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投稿者:arayotto - この投稿者のレビュー一覧を見る
死を前にした人物に接触して、その人物が死を実行するに相応しいかどうかを調査する死神を主人公とした連作短編集「死神の精度」
1週間後に死を控えた人物として、
電機メーカーの苦情処理係の女性、ヤクザ、殺人犯、床屋の女主人などが登場しますが、なかでもラストの2編、
殺人犯と旅をする「旅路を死神」と、
床屋の女主人と1週間を過ごす「死神対老女」がお気に入りです。
「旅路を死神」は、
東京から青森まで殺人犯と車で移動するロード・ノベル。
その旅路で出会う人々との、ささやかなやりとりのひとつひとつが、けっこう心に染み入ってきます。
そのひとつ、仙台で出会った青年がこんな風なことを語っています。
「人間独自のつらいことのひとつに、裏切りや幻滅がある。でも奥入瀬渓流(旅路の目的地)は幻滅させない、安心させてくれる」と。
この幻滅、というキーワードが全編を貫いています。
期待していた、頼りにしていた人が、実際はそうでもなかったら幻滅してしまう。でも幻滅させないために装うこともある。その装いに気づかないために敵意を抱いてしまうこともある。
だったらどうすれば?
死神がそんな無駄多き人間の行為に対して、答えらしきものを放り投げています。
「そういう下らないすれ違いは、人間の得意とするところじゃないか」
まさにそのくり返しが、人生(川の流れ)なのかもしれません。
「死神対老女」もまた、じんわりと心を、眩しく照らしてくれる作品でした。
老女が1人でまかなっている海の見える散髪屋があります。それほど繁盛はしていません。
ある日、老女は死神に頼みます。
「明後日、10代後半の若者男女を4人くらい客として呼んできて」と。
その理由が、
泣けます。
死神などというキワモノが主人公なので、伊坂幸太郎ファン以外は食指が伸びないかもしれませんが、じっくりと、何度も嚼むように味わいたい短編集です。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
だけど、あの登場人物は、どうなったかな……という結果が、後のお話に出てきます。連作短編というかまとめて長編ですね。死神の千葉の設定が異質。対象の人の、一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断……
いさかこうたろうという響きが素敵
2022/03/15 16:25
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投稿者:creammochi - この投稿者のレビュー一覧を見る
で人気もあるようなのでオススメを色々検索した結果こちらをはじめての伊坂幸太郎ということで読みました。・・なぜか数ページで眠くなってしまう。つまらないとは感じないのに。むしろ面白いのに。恋愛で死神と死神対老女は眠気は起きなかったけど立ちながら寝そうになったことも。
表層をさらさらと流れていくストーリーは読みやすく死神の千葉さんには惹きつけられます。次の浮力も購入済み。作者(作風?)か私(眠気)の変化があるのか楽しみ。
設定が面白い短編集
2021/04/26 22:33
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投稿者:たま - この投稿者のレビュー一覧を見る
死神は死ぬ定めの者を一週間調査し、その可否を決定する。
主人公の死神「千葉」は真面目で硬いキャラクターだが冗談や比喩が理解できない・ミュージックが好き・人間を突き放しているようで彼等の想いを覚えている、という事でどことなくユーモラスで愛着が持てる死神。
彼の担当した6人それぞれの話が連なる短編。
ヤクザ抗争から閉ざされた雪山ロッジでの連続殺人、はたまた恋愛から逃避行まで様々なパターンの話があって飽きない。面白かった。
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伊坂幸太郎作品はどれも好きですが、特にお気に入りなのがこの小説。素敵な言葉が沢山詰まってます。
「人間というのは、眩しい時と笑う時に、似た表情になるんだな」
「人間が作ったもので一番素晴らしいのはミュージックで、もっとも醜いのは、渋滞だ 」
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主人公は死神。
初期の伊坂作品に多く出て来るミュージックをこよなく愛す人(?)たちです。
やはり有り得ない設定なのに、登場人物のリアルさとコミカルさが伊坂先生らしいと思いますね。
一つ一つの台詞もぐっときました><
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ていうか最初から「死神」が主人公であることになんの不自然さもカンジさせないところがすごい(笑
最後の終わり方が好き。
