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投稿者:asahi - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピアニストの中村紘子さんが世界中の有名ピアニストについて書いたエッセイ。“天才”は、やはり変わり者が多いようでエピソードはどれも奇妙でおかしいものばかり。ホロビッツが言ったと言う”ピアニストにはユダヤ人とホモとへたくそしかいない”という言葉も言い得て妙。ホロビッツのピアニストの定義に当てはまらない中村紘子さんの見聞の広さや文才にも驚かされます。
この本を読んで彼らの演奏を聞くと、また違った聞き方が出来るかも。
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このころの私の知っている中村紘子さんは、カレーのCMに出ている人、というものだったので、ショパンコンクールの審査員をしているなんて半信半疑でした。
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日本初の女性ピアニスト久野久の苛烈な運命。ポーランドの英雄となったピアニスト。ある元ピアニストの物語。とにかくピアニストという呼称を得た人々を、共感しながらもどこか冷静に描いている。
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すごくすごく面白い! ピアノ好きな方は必読。冒頭のホロヴィッツの話がいきなり面白くて、文章のうまさにも圧倒された。続いて日本最初のピアニスト、幸田延さんの話も強烈で引き込まれる。彼女は幸田露伴の妹。初の純国産ピアニスト久野久の悲劇は胸に迫るものがあった。ピアニストという蛮族がいる。うん、実に納得。ユーモアがあってしっかりとしたちょっと硬質な文章も素晴らしい。超一級の読み物です。
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コンチェルトを演奏しない理由として、「オーケストラは邪魔だから」(ホロヴィッツ)と言ったという”蛮族”になんとなく親しみを覚えます。1日に何時間も練習に費やし、しかも演奏家としての寿命も長いので社会から断絶してしまい常識外れで頓珍漢な人が多いという話も、本家がそう言うのだからそうなのかな〜と思うし。24歳で本格的にツェルニーから習い始めたというパデレフスキーに特徴的なように、人間大抵のことは努力すれば出来るんですね。1日に17時間も弾けばそりゃ上手くなるよ(笑)そんなに練習できてしまうというのがそもそも”蛮族”の素質なのかもしれないなぁ。
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-社会がどう変わろうと、誰がなんと言おうと、私たちピアニストという蛮族はラクダのように悠々と進んでいく。人生という貴重な限られた時間のなかで、ときに時代錯誤と見えるほど莫大な時間を浪費していると思われようとも、私たちピアニストという蛮族はラクダのように悠々と進んでいく-
日本における西欧音楽創生期、幸田延(幸田露伴とは兄妹)、久野久といった女性の人生を、天才少女と謳われショパンコンクールで日本人初の上位入賞を果たしたピアニスト中村紘子ならではの視点で語っていく。そのほか、ラフマニノフ、ホロヴィッツなどの巨匠たちの「いっちゃっている」様子の短編もあり、面白い。クラッシック関連のスノッブな場での会話の予備知識としてもっていてもよいし、普段の無駄話で、話したら面白いなーというエピソードも満載だし、誰にでも楽しめる一冊。東北地方の小さな町で演奏した際、拍手が少ないのに怒り、舞台から静かな客席に向かって一言「ブタに真珠よ」と言ってしまったという日本のピアニストの話は笑った。
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多くのピアニスト達のエピソードを、
素晴らしい文章で楽しく読ませてくれるエッセー。
ホロビッツ、ラスマニノフ等の、
巨匠達のエピソードも、
興味深く読んだが、
幸田延(幸田露伴の妹)、久野久の師弟の件は、
ぐっと胸にくるものがある。
明治時代に、しかも女性で、
未知の西洋音楽、ピアノという名の楽器。
先達に感謝したい。
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ホロヴィッツやミケランジェリといったピアニストの逸話から、日本最初のピアニストといわれる久野久の逸話まで。面白かったです。
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【読了】中村紘子「ピアニストという蛮族がいる」 9月1冊目
ピアニスト中村紘子による、古今東西のピアニストについて書かれたエッセイ。中村紘子といえばピアニストという情報は我がデータベースに入ってはいるのだけれども、本当にインデックス的な情報しか持っていなくて、実際に作品に最初に触れたのが文章というのも、何か不思議な感じがする。
しかしこの中村さん、なかなかに文章が良い感じである。やはりなんらかしらの表現に惹いてでいる人は、ジャンルが違っても表現力は活かされるものなのかと、ちょっと感心してしまった(自分の世代だとカレーのCMというイメージが強いのです)。
さて、登場するピアニストはホロヴィッツに始まって、ラフマニノフ、アイリーン・ジョイス、ミケランジェリなど。日本人も幸田延(幸田露伴の妹)、久野久などかなりのページを割いているし、ピアニストからポーランド首相になったパデレフスキーの話も面白い。
それぞれのピアニストの生き様、まさに蛮族としての振る舞いも面白いし、歴史的な流れも楽しめるし、人と人とのつながりも楽しめたりと、なかなかに発見の多い書という印象である。音楽好きならば手に取ってみてはいかが?
