紙の本
清明、博雅の名コンビによる平安時代の神秘な世界の謎解き
2010/01/17 21:28
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに夢枕獏の陰陽師を読んだ。この文庫本シリーズは飽きが来ないようにという配慮なのか、集中して出版しない。忘れた頃に次が発刊される。確かに飽きが来ることはないのだが、忘れ去られてしまわないのだろうか? もう少し間隔を詰めた方が良いような気がする。
今回は9編の短編が集められ、「夜光杯ノ巻」と題して出版された。いずれのエピソードも、清明邸の庭を眺めながら、安倍清明と源博雅の二人が風流にも、庭の草花を愛でながら酒を酌み交わすところから始まる。
そして、事件が起きた現場に行こう行こうということになり、二人が揃って馳せ参じるわけである。清明が博雅から話を聞いた段階で、清明の方ではもうあらかた原因と結果が分かってしまっているようだ。現場へ行くのはその確認に過ぎない。現場に行くまでは、清明は博雅に自分の推理を話しはしない。それを博雅は気に入らず、「勿体ぶる」のは清明の悪い癖だと断じて責めるのである。
この辺りまではどの話にも共通している。それ以外では、今回のエピソードは比較的穏やかで、百鬼夜行という雰囲気はなく、鬼が人をバリバリ喰ってしまうようなグロテスクな場面は出てこない。したがって、それを期待していた読者には、物足りないかも知れない。
本書においては、京にある雲居寺の高僧、浄蔵師が二度登場する。三善清行の子息で徳の高い僧侶である。清明も博雅も歴史上の人物だが、歴史上著名な人物をしばしば登場させるのは、歴史愛好家にとっても興味深い。
浄蔵師については、前編はともかく、後編は高齢の高僧とは思えない恋愛の悲話である。このシリーズのエピソードは、百鬼夜行もあるが、男女の恋愛が成就せず、まだ諦めきれない相手に対する想いが落ち着き場所を求めてさまよっているというものも少なくない。
龍神祭では、蝉丸が登場し、蝉丸とともに三人で神泉苑を経由して天竺まで旅をするという面白い趣向もある。久しぶりに読んだが、相変わらずの娯楽傑作であった。うっかり気付かず、読まなかった長編の文庫版もあるようなので、早速、平安時代の闇の世界を堪能しよう。
電子書籍
「呪の話」はもう聞かないwww
2018/12/06 07:03
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『陰陽師 第10巻 夜光杯ノ巻』はまた短編集ですが、なんと収録作品9編。
博雅の笛にまつわる話が2編:「竜神祭」、「無呪」
幽霊話2編:「菊屋敷」、「魔界物小僧」
物や生き物の精が出てくる話3編:「月琴姫」、「月突法師」、「蚓喰(みみずく)法師」
地獄の獄吏が登場する話1編、「食客下郎」
恋バナ1編「浄蔵恋始末」。
どれもそれぞれの味わいがありますが、博雅の楽器に対する愛情がもろに分かる「月琴姫」や博雅の笛は神も妖も感動させるということが語られる「竜神祭」と「無呪」がほほえましくてお気に入りです。
「浄蔵恋始末」は70歳超えた坊さんの遅すぎた春ともいうべきストーリーで、お相手の女性は60過ぎで病にかかり余命いくばくもないおばあさん。40年前に出会って一時結ばれた仲だったそうで。そうね、忘れられない恋ってあるよね、なんて思いながら読みました。
相変わらず簀子で酒を酌み交わして語り合う晴明と博雅ですが、この巻では博雅が晴明の「呪の話」をもう聞こうとしなくなってるのが面白いですね。
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「陰陽師」三年ぶりの短編集。
晴明と博雅のあいだに流れる空気がやけに艶っぽくなっていることと、これまでの作品にくらべて表現に深みが感じられないことに多少の違和感も覚えたけれど、安心して浸れるお決まりの展開は健在。
「この世に、おまえがいてよかったと、おれはしみじみと今、そう思っているのだよ、晴明-」<食客下郎>
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一編一編がごく短い、文字通りの短編集です。サクサクと読めて普通に面白いので、中々楽しめたのですが、最後の話だけオチに「?」となったので、星三つです。つまりそれは夢オチってことなんでしょうかね?
