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年刊日本SF傑作選第3集である。前2冊と同様に、大森望・日下三蔵両氏により2009年の優秀作品を集めたもの。2009年という年も残念なことにグイン・サーガでおなじみの栗本薫氏や、前2冊でトリをとった伊藤計劃氏が癌のため他界されている。
今回は初めて創元SF短編賞というのが設けられたということで、大賞作品が収録されていた。松崎有理氏の「あがり」、選考のお二方は巻末で結構辛口のコメントをされていたようだが、個人的には非常に面白い作品だと感じた。
前書きにもある様に、今回は女性作家の作品が多く、やはりちょっと違った雰囲気の作品が多数ある様に思った。漫画が二作品というのも結構いい(個人的に)。
最も印象に残ったのは綾辻行人氏の「心の闇」だろうか。最後のオチに非常にハマってしまった。
今回も全体的に非常に面白い作品群だった。ただ、「なんじゃこりゃ?」と思う物もあってイマイチ感が前2冊よりはあったのかもしれない。読み進むうちに慣れも出て来たのだろう。次の選集も出ているので読むのが楽しみである。
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一冊読み始めてから読了までかなり時間があいてしまった。
「あがり」が読みたくて購入。
若干説明が過ぎる。
遺伝子増幅によって世界を終わらせてしまうってアイディアは、クラークの六十億の神の御名と同種
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随分前に市川春子「日下兄妹」だけ読んで放置してました。
「バナナ剝きには最適の日々」初めて円城さんがまともに読めました。これは好きだ。あと、田中哲弥「夜なのに」一部嫌いなモチーフもありましたが、全体に明るくてよかった。
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粒ぞろいのSF短編集。
忙しい日常の隙間を縫ってお手軽に楽しめるSFと云う、
なんとも贅沢な一冊でした。
お気に入りは上田早夕里さんの「夢見る葦笛」、
小池昌代さんの「箱」、田中哲弥さんの「夜なのに」。
初読の市川春子さんの漫画「日下兄妹」は泣きました…
これはコミックスもチェックしなければ。
円城塔さんはいつも苦手なんですが、
「バナナ剥きには最適の日々」は楽しく頂けました(笑)
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毎回これのどこがSFだと書くのも面倒なので各話ごとSF度もメモして自身のSF感を照らしてみる
上田早夕里『夢見る葦笛』
身体改造なホラー話 既視感 この作者引き出し少ないのか
SF度ふいんき小 ★*3
高野史緒『ひな菊』
スターリン政下の獲得形質に対するその場しのぎな遺伝形態 音楽との組み合わせ効果が良く伝わらず やや長い
SF度理屈やや高 ★*3
森奈津子『ナルキッソスたち』
いつもの性欲な話 文章がかるいから荒れの段階にあるような
SF度設定ごく小 ★*2
皆川博子『夕陽が沈む』
生きたがりを飼う人達の生態 ショートショートは面白がり方が難しい
SF度ふいんき高 ★*4
小池昌代『箱』
名文と化す箱に収められた物語 ごく短い中にそれぞれの物語が魅力的に納められていて見事
SF度無 ★*5
最果タヒ『スパークした』
読めない
市川春子『日下兄妹』
しごくまっとうに良く出来た話
出来すぎなところを卑怯と感じるかで好みが分かれるかも
SF度まっとう高 ★*5
田中哲弥『夜なのに』
青春小説てきな文芸 ああ男
SF度無 ★*4
北野勇作『はじめての駅で 観覧車』
ショートショートは良くわからないその2
SF度理屈高 ★*4
綾辻行人『心の闇』
医療コメディ という感想がものすごくまとはずれな気がするか分類でなく感想だから仕方ない
SF度無 ★*4
三崎亜記『確認済飛行物体』
SF小話 それ以上ではない
SF度ふつう ★*3
倉田タカシ『紙片50』
これも文芸 ワープロでなくWeb上の.txt文章が新しい のかも知れないがそうかなどうかな峻別技術がすごいのかな 新しい俳句なのかなどうなのか
木下古栗『ラビアコントロール』
これだけではなんとも
八木ナガハル『無限登山』
無限の部屋はむしろ分かった気になってしまいやすそうで 軌道エレベータ登ってくと光速超えるんじゃね?という種のほうが面白いのでは そういう捉え方が逆にSF的かも マンガとしては駄目
SF度数理高 ★*3
新城カズマ『雨ふりマージ』
