ブックキュレーターフォトグラファー・ライター 大山顕
じつは平成は団地の時代であったことを感じる5冊
「華の団地族」から「ウサギ小屋」、そしてリノベブーム。昭和30年に発足した「日本住宅公団」は昭和56年にその歴史に幕を下ろし、平成16年に現在の「都市再生機構(UR)」になった。平成は団地が大きく変わった時代であった。その変化を物語の中に見てみよう。
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本作は団地イメージが大きく変わる平成の幕開けを予感させる。昭和の終わりにおける団地マンガの代表作・大友克洋の『童夢』で過剰に負のイメージをまとった団地。それから10年後に発表された本作で、団地のイメージはいったんリセットされ「無」になった。同時にそれは当時の東京の姿でもある。
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映画化もされた団地小説の傑作。団地から一歩も出ないで生きていく主人公の16年間。変化するものを見る方法は自分が動かないことだ。団地の歴史は平成より長く、そのイメージはめまぐるしく変化した。男の子が大人になるのには、ときに16年かかる、ということと同時に、団地を冷静に描くのにもそれだけの時間が必要なのだ。
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昭和から平成、そして未来へ。古い団地が残っていることこそが未来なのだ。平成団地マンガの決定版。団地は安易なイメージ装置ではなく、いまもぼくらの街にあって、歴史とこれからの未来を持つ「インフラ」なのだということが表現されたはじめての作品だ。もういっそ次の年号は「団地」にしたらどうか。
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団地団 ベランダから見渡す映画論
大山 顕(著) , 佐藤 大(著) , 速水 健朗(著)
団地さえ登場すればどんな作品であろうととりあげるトンチ集団「団地団」。知恵熱でまくりのイベントをまとめた一冊。ぼくもメンバーの一人。小津安二郎とウルトラマンと団地妻を並列に論じ、都市論・創作論へと発展させるエキサイティングな内容だ。物語における団地イメージの変遷をさらに詳しく知りたい方、必読。
ブックキュレーター
フォトグラファー・ライター 大山顕フォトグラファー、ライター、1972年埼玉県生まれ、千葉県船橋に育つ。千葉大学工学部修士課程修了後、松下電器産業(現・パナソニック)シンクタンク部門を経て、独立、フリーに。最寄りは神奈川県・大師ジャンクション。団地、工場、高架下建築、マンションポエムに写真論など、自在なテーマでフィールドワークに邁進。主な著書に『ジャンクション』(メディアファクトリー)、『工場萌え』『団地の見究』(共に東京書籍)、『真上から見た狭くて素敵な部屋カタログ』(宝島社)、『団地団ベランダから見渡す映画論』(佐藤大、速水健朗と共著・キネマ旬報社)、『ショッピングモールから考えるユートピア・バックヤード・未来都市』(東浩紀と共著・幻冬舎新書)など。
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