さらっと描かれているのに味わい深い！人生の岐路に立ちあえるBLコミック

家庭に居場所がなく、お互いをよりどころに生きてきた草次と海風（ミカ）。「幸せ」や「愛」を信じることなく、そういうものとは無縁の関係でつながっていると思い込んでいた2人ですが、ある出来事をきっかけにそれが揺らいでいきます。感情表現が乏しく淡々としているからこそ、秘めた胸の痛みがより迫ってくるコミックです。

同じ大学で、同じ寮の先輩・明夫と後輩・海。人間嫌いで常に不機嫌そうな明夫になぜか懐いている海は、男と一夜限りの関係を持つ節操のない一面を持っています。それが理解できない明夫ですが、実はお互いさまで・・・。相手を知ろうと近づいていった結果がいつの間にか自らの大きな一歩になっている、心温まる物語です。

職場を兼ねた新居に引っ越した陽歩の隣人は、一人暮らしの高校生・蓮。会話をするようになり、蓮からどこか歪な印象を受けた陽歩は、ある晩彼を夕食に誘います。楽しく食事をした翌朝、蓮はまるでエロ同人のようなお礼をしてきて・・・!?じわじわ明らかとなる蓮のバックグラウンドは壮絶ですが、彼自身の明るさに救われる恋物語です。

高校2年生から転入してきた堤は、杉山の小学生時代の同級生。自分の家の事情を知る堤との再会で、杉山は不安定になっていきます。そんな彼をひたすら支えようとする友達の日比谷ですが、杉山はそのやさしさをもったいないと感じていて・・・。不器用ながら少しずつ甘えを覚えていく杉山の成長にほっこりさせられるコミックです。

高校生の三ツ谷くんは、罰ゲームがきっかけで知り合ったゲイのサラリーマン・斉藤さんに興味津々。自分から声をかけてきたくせに、基本はビビりでまったく積極性のない斉藤さんに、三ツ谷くんは次第に本気を隠せなくなっていきます。体当たりな若者が促す、これまでとはまるで違う小さな一歩。2人のことを見守り続けたくなる一冊です。