ブックキュレーター文筆業 矢内裕子
海がつれてくる物語の美しさと不思議さ。SFから学園物まで「海コミック」を紹介。
物語の舞台になる海もあれば、心に寄せてくる波もある。心を映す海の表情は、物語に奥行きを与えてくれる。ときに荒ぶる嵐の海は、私たちのなかにあるのだ。
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鎌倉に暮らす三姉妹のもとに、幼い頃に離婚して家を出ていた父親の訃報が届く。父親は再々婚しており、葬式で初めて会った異母妹・すずを、三姉妹は引き取ることにする。恋や仕事、それぞれの事情を抱えた三姉妹とすず、街の人々の暮らしを鎌倉の自然とともに描いた名作だ。
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茅野うみ子は夫と死別したばかりの65歳。映画鑑賞が好きだった夫を思い、数十年ぶりに映画館へ行き、美大生・濱内海に出会う。海との出会いから、自身も映画を撮るために美大へ入学するうみ子——ヒロインの心が動くときに心象風景として描かれる「海が走る」描写がいい。異なる年代が交差する物語も現代的だ。
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アニメ化、映画化もされた人気作品の舞台・芝浦高校は「もとは軍事施設のあった人工島で、戦後、学び舎が自然発生した」という場所。アニメが好きで、人並み外れた想像力を持つ浅草みどりのイメージにも、海や水が随所に現れる。リアルな海と想像のなかの海。水の描写も、作品の魅力になっているのだ。
ブックキュレーター
文筆業 矢内裕子文筆家ときどき編集。東京都文京区育ち。出版社で書籍編集者として勤務後、独立。担当した本に角田光代『古本道場』、三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』、いとうせいこう『ボタニカルライフ』など多数。著書に『落語家と楽しむ男着物』、萩尾望都さんとの共著『私の少女マンガ講義』がある。現在、橋本治さんへのインタビュー集を準備中。note:https://note.com/yanaiyuko
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