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注目作家や著名人に最新作やおすすめ本などを聞く『honto+インタビュー』。
今回は、『HIROKO KOSHINO~it is as it is あるがまま なすがまま~』刊行を記念して
ファッションデザイナーのコシノヒロコさんが登場。
「若いころからいまに至るまで、ものをつくる思想は少しも揺らいでいません」
あらゆる意味で「巨大」な本が上梓された。
抱えるほどのサイズはもちろんのこと、内容的なボリュームもケタ外れ、さらには著者がそこに込めた思いもまた壮大である。
本書をつくった意図と意義を伺いに、ご本人の事務所へ赴いた。洋服だけでなくアートも手がけるゆえ、部屋の壁面には絵画が掲げられていた。ノさコシんの佇まいやファッションと作品が、当然ながらよく映える。
「それはまあ私が描いた絵ですからね(笑)。私は描き出したら迷ったりしないので、大きな作品でもかなり短時間で完成に達するんですよ。これらは、自分の内側に降りかかってきたインスピレーションを瞬時に捉えた表現。『この感覚を伝えたい』という核の部分が心中に浮かべば、余さず掬い上げて即座に絵として定着させるだけです。お洋服をつくるのも同じこと。『美しいこんなシンプルなシルエットにしたい』『ワンポイントのこの色を輝かせたい』など訴えたい一点が決まれば、あとはそれを実現するために作業をしていくだけ。デザインにメリハリが重要というのは、そういうことです」
なるほどコシノファッションのひと目見たら忘れられない「強さ」は、そんなところから生じるのだ。
コシノヒロコのデザインをとことん堪能し、肌身をもって理解できるのが本書。1978年から2017年秋冬コレクションまで、約40年分のコレクションルックが収められており、併せて長年手がけてきたアート作品も掲載する。西洋モダンと和の伝統美を融合させたコシノファッションの特質がページを繰るだけで理解できるとともに、モードとアートを自在に行き来する軽やかさも誌面で表現されている。
特筆すべきは章立てが空、然、素、組、耕、遊、色という7つの言葉で構成され、そこにあらゆるモードとアートが分類してあること。
「若いころから、ものをつくるにあたっての思想が揺らいでいない自信はあります。ですからいつの作品でもフラットに扱うことができますし、テーマですんなりと分けられるんです。昔つくった服も、いま見たって古びていないでしょう。凝ったテキスタイルなのに形はとてもシンプルだったり、無地の布を使っているときは形で冒険していたりと、目指すところは一貫しています。
私が何を言いたかったか、どのページを見ても明確に理解できるんじゃないでしょうか。ですからこの本は、とくに若い人にぜひ見てもらいたい。自分がどんな表現をしていこうか、自分らしさをどう出していけばいいかを考えるときに、きっと参考になると思いますから」
新刊のご紹介
HIROKO KOSHINO it is as it is あるがまま なすがまま
コシノヒロコ
出版社:丸善プラネット
1978年から2017年までのコレクションルックと描きためてきた絵画を、写真とともに振り返り、ヒロココシノの理念を可視化した、他に類を見ない貴重な書。モードとアートを自由に往来する、デザイナー歴60年、コシノヒロコの集大成本。
コシノヒロコ(こしの・ひろこ)
大阪府出身。ファッションデザイナー小篠綾子を母に持ち、妹コシノジュンコ、コシノミチコとともにファッションデザイナーに。
アーティストとしても広く活動。東京・銀座の旗艦店「ヒロココシノ銀座店」に、併設の「KHギャラリー銀座」を備える。
主な著作
バックナンバー
- 阿部和重×伊坂幸太郎『仕事をつくる (キャプテンサンダーボルト) 』(文藝春秋)
- 安藤忠雄『仕事をつくる (私の履歴書) 』(日本経済新聞出版社)
- 栗山圭介『フリーランスぶるーす』(講談社)
- 伊坂幸太郎『ロングレンジ』(幻冬舎)
- 真梨幸子『祝言島(小学館)
- 阿部智里『弥栄の烏』(文藝春秋)
- 深水黎一郎『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』(河出書房新社)
- 小手鞠るい『たべもののおはなし パン ねこの町のリリアのパン』(講談社)
- 上田秀人『竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末』(講談社)
- 浅田次郎『天子蒙塵』(講談社)
- けらえいこ『あたしンち』(KADOKAWA)
- 伊東潤『天下人の茶』(文藝春秋)
- 真保裕一『遊園地に行こう!』(講談社)
- 伊坂幸太郎『サブマリン』(講談社)
- 松岡圭祐『探偵の鑑定』(講談社)
- 堂場瞬一『誘爆 (刑事の挑戦・一之瀬拓真)』(中央公論新社)
- 山崎ナオコーラ『ボーイミーツガールの極端なもの』(イースト・プレス)
- 安藤哲也『崖っぷちで差がつく上司のイクボス式チーム戦略』(日経BPマーケティング)
- 藤原和博『たった一度の人生を変える勉強をしよう』(朝日新聞出版)
- 伊坂幸太郎『キャプテンサンダーボルト』(文藝春秋)
- 阿部和重『キャプテンサンダーボルト』(文藝春秋)
- 川上未映子『きみは赤ちゃん』(文藝春秋)