優しいケダモノ【イラスト入り】 みんなのレビュー

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投稿者：秋野そら　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

マンションで一人暮らしをする藤崎咲也は、対人恐怖症で高校にも通えず、働くこともできない。そんな彼が唯一相手にできるのは、小さな子供。向かいのアパートに住む真琴という１０歳のに惹かれ、自ら心を開いていくが、いけない悪戯を教えてしまい、１年後、罪悪感に耐え切れず、行方をくらませてしまう。
５年後、ミステリー作家となった咲也の家に、突然、大きく成長した真琴が訪ねてくる。過去の悪戯の件でマトモに女が抱けなくなったと脅し、犯しまくる。これは罰だと観念する咲也だが、いつしか快楽におぼれるようになってしまい…。
強姦から始まる恋。そこに心はないはずなのに、勝手に心がついてくる。
いくら対人恐怖症で、大人の男はみんなゴリラに見えてしまっても、相手は知らない仲でない真琴。恐怖はすぐに快感にとってかわり、そこから愛が芽生えるのにそう時間はかからない。
対人恐怖症故に、人とのかかわる方法を知らない咲也に、初めてかかわることの怖さ、楽しさが芽生えてゆく。そして最後は一歩引くことで決着をつけようとする咲也に、もうなすすべのない真琴。二人の苦悩がにじみ出て、切ない気持ちにさせる一冊です。

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投稿者：kaede　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　大事な真琴との思い出を胸に、何とか対人恐怖症を克服し真琴を見習って頑張って強く生きていこうとしてミステリー作家になった咲也だが、真琴は過去の悪戯を引き合いに咲也を言いように抱いてしまう。
　苦手なオトナの男に成長した高校生の真琴はまるで別人のようで、抱かれて身体は反応しながらも罪を償う意識に囚われている咲也。幼い真琴から離れたのは、これ以上一緒にいたら日々愛しさを増す真琴を深く傷つけてしまうと思ったから。だけど真琴は、ショタコンの咲也は育ち始めた自分を飽きたのだと思っている。忘れられてしまうぐらいなら酷いことをしてでも自分のことを覚えて欲しいと咲也を酷く扱う真琴だが、人間、根本はそうそう変わらない。
　咲也が自分のした仕打ちから倒れた後半は、強引に咲也をいいように扱っていた真琴は影を潜め、すっかりしょぼくれた大型犬のようになってしまう。また咲也はそれまで真琴に対する負い目を抱え真琴の言いなりになっていたが、高校生になってしまった真琴をだんだん認識し好意も持ち始めたことを自覚し、だからこそ、そのまま反省する真琴を許すのではなく、傷口に塩を擦り込むように真琴にやられた借りを返すことで自分の中のわだかまりを清算する。
　結果的には新しいスタートを切ることになるが、互いに思い違いから擦れ違い、傷付け傷付き合いボロボロになってしまうところは痛々しく、新しくスタートを切る所で終わってしまっているのが物足りなくもあるが、再出発らしく可愛らしく終わっているとも言えるかも。