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(2003.01.24読了)(2003.01.16購入)
「チャイコフスキー・コンクール」も面白かったのですが、「ピアニストという蛮族がいる」は、もっと面白かったです.
日本のピアニストのさきがけとして、幸田露伴の女姉妹がいる、とかいろんなピアニストの話が載っていました.
ピアノに魅せられた人々は、なかなか興味深いものでした.
☆関連図書(既読)
「チャイコフスキーコンクール」中村紘子著、中央公論社、1988.11.07
「どこか古典派」中村紘子著、中央公論新社、1999.10.17
(2003年2月20日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
西欧ピアニズム輸入に苦闘した幸田延と弟子の久野久。師は失意の晩年を送り、弟子は念願の渡欧中に自殺をとげた。先人ふたりの悲劇を描いた6篇と、ホロヴィッツ、ラフマニノフほかピアノ界の巨匠たちの、全てが極端でどこか可笑しく、しかも感動的な“天才ぶり”を軽妙に綴った8篇。『文芸春秋読者賞』受賞の傑作。
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20140725蔵書
20140817読了
「チャイコフスキー・コンクール」に引き続き、ピアニスト中村紘子さんのエッセイ2冊目。文章力!ぐいぐい読ませるのがすごい。●日本初の「国産」女性ピアニスト、久野久(くの ひさ)の悲劇。日本に西洋音楽が伝わった初期の、やるせないエピソードだと思った。
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中村紘子さんが亡くなられたのがきっかけで、本書を手に取った。中村さん自身の蛮族としての自伝と思ったが、過去の著名なピアニストたちの蛮族としての生涯を紹介したものだった。ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ラフマニノフ等々。文章は簡明簡潔。知らないことばかりで面白いが、途中で少し飽きてきて中断(69ページ)。
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2016年に亡くなった著者の「変わり者」「数奇な運命」「天は二物を与えた」ピアニストたちの魅力的な群像に迫る好エッセイ。
まず、ピアノは基本的に男性が弾くことを前提に発展してきた楽器という歴史をもちながら、今なお世界で行われているピアノコンテストは他のスポーツ競技のような男女別ではないという指摘(P285)は目から鱗でした。(もちろん、後段で、女性にしか弾けない繊細さもある点にも言及しています)
そして、明治初期に日本人ピアニストの歴史をリードしたのが、男性ではなく女性だったことは、楽器演奏なんて女の道楽だという時代背景と無関係ではなさそうです。
未だ男尊女卑という風潮が強く残っていた当時に、女性がピアノを教えて高給を取る(音楽学校の教授として)こと自体が嫉妬と羨望の眼差しで、決して暖かく迎え入れられたわけではなかったのでしょう。
さらに、やっと西洋の文明開化の音がし始めたころですので、洋楽器であるピアノが本来どんな弾き方をしてどんな音色を出すのかという最高のお手本がないまま、ほとんど独学(海外からピアノの先生を招きましたが二流でした)と激しい練習のみで物にせざるを得ません。
特に、初めてヨーロッパにわたって自身の努力が報われなかったと悟り、投身自殺した久野久は、15歳でピアノをはじめるという晩学を血のにじむ努力だけで補ってきただけに、その努力がまるで意味がなかったことを認めることは自分の人生を全否定された心境だったのでしょう。
そして、天が二物を与えたアイリーン・ジョイス(美貌で女優になった)、パデレフスキー(カリスマ性でポーランド首相になった)の話も面白かった。
性豪でもあったバッハ、ホロビッツやラフマニノフの奇行、天才児としてデビューしながら消えていった人たちなどの様々なエピソードを交えて、飽きさせません。
お買い得の1冊です。