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時代小説の概念ががらっと変わった。
著者の作品は初めて。戦国〜幕末辺りの有名な小説が読みたくて“直木賞”で地元電子図書館で試しに検索して出てきたので借りてみた。
結果、藤沢周平さん、すごく好きになりました。
文体が綺麗で読みやすく心理描写に無駄がない。てっきり存命の方かと思ったら1927(昭和2)年生!なんでこんなに今風というか、古さを感じないのか……?すげー。
短編5編、ハズレなし。どれもハッピーエンドとは程遠いけどそこがいい。特に印象に残ったのは『ただ一撃』。強いお爺さんとその息子の嫁の話。鼻垂らしてる爺さんが実は最強剣士なんてワクワクさせておいて怒涛の展開。泣けばいいのか笑えばいいのか、ちょっとエロいなとか思ったりもしてしばらく忘れられなさそう。
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「黒い縄」「暗殺の年輪」「ただ一撃」「溟い海」「囮」の5作。
「溟い海」で藤沢周平は文壇に登場し、
「暗殺の年輪」で直木賞を受賞する。
「黒い縄」「ただ一撃」「囮」など、
デビュー当時の雰囲気というか、
昭和時代の粘性を感じる作品。
当時はそれが普通だったのかもしれないけれど、
今読みかえすと、
一種のギラつきが灰汁になってしまう。
昭和の時代の男と女が、好む時代小説だと思う。
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1973年の直木賞受賞作品ほか4篇。今とは全く違ったはずの武士の世の倫理観が、5篇すべて、結末とうまく繋がっている。特に「ただ一撃」の範兵衛と三緒が壮絶だった。