ブックキュレーター植物観察家 鈴木純
同じ地球のうえで、異なる世界を生きる
世界的に同じであることが求められる社会は、ひとつの病があっという間に全世界に広がる社会でもありました。今回のことで、私はその怖さを知りました。私たちは本来、同じ地球のうえで、人により異なる世界を生きています。それぞれの世界を大切にし、互いを認め合いながら共に生きていく。そんな未来を考えるための本を5冊ご紹介します。
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異なり記念日
齋藤 陽道(著)
ろう者の著者夫婦と、聴者の子ども3人の日々をつづったエッセイ。子どもがベッドから落ちて泣いても気付くことが出来ない怖さや、聞こえないからこそ生み出される、見えない「ことば」を使ったコミュニケーションの豊かさが、穏やかな文章で語られています。「異なり」の先にあるやさしい世界を願いたくなる美しい本です。
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ダンス・イン・ザ・ファーム 周防大島で坊主と農家と他いろいろ
中村 明珍(著)
青春時代に夢中で聴いたロックバンドのギタリストが書いた本なので、ワクワクして手にとりました。しかし、本の中にいたのは銀杏BOYSのチン中村さんではなく、周防大島で農家や僧侶として生きる中村明珍さんの姿でした。全生命をかけてバンドをしていた著者が移住先で過ごす日々。その視点から学ぶことの多い1冊です。
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菌の声を聴け タルマーリーのクレイジーで豊かな実践と提案
渡邉 格(著) , 渡邉 麻里子(著)
野生の菌を使ってパンとビールを醸すタルマーリーの現在を読める本。目に見えない菌と向き合い思考する著者の試行錯誤に触れると、世界の見え方に新たな視点が加わってくるように感じます。発酵を単純な「因果」ではなく複雑な「縁起」として捉える方法は、私たちのこれからの生き方のヒントに成り得るかもしれません。
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計算という概念が、これまでどう成長してきたのかを、数学史をひもといて教えてくれる本です。漠然と不安に思う人工知能も、多くの哲学者や数学者が積み上げてきたものだと知ると、その見え方に変化が起きてきます。計算が加速する現代、私たちは計算とどのように付きあえるのか。筆者の力を借りて考えてみたくなります。
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種から種へ命つながるお野菜の一生
鈴木 純(文・写真)
植物観察家の私は、近所で植物を見つけてはその細部を観察する日々を過ごしています。そんなある日、私はふと気が付きました。いつも食べているお野菜だって植物なのではないかと。さっそく野菜を育てながら観察をすると、そこに待っていたのは驚き溢れる命の躍動の世界でした。この感動をおすそ分けさせてください。
ブックキュレーター
植物観察家 鈴木純植物観察家。1986年、東京生まれ。東京農業大学で造園学を学んだのち、青年海外協力隊に参加。中国で2年間砂漠緑化活動に従事する。帰国後、仕事と趣味を通じて日本各地に残る自然を訪ね歩き、2018年にフリーの植物ガイドとして独立。主に街中を舞台にした植物観察会を多く開催している。現在は、保育や教育の現場に赴くことが多く、雑誌・新聞・テレビ番組の製作協力なども行う。著書に『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』『種から種へ 命つながるお野菜の一生』(ともに雷鳥社)
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