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小粒ながら秀作揃い、清涼感ある作風も相変わらず。
久方ぶりに時代ものを読みましたが、こういう良作に出会うと嬉しいものです。
基本的には毒はない作家なので重量感を求める読者にはもう一つという感想もよく分かるが、一方、現在藤沢ブームなるものがあるらしいという世の流れもよく分かる。
当方の感想としてはたまに一服したい時にはもってこいの作家といったところかな。
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主に'80年代に書かれた短篇を8つ収録。中では表題作(表紙の絵もこれ)が断然秀逸。藤沢周平の数ある短篇の中でも特に優れ、印象に残るものの1つだろう。芥川の「地獄変」のように、語りにおいて老人の回想形式をとったことも成功しているし、なによりも主人公の武家娘の以登が魅力に溢れている。武芸に秀でているのも痛快だし、彼女の「忍ぶ恋」もまた、けなげで哀切感を誘いつつも、見事なまでに自己完結しているのである。「雪間草」の松仙もそうだが、この集では封建社会の中にありながらも、女性の主人公の自立性を見事に描き出した。
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時代ものは初めて読んだので、あまりよくわからない単語もあった。「生まれは裏店だった。」と言われても、情報を汲み取れず…読みづらいとか退屈だとかいう程では決してなかったけれど。
とくに、いちばん最初に収録されているのが、元大泥棒が主人公なんだけど、当時の罪の意識とか刑罰を知らないので、ちょっと私には惜しかったかもしれない。
逆に、3、4番目くらいの飲み屋のねーちゃんが姑と折り合いがわるくて婚家を飛び出して…って話はわかりやすかった。
でも、わからないなりに面白かったし、心の機微が時に暖かかく時に切なく、愛おしい。
語り口も、冷静に淡々とそのまま切り取ろうとしているような文体で、短編集だし、読みやすかった。
余談だけど、解説がネタバレ全開なのだけどとても良くて、読んでいて「そうそう! それが良いんだよね」と思えるもので、読後感が反芻できた。
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短編集。いずれの話の主人公にもどこかしら一本、筋がとおっており、読後にぬくもりやさわやかさをおぼえる。
特に「雪間草」と「冬の日」がよかった。
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映画をみてこの本を読みました。武家娘としてのまっすぐな志しを持ち剣に励む以登と誠実だが少し不器用な江口孫四郎の切なく淡い恋の物語。
孫四郎の死はとても悲しく思わず涙がでました。
以登と孫四郎がけして結ばれることは出来なかったけど、いつまでもふたりの心の中に思い出として残ると思いました。とても素敵なお話でした。
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亡くなる十五年前の円熟した頃の短編集である。東京都の大泉学園町でのささやかだが幸せな生活を反映するように、悲劇で終わる話が一つもない。
2010年3月読了
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蝉しぐれの後にこの作品を読んだ。
感想は、短編集ではなくどの作品も長編で読みたかったと思った。
うっかりしていたが、花のあとという長編だと思っていたので、最後に話がつながるのかと途中まで思っていたので拍子抜けしてしまった。
しかし、蝉しぐれでも感じていたが、作者の風景描写やこの時代の描き方はとても好きだなと思った。
次はまた長編を読んでみよう。
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人の心と自然描写が凄い。肩肘張らず欲も無く、人としての有り様を通す生き様が爽やか。言葉の芸術(決して奇をてらわない)、ここに極まれり。この間いろいろ読んできたが、読み物というものの新しい境地が見つかった気持ちがする。藤沢周平恐るべし。
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藤沢周平記念館を前後して読む。たまたま。
花のあと、映画を観てみたいと思う。
白眉は「旅の誘い」かな。
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盗っ人家業から足を洗った吉兵衛が仇うちに至るまでを繊細に描く『鬼ごっこ』。一度は捨てたはずの姑と旦那に後ろ髪をひかれるおせんが愛らしい『寒い灯』。どれも見事な短編集だ。一番のお気に入りは『悪癖』。おもしょい、おもしょい。
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2020/9/11 読了
町人ものが4編、武家ものが3編、芸術家小説が1編。映画化された「花のあと」が心に残る。原作では醜女とされる主人公のお以登役が北川景子とは??
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美しい描写、ふうっと江戸のころに引き込まれていく心温まる短編集。やはり藤沢周平すばらしい。
どれもみんなよいが、特に表題作「花のあと」あるいは「雪間草」のように、叶わぬ恋を温めてきた女丈夫が思い人の仇を取る、という話がやはり一番カタルシスだな。
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北川景子ちゃん主演で映画になった表題作を含めた8作品が収録された短編集。
最後がブチっと切れたようなお話もいくつかあったけれど、全体的に読みやすく、風景描写などに作者の力量を感じました。
江戸時代、それなりの武家の娘さんたちは親の決めた許嫁と結婚するのが普通だったからか、けっこうサッパリとした人が多いように見えました。
男女7歳にして席を同じうせずなので、出逢いも少ないだろうし、冒険しないタイプならば、それはそれで納得できるんだろうか…。
自由恋愛の現代では、逆にいろいろ目移りしちゃうし、タイミングの掴み方も難しいし、自分の選択は自己責任なので結婚後の相手のアラにも厳しくなるし、離婚も昔ほど難しくはないし…。
お見合いはマイナスもあるだろうけれど、それはそれで良い面もあったのかもしれないな…なんて思いながら、読んでいました(笑)
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以登の孫四郎へのほのかな、それでいて激しい想いとそれを知りながら受け止める許嫁の才助の優しさが心に突きささります。映画の話になりますが、映像美と役者の立ち振る舞い、特に北川景子が素晴らしい。北川景子はこの映画に出演するにあたり、剣の立会い方、正座、姿勢、障子の開け閉め、日本古来の礼儀作法を本気で学んだそうです。物語は本当に切なさ溢れるそれでいて爽やかな物語の終わりを見る、大好きな藤沢周平節満載です。
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花の後
8つの短編。
表題作「花の後」は語り手以登の若き日の恋心、夫への想い。
なんとも平易な、読み手の心に染み入る文章には惚れ惚れとする。