ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
「出版のこころざし」を知る
DTPや同人誌ブームなど、本づくりのハードルはずいぶん低くなったようにも思われますが、「出版」という行為には、本の形をしたものを作ること以上の意味があると思います。それは、「本」という言葉に、印刷した紙を束ねたもの以上の意味があるのと同様です。さまざまな出版社のあり方、その底に流れる精神に触れる本たちです。
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新宿書房往来記
村山 恒夫(著)
「本は周縁と路上の往来から生まれる」と約50年の歴史をもつ新宿書房社主の著者は語る。無名の「こと」や「ひと」を探し出し、ページに刻んで後世に受け渡す──メディウムとしての本の存在がくっきりと立ち上がる。田村義也や杉浦康平ら著名装丁家たちの挿話も多い。この世代の版元に関する本は意外に少ないので貴重。
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みすず書房旧社屋
潮田 登久子(著)
社屋といっても、住宅のような古い古い木造モルタル2階建て。小屋と呼ぶ人もいる。和書、洋書、辞典、新旧さまざまな本、机の上に積み上げられた書類、そして働く人々の姿をとらえたモノクロ写真たち。その1枚1枚が、「よい本」と同じ気配を漂わせているから不思議だ。撮影は1995から96年。
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第一藝文社をさがして
早田 リツ子(著)
1934年に大津で生まれた出版社、第一藝文社社主、中塚悌治の一生を描く。文学青年が知識や経験ないまま始めた出版社だが、一途な思いが人と人とをつなげ本が生まれていく、その道のりが冷静な筆致で綴られる。時代を超えて生き続け、読者を得ればいつでも豊かな語りを始めるという、本の不思議な力を改めて思わされる。
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書肆ユリイカの本
田中 栞(著)
書肆ユリイカは現代詩を語るとき最も重要な出版社のひとつ。昭和22年にスタートしたが、社主・伊達得夫の40歳の死により出版社も短命に終わった。著者はこの伝説的な出版社の本を蒐集、内容ではなく書物の姿だけを見るというある意味とてもフェアな方法で、この出版社の歩んだ道を浮き彫りにする。図版も多数収録。
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タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる
野瀬 奈津子(著) , 松岡 宏大(著) , 矢萩 多聞(著)
インドのタラブックスは、1995年にスタート、手刷りによる美しい絵本『夜の木』をきっかけに、世界中から注目を集めるようになった。そのユニークな出版活動をインタビューや取材により紹介する。利益最優先になりがちな業界への、そして、社会全体へのアンチテーゼとしての出版活動には、学ぶべきことが多い。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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