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紙の本
人は城
2002/07/20 03:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日経ビジネスに連載されていた『映像メディアの世紀』の文庫判である。
話は約30年前に遡る。家電メーカーの中でもじり貧であった日本ビクターがVHSビデオを開発し、それを世界標準まで持っていった当時のビデオ事業部長、高野鎭雄氏の奮戦記である。
先般、映画化もされ、NHKのプロジェクトXでも取り上げられたので話の大筋を知っている方は多いだろう。
こういう家電製品の開発には技術者の話が付き物である。しかしVHSビデオに関してだけは異なる。放送局に軒並み採用されているビデオがソニーの開発したベータ規格であることから、性能としてはVHSよりもベータの方が優れているのである。
ではなぜVHSが家庭用ビデオとして世界標準と成りえたのか。それはひとえに高野鎮雄という人物が日本ビクターのビデオ事業部長だったからである。高野鎮雄という人物が日本ビクターに居なければVHSという規格は決して世界標準とは成りえなかっただろう。営業力が技術力を上回った典型的な例だと思う。
高野鎮雄というビジネスマンはVHSを世界標準とするために何をやったのか。本書をじっくりと読んでいただきたい。
企業はやはり人が命なのである。いくら優秀な技術力を持っていても高野鎮雄のようなビジネスマンがいないと世の中に普及しないのだから。
紙の本
2002/06/24
2002/06/25 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経ビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
先頃封切りされた同名の映画の原作である。日本ビクターが開発したVHSが世界標準のビデオになるまでを綿密な取材によって丹念に描いたノンフィクションである。
今さら20年以上も前のビデオ開発の話かと思う人が多いかもしれない。しかし、この本を読み進めていくと、目から鱗が落ちる思いを何度もさせられるから不思議だ。技術も経営資源も乏しいビクターにあって、お荷物となっていたビデオ事業を任された高野鎭雄氏は、持ち前の情熱と1人として解雇させないという強い意志で部下をまとめ、VHSの開発を成功させる。また、他社との苦しい交渉を粘り強くまとめ、世界標準規格に持っていく。
日本が活力を失った今こそ、渇望されるリーダーの姿がそこにある。
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