絶妙なバランス感覚
2001/06/24 01:24
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投稿者:ハマツ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本はとてもバランスがいいと思う。
宮本茂や寺田克也等の現役バリバリのクリエーターに対して、とても濃い内容の「ゲームの話」をしていたかと思えば、小学生と「ゲームの話」をしていたりする。そして、その小学生との対話が妙に味のある「ゲームの話」になっていたりする。
たいてい、こういうゲームに関する文章や、インタビューっていうのは妙に肩に力が入りすぎていたり、力もなにも入ってないようなスカスカの内容だったりするのだけれど、この本はそのどちらの落とし穴にもはまらず、おもしろい。
おそらく、これは、筆者のゲームに対する「大好きだけど、命かけるほどじゃない。」という態度のとり方によってなせる業なのだと思う。
この筆者に対して言うことがあるとすれば、早く2巻目を出して頂戴ってことだけだ。
ゲームの話をしよう
2000/07/27 14:32
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投稿者:シダクニヒデ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「いままでにゲームをやらない男とつきあったことあります?」
「わたしはそうだったよ、ファミコンのころは。(中略)『マリオ』やってたときは約束なんてすっぽかしてたもん。」(本書104Pより引用)
ムダ話、ヨタ話、ダメ話。テレビゲームを遊ぶのは楽しいが、遊んだ後に友だちと盛り上がるともっと楽しい。あっという間に話題がつながり、意気投合。どうしてこんなに楽しいんだろう!
本来、テレビゲームとはごく個人的なものだ。遊び手はモニターに向かい、ひたすらにコントローラのボタンを叩くことになる。映画のように誰もがひとつの物語を見るのではなく、テレビゲームでは、それぞれの遊び手が異なる体験を味わう。つまり、ひとつのゲームソフトがダイナミックな多様性を生み出す。てな感じが理由ってところか。
この本は、そんなゲームを題材とした会話だけを切り取った、リラックスしたインタビュー集。聞き手の永田泰大さんはゲーム専門誌、週刊ファミ通の編集者だ(現在はフリー)。彼とゲストの会話はゲームソフトの批評にとどまらず、ときにテレビゲームのビジネスや、ゲームを取り巻くライフスタイルにまで転がっていく。その脱線ぶりがとってもグルーヴィなのだ。
(シダクニヒデ・ゲーム推薦家)
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小学生へのインタビュウが素晴らしい。
任天堂は小学生向けって言うけど、たぶんホントに小学生に話聞いて作ってるのが任天堂ってだけだと思う。
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永田さんの言葉は、どうしてこんなに優しいのだろうかと思う。ゲームや、それを作る人達、遊ぶ人達への愛が満ち溢れています。それが遺憾なく発揮された本書は、ゲームに関わる人全てに読んで欲しいです。
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97年頃のファミ通忘年会でサンタのコスプレをして原稿を書いていた永田さんの写真が載っている記事を宝物のように持ち続けています。
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ゲーム雑誌『週刊ファミ通』にて連載されていた対談コーナー「ゲームの話をしよう」を書籍化したもの。対談内容は1997年末~2000年にかけてのものなので、だいぶ懐かしい話題が満載です。ようやくドリキャスが発表された、そんな時代。
この連載企画について永田さんは「何気ない会話が思いもよらぬ展開を見せ、「おお、そうだったのか」と目から鱗が落ちるかのような議論を導くことがある。[……]僕はこれを原稿にしてみようとキーボードの前に座る。しかし多くの場合、それはうまくいかない。[……]「もったいないなあ」と思う。[……]そんあふうな"もったいない創造物"を、多少の体裁は無視して誌面に再現したのが、"ゲームの話をしよう"という連載です。」と述べています。要するにゲームについての雑談をしている、それだけの本なんです。対談相手もゲームクリエイターから小学生まで多岐にわたります。
