補にもなった。主な著作として小説『大人ドロップ』(2014年映画化)『スープの国のお姫様』(ともに小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』『長寿の献立帖』(KADOKAWA)など。最新刊として料理本『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)を上梓するなど、料理家としても活動中。
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