ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
「出版のこころざし」を知る
DTPや同人誌ブームなど、本づくりのハードルはずいぶん低くなったようにも思われますが、「出版」という行為には、本の形をしたものを作ること以上の意味があると思います。それは、「本」という言葉に、印刷した紙を束ねたもの以上の意味があるのと同様です。さまざまな出版社のあり方、その底に流れる精神に触れる本たちです。
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1934年に大津で生まれた出版社、第一藝文社社主、中塚悌治の一生を描く。文学青年が知識や経験ないまま始めた出版社だが、一途な思いが人と人とをつなげ本が生まれていく、その道のりが冷静な筆致で綴られる。時代を超えて生き続け、読者を得ればいつでも豊かな語りを始めるという、本の不思議な力を改めて思わされる。
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インドのタラブックスは、1995年にスタート、手刷りによる美しい絵本『夜の木』をきっかけに、世界中から注目を集めるようになった。そのユニークな出版活動をインタビューや取材により紹介する。利益最優先になりがちな業界への、そして、社会全体へのアンチテーゼとしての出版活動には、学ぶべきことが多い。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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