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雪明かり みんなのレビュー

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みんなのレビュー23件

みんなの評価4.3

評価内訳

23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

人を思う気持ちが物語になる。さまざまな思いによって創り出された8編の物語

2010/02/27 20:03

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

初めて読んだ藤沢作品および時代小説。
これまで時代小説には、枯れて萎えた印象と、現代では過去の遺物感が漂う義理人情という世界を描いている、といった印象を持っていて、食わず嫌いをしていた。
しかし、この作品を読んで偏見に満ちた印象は180度変わった。

そこに描かれていたのは、人情という言葉から受ける『人を思いやる気持ち』といった単純なものではなく、人の生きる世に溢れる喜びや悲しみ、幸福や苦悩など繊細な心の移り動きと、生き生きとした人々の姿だった。

この作品を読んで、これまで読んだことのないほどの、人の思いを緻密に描いた世界に囚われ、自分でも気づかなかった読書欲の穴に、一分の隙もなくピタリと填った感触がした。

『恐喝』
賭場の胴元が目をつけている結城屋の若旦那を、仲間の鍬蔵とともに借金返済の催促で脅す竹二郎。
借金で首が回らなくなった若旦那が借金の形に連れてきた女は、足を痛めた竹二郎に肩を貸し、手当をしてくれた女だった。

闇に覆われる竹二郎の胸に浮かび上がる、幼い頃自分を庇ってくれた従姉おたかの姿が、哀惜とともに暖かく迫ってくる。
「又蔵の火」にも収録。

『入墨』
お島の店の前に一人のみすぼらしい格好の年寄りが立っている。
お島を売り飛ばし、女と行方を眩ました父親だったが、妹おりつは、物心つく前にいなくなった父親の姿を見て、哀れだと思った。
姉の反対を押し切り、おりつが父親に酒を飲ませるようになってからしばらくすると、島送りから帰ってきた姉の昔の男がやってきた。

父親を憎む姉と不憫に思いいたわる妹。二人の対照的な眼差しが一人の父親の姿を創り出している。
そして島帰りの男によって、真の父親の姿が描き出されている。

『潮田伝五郎置文』
潮田伝五郎は、申し込んだ伊沢勝弥との果し合いに決着がつくと、自らの腹に小刀を突き刺した。
河原に二個の骸が残り、母の元に伝五郎の置文が残っていた。

二人の果し合いと結末で始まる物語は、伝五郎の置文で、それまでの経緯が語られていく。
伝五郎が心を囚われ女神のように崇拝した女性と、夫を持ちながら別の男と逢う多情な女の対照が、伝五郎の純真な心と無情な現実を描き出している。

『穴熊』
夜逃げしたお弓の行方を今でも捜している浅次郎。
女を売っている場所で、お弓に似た女性と会うが別人で、武家の者だと感じた女をなぜか浅次郎は気になっている。
賭場で嵌められ損をしてしまった浅次郎は、仕返しのため、偶然出会った浪人を誘い、賭場のいかさまを暴いて大金をせしめようと計画を立てた。

男なら気持ちは分からなくもないクライマックスが切ない。
浅次郎の気持ちの変化も切ないものがある。
「暁のひかり」にも収録。

『冤罪』
堀源次郎は、散歩のたびに庭で畑仕事をしている娘を見るのを楽しみにしている。
しかし、娘に期待してやってきたが、この日は姿が見えず、戸という戸は材木で釘付けにされていた。
父娘に何かがあったのだと感じた源次郎の耳に、藩金横領で腹を切ったという話が入った。

源次郎が娘に恋心を抱くほのぼのとした様子から一転、相良という娘の父の実直な姿から、事件に疑問を持ち、真相解明に動くというサスペンス作品になっている。
再び、娘を思う終章は、ユーモアと穏やかさに満ち、明るい日の光に包まれている光景を想像させる。
『この可憐でおびえやすい兎のような娘を驚かせてはならなかった』という一文が、今にも逃げ出しそうな娘の姿を生き生きと想像させ、とても印象に残った。

『暁のひかり』
壺振りの市蔵が、まともな仕事で暮らすことができると思うのは、空気が澄んで冷たい暁のひかりが町を染め始める頃だけだった。
しかし病と闘っていた一人の娘と出会ったことで、その思いは膨らんでいく。

町を染める暁のひかりと、市蔵の中に生まれた気持ち(光)とが照応し、お加代と出会った市蔵の心の高まりとともに、その光が徐々に大きくなっていく情景が印象的。
「暁のひかり」にも収録。

『遠方より来る』
三崎甚平の家に、戦で敵の首を獲ったおり、証拠の見届け書き付けを書いてくれた男曾我平九郎が訪ねてきた。
しかしそれは奉公の役に立たなかったため何の義理もない男だったが、言い出せず、平九郎は図々しくも居候を始めた。

昔の義理を頼って突然やって来て居候する男と、居候されたの家族の様子を描いたユーモア溢れる作品。
突然やってきたそれほど親しくもない男に、図々しく居候されて戸惑い、小さな諍いを始める家族の様子が面白い。
「竹光始末」にも収録。

『雪明かり』
嫁ぎ先での辛い仕打ちに耐える妹。高禄の家に婿入りが決まり、禄の低い実家との交流を絶たれる兄。
血のつながらない妹の不遇が、兄を縛り付ける鎖から解放し、一緒に育った女の元へと跳ばせた。

妹の元へ跳ぼうとする兄の逡巡を描いた心の緻密な動きはすばらしく、また嫁ぎ先の仕打ちの果てに病となった妹を救い出す兄と、ぼろぼろになった自分の姿を恥ずかしいと言う妹の気持ちが、とても印象に残った。
「時雨のあと」にも収録。

本書の解説が気に入った。
とても丁寧に解説している印象があり、「自分はこう思うんだ」「自分はこう言いたいんだ」という自己主張は感じられず、客観的に解説しつつもこの人は藤沢作品が好きなんだなと思わせる何かが感じられる。

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雪明り、他

2015/10/14 20:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ビル - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんとも言えない、時代の物語を読んだ気がします。いずれの話も良かったです。

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2010/09/30 01:01

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2011/07/07 00:06

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2012/04/13 22:52

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2011/05/15 11:35

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2013/01/29 22:30

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2013/08/28 10:31

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2013/11/23 12:26

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2014/03/02 21:39

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2014/05/13 15:01

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2016/01/19 16:11

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2016/04/14 19:05

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2016/07/16 09:44

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2009/01/14 00:00

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