ブックキュレーター哲学読書室
俗流「現代思想」ではない、本当の68年5月の思想へ
安直な流行への追従と商業主義の下で消費されてきた「現代思想」の流れと手を切り、1968年5月革命の熱気を宿す哲学・思想を、あくまでも文献と文脈に忠実であるがゆえに急進的な政治性から目を背けることなく捉えること――それこそが新世代の研究者の使命なのである。【選者:鹿野祐嗣(しかの・ゆうじ : 1988-:神戸大学助教)】
- 43
- お気に入り
- 9108
- 閲覧数
-
ドゥルーズと革命の思想
鹿野 祐嗣(編著) , 廣瀬 純(著) , 堀千晶(著) , 山﨑雅広(著)
「ポストモダン」「ポスト構造主義」といった不正確なレッテルや、政治的に漂白されて商業主義・成果主義に溺れた「現代思想」的な批評の文脈とは手を切り、ドゥルーズの哲学がもつ政治的性格を、思想史的な文脈や現実の革命運動との接点からあらためて取り上げた論文集。山﨑雅広の鮮烈なクロソウスキー研究も必見である。
-
グローバル・ヒストリーとしての「1968年」 世界が揺れた転換点
西田 慎(編著) , 梅崎 透(編著)
既存の社会秩序と価値体系を転覆する新しく自由な生き方を模索し、解放的な社会を創造しようとする、68年の5月に象徴されるような革命の時代――ドゥルーズ哲学は、まさにそうした時代の只中で生まれた。今日その哲学を真に受け取るためには、まずはそれを取り巻く歴史的背景を把握しておくことが必要になるだろう。
-
本物の左翼とは、ドゥルーズが生きた時代の最良の部分を体現している革命家チェ・ゲバラのことである。彼のことを、ジョン・レノンは「1960年代、世界で一番かっこいい男だった」と、サルトルは「われわれの時代のもっとも完璧な人間」と語った。革命とは何であるかを知るために、他の何よりもこの一冊を読むことをすすめる。
-
精神分析の再発明 フロイトの神話、ラカンの闘争
工藤 顕太(著)
「奇を衒うのでもなければ自惚れた虚栄でもない「真理」へのとびきりの情熱」(帯文より)をもって、立木康介『精神分析と現実界』以来の日本語で書かれた重要なラカン研究が登場した。「否定神学」や「父の名の衰退」といった現代思想の偽の問題には目もくれず、ラカンによる精神分析の革新の意義を真正面から捉える試み。
-
ドゥルーズ『意味の論理学』の注釈と研究 出来事,運命愛,そして永久革命
鹿野 祐嗣(著)
『差異と反復』の概要や『意味の論理学』についてまともなことを知りたければ、現状では残念ながらこの高度な専門書を読むしかない。ただ、読み解くためにはそれなりの前提知識が必要となるにせよ、専門的な箇所は省いてまずはドゥルーズ哲学に宿る革命精神だけでも感覚してみるというのも、また立派な読み方なのだ。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です

