ブックキュレーター哲学読書室
シモンドン哲学を「二回り、三回り外」へと開くために
ジルベール・シモンドンは、第二次大戦後のきらびやかな思想潮流に乗ることはなかったものの、現代的なポテンシャルがあったのか、21世紀になって「再発見」されつつある哲学者です。ここではシモンドン哲学をすこし外へと開いてみるための5冊を紹介します。【選者:宇佐美達朗(うさみ・たつろう:1988–:日本学術振興会特別研究員)】
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シモンドン哲学研究 関係の実在論の射程
宇佐美 達朗(著)
シモンドンについては、国内外を問わず、ジル・ドゥルーズやベルナール・スティグレールの枠組みのもとで語られるという状況が続いてきました。本書では、その主著である1958年の国家博士論文の主論文(邦訳『個体化の哲学』)と副論文の内在的な読解を通じて、シモンドン哲学の方法と体系を提示することを試みました。
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個体化の哲学 形相と情報の概念を手がかりに
ジルベール・シモンドン(著) , 藤井千佳世(監修・編) , 近藤和敬(訳) , 中村大介(訳) , ローラン・ステリン(訳) , 橘真一(訳) , 米田翼(訳)
1957年10月にパリ大学に提出され、翌年4月に口頭審査が行なわれた学位論文の主論文です。同時代の科学的成果を踏まえつつ個体性という問題に取り組み、独自の「存在の発生」の哲学を提示するこの著作は当時から異彩を放っていたはずです。「プロト」構造主義的とも言える本書の可能性はまだ汲み尽くされていません。
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技術は進化すると言われますが、その進化は同じ目的に向かって一直線に進むようなものではありません。経済的・社会的な理由で進化の主流とはならずに埋もれていた発明に光をあて、エネルギー活用の現状を考えなおそうというのが本書のねらいです。合間に挟まれたエッセーにはシモンドンの技術論を紹介したものもあります。
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愛するということ 「自分」を、そして「われわれ」を
ベルナール・スティグレール(著) , ガブリエル・メランベルジェ(訳) , メランベルジェ眞紀(訳)
理論体系がまったく異なるのに、ふしぎと重要な点でシモンドン哲学に合流するのがスティグレールです。スティグレールを一躍有名にした本書では、シモンドンの精神-集団的な個体化が、現代社会を生きる人間の領域で展開されています。執筆されたのは2002年ですが、その分析はいまもアクチュアリティを失っていません。
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