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セールも始まった今、新しいスーツを買おうとご検討されているかたも多いのではないでしょうか。いいものを買うにあたって、評判のバイヤーが「あまり教えたくない」と言いながらこっそり聞かせてくれた、「本当にいいスーツ」の見分け方を知って、お気に入りの1着を探しませんか。
なお、おしゃれバイヤーたちの会話にはときどき専門家ならではのスーツ用語が登場します。詳しく知りたい! という勉強熱心なかたは『本格スーツ大研究』46ページの「スーツの基本ディテール100連発!!」を開いていただくと、ビジュアル付きでとくとご覧いただけます!
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安価なスーツや、それを賛美する情報が世にあふれかえる今だからこそ、「本当にいいスーツ」を自力で判断できるようになりたいもの。そこで、業界でも名うての目利きとして知られる4人を緊急招集。門外不出の“見分け方”をこっそり教えてもらいました!
登場人物
・鴨志田康人さん(以下、鴨志田)
→ユナイテッドアローズ クリエイティブ ディレクター
・中城大祐さん(以下、中城)
→トゥモローランド メンズ事業部長兼バイヤー
・中村達也さん(以下、中村)
→ビームス クリエイティブ ディレクター
・平野洋樹さん(以下、平野)
→エディフィス ディレクター
・MEN'S EX編集部(以下、M.E)
※あいうえお順、敬称略
M.E.:「本当にいいスーツ」をわれわれ“シロウト”が見分ける方法ってありますか?
中村:30万円台のスーツと1万円台のスーツを着比べればわかりますよ。最初に高いのを着て、そこから下げていけばいい。ここまではOKだな、というラインが絶対に見つかりますから。お店にとってはイヤですけどね(笑)。あと、芯地がフラしている(※接着していない)もの。総じてハンドメイドのものは、テープなども貼っていません。安いスーツは片側だけに芯地をカッチリ接着しているから、堅くてすぐわかります。
平野:芯地を接着しているスーツは、工場にとっては生産効率がいい。喜ばれるんですけれどね。
鴨志田:イタリアのハンドはラペルのコバのエッジが、ハンドステッチにより微妙に膨らんでいる。その立体感がとても美しいんですよ。イタリアですからラフなんですけど(笑)、リズム感を感じますよね。あと、なだらかに、鋭角が出ないようなノボリの取り方は、肩線がきれいに見える。僕の個人的な好みですけれどね。
中村:なで肩に見えるの、鴨志田さんも好き? それって、僕のスーツの基本かな。
鴨志田:ここのラインがキレイなスーツは、結果的にいいスーツですよ。昔のハリウッドスターのスーツとか。昔の英国だったらできているんじゃないかな。
中城:流行の細身のスーツは、良し悪しの差が出ますよね。ただ細いだけだと、運動量が減ってきて腕が上がらない。その技術力の差は、かなり出ますよ。
平野:地の目は絶対大事。首に吸いつくようにクセ取りした、地の目が通った上襟は、アイロンワークが重要。有名なブランドでもできてないことが多いんです。あと、ポケットの本玉縁。普通はポケットマシーンで7秒です(笑)。それを手で縫っているのは、こだわりの証になりますね。
中村:マニアックな見分け方は、モデリストに教えてもらうんですよ。昔はマニアなお客様が多かったから、負けられない(笑)。
平野:チェック箇所は工程数と同じだけありますよ。ウチのスーツで220~250ヶ所。
鴨志田:お店でひっくり返されちゃうから、絶対に内緒(笑)!
【電子書籍もあり】