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ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に…
様々なスタイルで語られる、死神の見た6つの人間模様。
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伊坂幸太郎の『死神の精度』を読んだ。
死神が主人公の6つの短編が収められてる。
音楽を愛し真面目だが天然でとぼけたキャラクターの死神がいい味を出している。
死神は人間の死には興味なく、関わる人々との関係はクールでミステリアスだ。
だけど、その中にいろんな人生のドラマが織り込まれていておかしくもあり悲しくもある物語。
全て千葉という名前の死神が主役の短編集だけど、恋愛やミステリー、ドラマなど様々なストーリーで構成されている。
それぞれの話も短くキレよくまとめられていて楽しく読めた。
短編集は読みやすくて好きだ。
星新一を読みたくなった・・・
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う〜、寒い寒い。外は良く晴れているので、こんな日は散歩にでも出て陽にあたった方が余程暖かいのだけどね。そんな部屋の中で、買ったばかりのこの本、昨日の競馬の行き帰りで読み切れなかったところも読了。
今回の伊坂幸太郎の主人公は「死神」。7日後に不慮の死が予定されている人間を観察し、その死が“可”か“見送り”かを判定するのが彼の仕事。あくまで淡々と真面目に自分に仕事をこなす。そんな彼が仕事をするときはいつも雨降り。
6つの異なったお話で構成されていて、それぞれ判定すべき人に従い物語はやくざ映画になり推理小説になり恋愛小説になりロードムービーになる。
感情を持たない死神から見た人間に対する警句もちりばめられ、いつもの小気味いい文体で、ちょっとした謎解きも入って飽きさせない。
私は「恋愛で死神」が一番好きでした。とは言え、この本、最後のお話まで行き着いてこそ伊坂幸太郎であって、でなきゃ普通の面白いお話ですよね。
6つのお話を通して流れる長い年月がただ生きることの大事さを奏でる。死神が初めて見た突き抜けるような青い空の下『こんなに晴れてて、犬があそこにいてさ。子供も楽しそうだし、これだけで、これだけで充分、ラッキーだね』老女は両手を伸ばす。私も今から散歩に行くことにするよ。
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文庫になるのを待ち侘びてようやく購入。期待通り面白かったー。やっと伊坂さんの文章に慣れてきた感じ。死神対老女が一番好きです。ぐっとくるセリフがあって。短編同士がちょこっとずつリンクしていたのも楽しめました。映画も楽しみだなー。
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久々の伊坂さん新作。
死神は死ぬ一週間前に候補者のもとに現れて何も知らせずにそばで調査をし、「可」か「見送り」かを報告。「可」とした候補者は翌日死ぬ。
死神の世界が独特で、死神は皆ミュージック(この言い方もツボ)を好み、一晩中CD屋で視聴し続けるという設定。映画化が楽しみです。
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死神はミュージックが好き
死神は人間の死には興味がない
無作為に選ばれた対象者を死神は7日間観察し
「可」
「見送り」
を決める
「可」ならばその人間は事件や事故で死ぬ
8日目に。
晴天を見たことのない死神が出会った
6人の対象者のお話
物語のループやつながりが伊坂幸太郎らしいなぁ
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文庫化ずっと待ってました。伊坂幸太郎大好きです!
期待以上に面白かったです。やっぱり構成がすごいですね。千葉のキャラクターもすごく好き。読み終わったあとすぐにまた読み返してしまいますね。
吹雪の話がシニカルで好きです。恋愛は悲しかった…。そしてきれいなラスト。全編通してやっぱりいいなあ。なんでこんな話が作れるんだろう。
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悲しくなるほど肉付きの良い、自らの膝を何度ぺちーん!と打ったことか。伊坂幸太郎、この作家の本を読むたびに、品のある文章の中、その種やトリックなどが解き明かされるたびに、私は膝をぺちーん!と打っている。ああひりひりする。そんな中でもこの本は、だんとつで膝を連打してしまうほどのどんでん返しが待っていた。死神が通り過ぎた中のひとつ、寂しい恋のその後である。幸せでなかったかもしれない彼女の、それでも軽やかな、粋な様子に安堵した。きれいごとは言わないし、奇跡も起きないけれど、淡々とした死神の立ち位置は妙に愛しい。あと付け加えたいところに、伊坂作品の中を交差する登場人物の存在がある。特別名前を書かずに読者の想像に委ねられると、気付いたものは思わずにやりとしてしまうのだが、今回の彼との再会には思わずときめいてしまった。たとえ本の中の人物であっても、女子は男前に弱いのだ。