ブックキュレーター小説家 羽田圭介
今を生きないと意味がないと悟らされる本
昔から自分は、目標を立てそれにむかって努力するのが好きでした。そういった時期は誰しもにあったほうがいいとは思います。ただそれだけだと、それらがある程度達成されてしまい、半ば自己目的化していた“努力”の必要性が以前より薄れたときに、燃え尽き症候群のように覇気がなくなってしまうおそれがあります。将来は大事だけれど、今も大事。
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『シンセミア』から続いてきたサーガの完結編。刹那的に生きてきた連中はろくな目に遭っていないし、いっぽうでは、壮大なる目的のために生きてきた人たちも、本質を見失いえらい遠回りをしてしまったりしている。じゃあ自分はどんな大きな目的を抱え、そしてどれほど刹那的に快楽を享受しながら生きるか、と考えさせてくる作品です。
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今に悩み、今をより良く生きようとする人たちが歳を重ね、親になったりする。人の親になっても、子を思う気持ちと同等に、一個人として幸せを追求したいという感情も描かれたりするのがリアル。人はいくつになっても、自分の今生きている時間を豊かにすることに注力してもいいんだと思えてきます。
ブックキュレーター
小説家 羽田圭介1985年、東京都生れ。明治大学商学部卒業。2003年、「黒冷水」で文藝賞を受賞しデビュー。2015年、「スクラップ・ アンド・ ビルド」で芥川賞受賞。他の著書に、『走ル』『ミート・ザ・ビート』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』『ポルシェ太郎』『羽田圭介、クルマを買う。』などがある。
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