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海外に来てから、日本語の本が入手しにくくなったので、めっきり本を読まなくなった。こうなるとたまに本を手にれても読む速度も落ちるし、読むきっかけが作れない。この本も昔ならさくっと読めたのだが、今はけっこう大変だった。
しかしそんな私の事情はともかく、本としては読みやすいしいい本だった。ぐっとくる本だ。西園寺実兼の言動が現代人すぎる気がするが、それはこれぐらいでいいのだと思う。
若い頃の話(もとのとはずがたりでいう愛欲編)は、「こんなことしているから武家に放逐されるんだ」「働けよ」と思うが、後半、年を取ってきてからの話のほうがいいな。後深草院の臨終の「お上、二条です」のところや、彼の野辺送りに二条が着いてこられないシーンは、涙が滲んだ。泣いたというのとは違うか。西園寺実兼の述懐と合わせて、ため息をつく感じ。
さすがは杉本苑子でうまいこと書くなと思っていたら、野辺送りのシーンは原本にあると聞いて驚いた。原文を読む自身は・・・ない。でも現代語訳を公開している人がいた。すごいな。いつか読んでみたいものだ。