紙の本
20世紀の東京(の地下鉄沿線)を舞台に描かれる、大人向けのおとぎ話
2005/10/02 14:47
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぷらなりあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
親兄弟との複雑な事情を抱える主人公の中年サラリーマンが、20世紀末の東京から過去の時代へとタイムスリップしていく中で様々なことを知り、また体験していく。
物語の中における現実は現在・過去を問わず過酷で、やりきれないものとして描かれている。そんな中で、貧しくも気高く、たくましく、そして愛する者への限りない愛情を持って生きる人々の姿が叙情的に綴られており、感動と爽やかな読後感を読み手にもたらしてくれる。
主人公の時間旅行とともに戦前、戦中、戦後の東京の街並みが活き活きと描写され、その中でも地下鉄とその駅周辺の風景が一際鮮やかに、象徴的に表現されている。登場人物の心象と巧みに繋ぎ合わせて語られるので、東京で地下鉄に乗っている人にとって、さらに昔の東京を知っている人にとっては非常に印象的なものであろうと思う。一方で私のように知らない人間にとっては正直まどろっこしく感じられた面もあるが、それでも地下鉄に乗った経験はあったので充分楽しめた。
尚、あくまでおとぎ話なので、タイムスリップは物語を進行させるための小道具と完全に割り切られている。
また不満を感じた点としては、主人公がストーリーテラーに徹し過ぎていて、どんな考え方の人物なのか、周囲で起こる様々な出来事に対し何を思い、どのように心情が移り変わっていったのかが分からず話に入り込み難いことが読み終えるまでに何度かあった。単に私の読み込み不足なのかもしれないが。
人間の情愛の尊さ、力強さを高らかに謳い上げた物語。ややもすると鼻白むようなテーマなのだが、盛り上げ方の巧さと、そして何より著者の人間に対する絶対的な信頼により素直に感動できる作品となっているように思う。
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しっくりこなかった
2018/11/17 20:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田次郎らしく泣かせどころ、ツボを押さえた作品であるが、コミカルなところがなく読んでゆくと重い気分になってしまった。戻ってこない過去を後悔せず明日を生きていきたい気分になった。
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たまに、浅田次郎モノが読みたくなる瞬間がある。
鮮やかな語り口と、すぱっとした切れ味にふれて
安心したい時が。
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これはですな、あたくしお気に入りです。
冴えない主人公が現在と過去を行ったりきたりするです。ちょっこしファンタジー。
ご家族のどの方にもそれぞれの心情があって、ホロリとするですよ。
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吉川英治文学賞の新人賞受賞作というので、読んでみたが、
こういうのは苦手だ。
2004/10/3
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現在と過去を往来する主人公と彼女。
不思議な体験が何の力によって起こったのか、しばらく考えてました。
主人公は周囲の人たちのことを過去に遡り真実を知り、そして見つめ直すのたが、一方彼女は過去の世界で主人公よりももっと重大なことに気づき、そして自ら過去に遡って対処しようとする。
なんだかせつなかった。
鉄の仮面をつけて生きてきた人の仮面の中の素顔、過去へ遡るという信じられない体験をただただ信じ、気遣う主人公の周りの人々。
登場人物は言えない真実を背負い生きている人が多かったと思う。
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地下鉄の階段をあがると、そこは30年前の風景だった。
信次が地下鉄の階段をのぼると
そこには30年前の見覚えのある景色が広がっていた。
そして目の前に現れたのは、
その日父に反発し家を飛び出し、自殺をするはずの兄だった。
兄の自殺以来、絶縁の父。
長年不倫関係にある会社の同僚みち子。
過去に隠された沢山の真実が
タイムスリップによりすべてあばかれ、それによって起こる出来事は とてもとてもせつない。
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SFっぽい要素も含まれてる著書。気持ち次第で人生が変化していく事を教えてくれる作品。とっても幻想的でそれでいて現実的、ものすごく感動した浅田次郎作品!
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昔の空気のにおいが立ち込めてきそうな、なつかしの東京を描きます。ノスタルジック、浅田次郎の語りがぴか一。メトロに乗っているときにふとこの本を思い返します。
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中国のケミカル事故流出でアムールを思い出しました。 面白いSFでした 神田や銀座 中野坂上 新橋 風景描写が凄いです
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過去にタイムスリップしてしまった男は、若き日の父親に出会う。
昔の東京の描写はノスタルジックを誘います。せつない話だけれど、とてもよい作品です。
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普段何気なく乗っている地下鉄。。
その地下鉄という空間が異空間への誘いになる。。
不思議感覚の本。
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映画化されるということで購入。切なかった・・。自分がリアルに知らない世界なだけに新鮮な感じがしました。映画化楽しみです。
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すごく感動して、久々に号泣してしまった。
本当に大切なことは目には見えない
大人になったら増々目に見えないものが増えて行く
そう思ってたけど、大人になってから見えるようになることもたくさんあるんだということに気づかされた。
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全体的にセピア色の情景が浮かぶ。
現在、過去、未来が交差する、不思議な物語。最後はハッとさせられたな〜。
浅田次郎って「鉄道員(ぽっぽや)」とか書いてる有名な作家さんだということを後に知ることになったのでした。