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ハードカバー借りて読んでから、文庫本になるのを待ってたのよ~。ようやく出ました。
いやもう安部晴明と源博雅コンビのラブラブっぷりが微笑ましくて(爆)。いつもはクールな晴明が、この巻では二度もうろたえる場面があるのよね。ふたりきりの時はタメ口きいてる晴明も、人前ではいちおう博雅のほうが身分が上なので敬語使ってるんだけど、うっかり「おまえ」と呼びそうになってあわてて「博雅様」と言い直したり、博雅から大胆な告白を受けてうろたえ、こともあろうに博雅に「可愛い」なんて言われてしまう萌え要素満載(爆)。
お話もなかなかの傑作ぞろい。わたしが一番好きなのは「月琴姫」です。
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久し振りに読んだ。
なんだか博雅がピュアすぎてちょっと笑える。
ピュアなおっさんも可愛いけど。
(20091205購入・20091211読了)
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この二人、清明と博雅は絵になりますねぇ。
簀子の上に座って片膝をたてて柱に背をあずけながら、
酒を飲む清明。鬼からもらった笛、葉二を吹く博雅。
春夏秋冬、梅の季節も桜の季節も雨の日も雪の日も。
この二人が居るだけで一枚の絵のような不思議な光景。
今回、博雅君の笛がさらにパワーアップ。
「龍神祭」では、幾多の神々を笛で魅了してます。
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陰陽師、やっぱりなごみます。
博雅と清明のやりとりは何回よんでもほのぼのしてるなぁと。
博雅のいい人ぶりには言葉もないです(笑)
可能な限り書き続けてもらいたいシリーズです
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長く続くこのシリーズ、だんだんこのコンビのコンビ愛が同人誌っぽくなってきたのは気になるが、相変わらず読みやすい。
今回は一篇が短めなので、電車通勤にはぴったりでした
雅な気分になりますよ。
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雅博さんが「色々な」方にもてもてなお話が中心の短編。
この世のものでないものの色鮮やかさと切なさ、儚さ、美しい音色が耳に届いてくるような描写が印象的でした。
全体的に暗い印象が強いシリーズですが、「龍神祭」と「月琴姫」のゆったりとした不思議な話と「蚯蚓法師」の落ちのおちゃめさが新鮮でよかったです。その間にあるぞわっと来る冷たく切ない話もスパイスで良いです。
それにしても、清明も舌を巻く雅博のいい男っぷりに心がなごみっぱなしです。
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短編集ですが、ちょっと短めのハナシがたくさん入っているという印象です。あまりシリアスになりすぎない、軽いテイストで、でもいつもの雰囲気は顕在。相変わらずの晴明&博雅のやりとりになんだか和みます。それにしても博雅の笛はすごいんだろうなぁ。1度でいいから聞いてみたい。
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久しぶりの「陰陽師」
このシリーズついつい買ってしまいます。
「龍神祭」がとにかくよかったです。
獏先生、どんどんひらいていく感じですね!
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タイトルが面白そうだったので買ってみた。
最初読んでいるうちは面白さを感じなかったけれど9編のなかで
何個か面白いな~と思う作品もあった
その中でも少し切ない気分になったのが「魔鬼物小僧」
真念くんの純粋な思いを邪魔に思うのは許せないと思った。
終わらない巻物ってなにさ!!ずっと・・・ずっと・・・読み続けて、寺の者の不始末で焼き死んでしまうなんて本当に可哀想だと思う。
しかも僧侶たちはその真念くんが一生懸命お経を読んでいる間
酒を喰らい女と遊んでいるなんて僧侶としてあるまじき行為だ!!
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久しぶりに初期の頃のような短編集でした。しかも悲しい話せつない話はわずかでほとんどが心温まるほっとするようなよい話で読んでいて気持ちがよかったです。博雅好きにはたまらない一冊。とても面白かったです。
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博雅のもとを夜な夜な訪れる異国の美しい女性。語れども声は聞こえず、哀しい眼で見つめ、翌朝には、残り香とともに消えるその女が気になった博雅は、晴明に相談する。晴明は、帝より博雅が賜ったという、吉備真備が唐より持ち帰った音のならぬ琵琶に興味を惹かれる。果たして女性の正体は?「月琴姫」など全九篇を収録。
博雅好きにはたまらない作品。
安定したマンネリっていうのか。
「月琴姫」なんてもうとにかく素敵だった。
博雅、ホントいい男だ。