しかし、ゲームを通じていろいろな話が飛び出すのが面白い! ゲームの面白さ、ゲーム論なんかはもちろん、マーケティング戦略や日本文化論、ジェンダー論(いや、男女関係論か?)にも展開していきます。
そういえば、任天堂の宮本茂さんの話がセブン&ワイの鈴木敏文さんとも共通するようなことだったんで「やっぱり、何かあるんだろうなー」なんて思ってました。
ゲームに一切興味がなければ読むのは苦痛でしょうが、少しでもゲームにハマっちゃった経験のある方にはオススメです。
あと、対談の中で浜村さんが「たとえば「このゲームやらな死んでまうで」みたいなムッチャクチャおもしろいゲームがあって、それがプレイ時間 500時間だったら、ゲーム業界にとって大問題になると思う」なんてことを仰っているんですね。これが97年の対談の内容なんです。そう考えるとやっぱり「ネトゲ」や「モンハン」のブームっていうのは、ゲーム界(あくまでゲーム業界ではなくゲーム界)にとって革新的なことだったんだなあ、と思わされました。ゲームという限られた媒体を通して見ても、社会って変化しているんですねー。
【目次】
はじめに
ゲームの話をしよう 01~71
(以下対談相手/掲載順、肩書等略、重複アリ)
浜村通信、羽田隆之、水ピン、バカタール加藤、エディ是枝、餅月あんこ
宮本茂、サンマルタン・アルノ、香山リカ、いけだたかひで&こはらゆたか
ロボコック寺島、マイク・ヴァン・ダイク、山岸勇
イザベラ永野&奥村キスコ、酒井K太&エディ是枝、稲越一之
寺田克也、山下章、吉沢秀雄、ルパン小島&ポルノ鈴木、矢野周一
竹崎忠、エリザベス・ベラン、ヤンヌ・トロワデック
ボーズ(スチャダラバー)、バカタール加藤&針生セット、羽田隆之
中村光一、石井精一、豊田恵吾&斉藤雪枝、北本幸寛
岩田聡&桜井政博、宮本茂、仁井谷正充、渡辺美紀、坂下雅史
磯山卓志
ゲームの話をしよう EX
糸井重里
あとがき
COLUMN1 本書に使われる用語に関しての考察
COLUMN2 実話満載!ゲームの話をしようスゴロク
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永田泰大という人物は、言葉の選び方にセンスがあり、対話する相手を慮る優しさがあり、話題とするゲームに対しての愛がある。僕も仕事柄喋りでは何度もインタビューはしてきたけれど、この本を読んで音声が文字に負けうる事項に気が付きました。
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ゲームの話が楽しいのは当たり前。
この本の醍醐味は永田泰大さんの芳醇な文章にあるでしょう。
まぁまだ読んでないんだけどね。
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いまだにこの本は読み返す。
学生の頃、隔週や毎週ファミ通買ってた世代にはたまらないはず。
懐かしさの中にクリエイティブや体験についての本質があるよ。
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本としては20年以上前の本です。
岩田さんが任天堂ではなくHAL研ですし、
永田さんもほぼ日ではなくファミ通のデスク
そういう一つ一つ若いっていうのはもちろん感じます。
この本が出された時も連載時から数年は立っているんですよね、
ハードの感想なんかは時とともに古く感じるところもありますが、
抽象的な
エンターテインメントは
普遍なんだということを感じるんです。
ゲームが面白いからこそ
話をすることが面白いからこそ、
ゲームの話をすることは面白いんですよね。
当時のゲームの攻略方法の話だけだと古く感じるのだろうし、
攻略だけでなくこのゲームで遊んでいただけだと、ただそれでで終わってしまうのでしょうが、
当時のゲームで
誰がどんなふうに楽しんだのか
どんなことを感じたのかの感動はこれだけ経ってから読んでも変わらないものがあります。
思い出が重なったり、増えたりするんですよね。
最後の項にあったこの本だけの特別対談で
「スポーツと戦えるかが勝負じゃないか?」
って問いは今でも普遍的に通用するような気がしました。