書きようは新しくあろうとあるのかもしれないが ここまでの(『日下兄妹』除いて)変化球ばかりな中に合ってはまともなSF 『紙片50』と互いに時節素材の持ち具合についてどう捉え合うか聞いてみたいもの
SF度ふいんきふつう ★*3
瀬名秀明『For breath I tarry』
同じくむかしなつかしな感じの短編SF
SF度理屈ふつう ★*3
円城塔『バナナ剥きには最適の日々』
この作者が読める作品を書いているのが驚きな作品
浪漫で叙情な半世紀くらい前のあめりかSFな感じ
この素材だと『2001夜物語』を思い出す
SF度浪漫高 ★*5
谷甲州『星魂転生』
宇宙戦記だぶるおーせぶんないん
この分野はロボットものと並んでまったく受け付けない
面白さがさっぱり分からん SFとはまったく思えない
SF度-極大 ★*3
松崎有理『あがり』
かんじのひらきぐあいがこんなかんじで違和感有り有り
内容は普通
講評にあるように肝心の「あがり」をもう少し際立たせ
短くまとめた方が良くはなるだろうけれど
SF度ふいんきやや高 ★*3
総じて たくさんあったが作品としては良く出来ていてもこの作者がすごい というのはなかった
無難が『日下兄妹』
SFでないけど物語小説として文句なしなのが『箱』
円城塔なのに なのが『バナナ剥きには最適の日々』
といった感想
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上田早夕里「夢見る葦笛」
高野史緒「ひな菊」
森奈津子「ナルキッソスたち」
皆川博子「夕陽が沈む」
小池昌代「箱」
最果タヒ「スパークした」
市川春子「日下兄妹」
田中哲弥「夜なのに」
北野勇作「はじめての駅で 観覧車」
綾辻行人「心の闇」
三崎亜記「確認済飛行物体」
倉田タカシ「紙片50」
木下古栗「ラビアコントロール」
八木ナガハル「無限登山」
新城カズマ「雨ふりマージ」
瀬名秀明「For a breath I tarry」
円城 塔「バナナ剥きには最適の日々」
谷 甲州「星魂転生」
松崎有理「あがり」
「雨ふりマージ」が良かったかな。
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▶脳がもっとも刺激受けるのは多数の作家によるSFの短編集かもしれません(ジャンル分けそのものに意味はないと思いますがいわゆるSFと呼ばれる傾向の短編集)。はるか昔ジュディス・メリル編の『年刊SF傑作選』と『SF・ベスト・オブ・ザ・ベスト』の洗礼を受けて「SFって凄い!」と(SFというよりフィクションの多様性に驚かされ)思考のかたちすらなんらかの変貌があっとも思われるのですがわりと海外の作品メインで国産は筒井康隆さんと小松左京さんくらいしかまともには読んでませんでしたけど国内のSFアンソロジーもと長年思っていたのでようやくそういうのを読みはじめることにしました。すでに他で読んだことある作品も少しはあります。▶読んでみてひとつ思ったのは小説として国産より舶来品の方が大人っぽく、国産でも女性の作品の方が男性のより大人っぽいようだなあということ。
▶この巻の作品についての簡単な個人的メモ
[○]上田早夕里「夢見る葦笛」/歌う異形の生物。
[△]高野史緒「ひな菊」/チェロ、生殖、感染症。
[△]森奈津子「ナルキッソスたち」/自己愛、性、変身。
[△]皆川博子「夕陽が沈む」/指を飼う。
[△]小池昌代「箱」/文を入れておくと名文になる箱。
[○]最果タヒ「スパークした」/量子論的わからなさ。そこが好み。
[◎]市川春子「日下兄妹」/マンガ、高校野球、謎生物、妹。
[○]田中哲弥「夜なのに」/超時空同窓会。
[△]北野勇作「はじめての駅で 観覧車」/鉄道の神話、観覧車と巨人。
[○]綾辻行人「心の闇」/肝臓に「心の闇」が。
[△]三崎亜記「確認済飛行物体」/UFO、恋人、確認後の対応、オチ。
[△]倉田タカシ「紙片50」/期待より普通だったTwitter小説集。
[▽]木下古栗「ラビアコントロール」/『変身』下ネタふう。
[△]八木ナガハル「無限登山」/マンガ、無限と光速の不思議登山、案内人のキャラが好み。
[▽]新城カズマ「雨ふりマージ」/架空人、雨の日に会える少女、L5、シチュエーション自体は好みのタイプ。
[△]瀬名秀明「For a breath I tarry」/消えた恋人、生命、ロボット。
[△]円城塔「バナナ剥きには最適の日」/ちょっと前に読んだけど早くも忘れてた。
[△]谷甲州「星魂転生」/宇宙戦争。
[△]松崎有理「あがり」/自然淘汰、遺伝子淘汰、細胞分裂、あがり現象、星新一さん的オチ。