紙の本
佐橋大臣、三木次官
2002/02/24 20:14
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時の通産省の官僚が如何に思い上がっていたかを上手く描いている。先日NHKでドラマ化されたが、そのあまりの時代錯誤振りに視聴者から総すかん、ドッチラケとなった事件はあまりに有名。佐橋は結局岸信介の亜流か。でも佐橋は飛ばされ、産業統制法はお蔵入りになって、日本は高度経済成長に突入する。所詮、官は黒子という一歩下がったサービス精神で行かないと社会から浮き上がってしまうのよ。城山は官僚を美化しすぎだ。こんな小説は作り話。真に受けてはいけません。現実は相当違いますぞ!
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戦後経済通史モノとして面白かった。…昔に読んだので記憶が薄れているが、確かモデルが有り有りで探せば更に面白い。人間のやる気というか意気を四季に喩えている気もした。
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大学時代、資料として読むように言われた一冊。思いの外面白く、授業は無視で一人読み込んだ。行政学に興味のある方にお勧め。
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官僚とは国を支える存在だと思う。薄給に甘んじ、不毛な国会待機にもめげず、日々国のために奉公し続ける、そんな存在なのだと思う。昨今官僚の汚職は恒常化し、「官僚」=「ダーティ」というイメージが蔓延している世の中だけど、それはきっとメディアの偏向報道によるところが大きいのではないだろうか?もちろん「権力は腐敗する」という要素は確かにあるけれども。
風越のように天下国家を考え邁進する官僚が一人でも多く現れることを祈るのみである。もちろん彼ほど剛毅木訥な人物はそうそう現れないだろうけど。人事カードをゲームのように操る風越の描写は、ポスト争いに明け暮れる霞ヶ関の縮図のような気がした。
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通産省の風越信悟の出世をめぐる官僚物語。名言が散りばめられていてどの言葉もかっこいい。官僚が国を動かしていた古き良き時代の経済小説。
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この本を一言でいうのなら人事の難しさだと思う。人事のなんたるかを知り尽くしていると公言している人がいたとしたらそれは驕りでしかない。主人公も最後になってふと気付く。俺はなにをわかっていたんだろうと。でも気付いたところでどーしよーもないんだけどねー。人事によって人生を狂わされた人の時間が戻ってくるでなし。
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舞台は1960年代の旧経産省。官僚をここまで爽やかに描ききれるものかと思った。物欲にまみれた官僚・政治家が出てこない。片や財界は目先の利益ばかり求める姑息な人間ばかり。かなりわかりやすい構図だが、現実はこうはいかないだろう。まあそれはともかく、読み物としてとても面白いし、行政の勉強にもなる。(1980年発行)
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高度経済成長期の経産省で繰り広げられる権力闘争と政策論争を描いた小説.「人事の風越」を中心に,一癖も二癖もある官僚達の思惑が絡み合う様は,非常に説得力があった.こういう世界に生きたいとは思わないが,こういう世界でも生き抜ける人間にはなりたいと思った.
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経済学的には正しくないらしい。
しかし、それを抜いても「熱い」本だと思う。
こういう人になりたい。
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1960年代の通産省のキャリア官僚の話。
実話を基にした話のようでなかなか。
官僚と政治家と企業の微妙な関係がよくわかった。
天下国家を論ずる熱血漢な登場人物がよい。
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昨年(2007年)に亡くなってから、最近の世間の潮流とも重なって、再び注目を浴びている城山三郎による、日本のビューロクラシーを淡々と綴った代表作のひとつ。
キャリア組が、「天下国家のため」とする、本音とも建前ともいえない使命感と、互いがお山の大将を目指し、根回しによる策略を巡らす展開。
自らが主導権を握っているようでも、それぞれの思惑で思い通りにいかない実態。
官僚同士だけでなく、外では、政治家、産業界、官僚の三者が、自らの利を求めてしのぎを削る。
この作品の60年代だけでなく、今もこうした部分は変わらないんだろうけど、人間臭さというか、体育会系のような雰囲気は当時の独特勢いを感じさせる。
ページ数はありながらも、意外とスラスラとすぐに読み干せるのは、筆者の技量なのかも。
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今年は暑い夏だ。
熱い想いを持って、社会的な仕事に情熱を捧げた男たちの話、「官僚たちの夏」を読んだ。指定産業振興法という一大立法にむけて邁進する風越という骨太な男を中心にした天下国家のために働く男たちの話。
どうもこういう本に弱い。有形無形に、ある大きな夢に向かう話。ドラマでいえば、「白い巨塔」や「華麗なる一族」か。
白い巨塔では財前教授には浪速大学に高度がん治療センターを作る夢があって、華麗なる一族でには製鉄所をつくる夢があった。どちらも壁に阻まれて、主人公は失意の中で亡くなるのだが、この種の巨大な公共財に自分の名誉をかける男の話ってのはいいですもんですね。構造に共通点がある。
ガンにかかってしまった財前五朗がライバルでもあり友人でもあった内科医たつみに最後に言うセリフ、「ただ、無念だ」の「ただ」という一言が堪らなくグッとくる。
はい、ローマの休日に続いてのセリフ萌えでした。(2007/8/4)
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実話を元にした通産省官僚の小説。人事異動の参考になればと読み返した。その人が持っている”仕事観”というか”価値観”はそれぞれ異なるし、人事権者の価値観も人によってかなり違う。人事異動はまさにタイミングだが、自分の考えを持ってある程度は筋を通した生き方をするのが後悔しないコツかもしれない。
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高度経済成長期、国の再起をかけたこの時代を、各々の個性を以って奮闘した、通産官僚達の物語。
大きなうねりを起こした風があり、しかし飛沫の行方は知れず。形を変えて残る意義。瞬きの生き様、終生を迫る問い。戻れぬ邁進。
大きな意識の集合があればこそ成る大事がある。けれども個々の全てを共有することなどできない。目を開けば渦の中。
官僚に政治家に記者、金融に産業。それぞれの価値観と意地と誇りが、ぶつかりあい探りあい模索する様は、移ろいと巡りの悲哀と共に、力強さがあります。人事と人、忘れえぬ糸。
登場人物には実在のモデルがいるようなので、後で調べてみよう。
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今読むとかなり官僚主義的ではあって、さて主人公たちの主張が通っていたらどうなったか……と思うとそちらもおもしろい。