ブックキュレーター平野啓一郎
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私の小説家としての歩みは、パソコンとインターネットを中心とするテクノロジーの急激な進展によって、社会が激変した今世紀の始まりとほぼ軌を一にしている。Web2.0を画期として、積極的にこの問題に取り組み始めて以来、西垣通氏の一連の仕事は、常に最良の導き手だった。エンジニアとしての実務経験と、コンピューターの原理をヨーロッパの思想史・宗教史と接続させる根源的視点、「基礎情報学」という独自の理論枠組み、……と、その思索の大きさは比類ない。本書も、AIとは何かを理解する上で必読書となっている。
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私は日本の古典の多くを講談社学術文庫で読んだ。原文と現代語訳、注釈と解説が見やすい編集で、中学や高校の「古文」の授業で手こずり、古典に手が伸びなくなってしまった人でも、スムーズに読み通すことが出来るだろう。『雨月物語』は、その最初のきっかけとなった本で、有名な「浅茅が宿」は、大きな時代背景を伴う運命劇であり、また、「愚かさ」と「健気さ」を描く濃やかな悲劇であり、冷たい夢幻譚、苦い後悔の歌物語、一種の訓話、……となっており、短篇ながら、その構成力に魅了された。
ブックキュレーター
平野啓一郎1975年生まれ。京都大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。40万部のベストセラーとなる。以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在。美術、音楽にも造詣が深く、各ジャンルのアーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。『マチネの終わりに』『私とは何か「個人」から「分人」へ』など著書多数。
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