しみじみとすばらしい物語
2016/02/23 21:01
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投稿者:さち - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧版に慣れ親しんでいたので文庫版になった時は若干の違和感を持ちましたが、それでもやはり素晴らしいお話。
是非読んでほしい!
2017/09/10 18:56
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投稿者:ぱんだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きな作家さんで、商業誌作品は(たぶん)全部持っていますが、
そのなかでも特に好きな作品です。
絶版になっているのか、もう取り扱いはされていないようですが、
しみじみ、ほろほろ、あたたかい気持ちになれる作品なので、
未読の方には、是非読んでほしいと強く思います。
電子書籍化がされれば、是非。
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文庫版。イラスト今市子。エロさは期待しないでください。すぐ傍らにいることが当たり前だった人が、突然13年分の記憶をなくし11歳の子供に戻ってしまう・・・。一抹の寂しさとじんわりと湧き上がってくるいとおしさが味わえますよ。これは本当に本当にイイです!!
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カテゴリーとしては、記憶喪失…ものなのでしょうか…
初読み作家さんですが、凄く良かったです
BLともJUNEとも言いがたい…
文学作品みたいな雰囲気のある作品でした
傘のエピソードにグッときました…
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記憶の後退や記憶喪失ものはBLではある種の定番。何故記憶に障害が起こったのか、記憶に障害が出る前の人格と、障害に因って生じた人格を、相対する人間がどう接するのかを苦悩する様と、障害を抜けて元に戻る戻り方の妙、と言うのはミステリを読む醍醐味に非常に似ていると思う。なんでも屋の作家・太夏志と、彼の身の周りと取材協力をしている同棲中の恋人でもある詩草。詩草は感動や表情の起伏の薄い、いつも丁寧な言葉で喋る、年齢よりも落ち着いた印象の青年だったのが、伯父の葬儀に実家に戻って帰ってくる道中で記憶の退行を発症して、11歳の、母と暮らしている少年の心に戻ってしまう。太夏志は11歳の内気で繊細で心細そうな詩草にも惹かれる。見た目は大人、中身は子供の詩草に、背徳的な欲望を抱えながらも、それを抑え込んで11歳の詩草の為になんでもしようとする。そして、11歳の詩草も愛してしまう…
文体と言葉の選び方もすんなり頭に入ってくる。必要以上に過剰で劇的でもないし、かと言って素っ気ないわけでもない。文章を積み重ねて繰り返し効果を上げると言う方法ではなくて、その感情を飾るのに最も相応しい一単語を選んで、読者がその言葉の深さを知る、と言う描き方で書かれている。物語を過剰に演出してない。(これは校正のミスだろうなぁ、と言う誤植がちらほら…)
これは詩草の眼差しの小説だ。目は口ほどに物を言うを感じさせてくれる作品。伏せた睫毛の繊細な蠕動が目に見えるようだった。濡れ場は執拗ではないんだけど、汗ばんだ皮膚が接触して痛い、と言う描写がなんとも言えない!!
あの緑の傘を何故詩草が欲しがったのか、詩草の退行の原因、戻ったきっかけなど、解けない謎はあるが、この辺りは同人で書かれているのかなぁ。
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BLかと言えばそうでもなく。JUNEかと言われるとちょっと違うような。
半々の要素があるような。ないような。
恋愛小説と言い切れるほど恋愛でもない。
昭和の匂いがする少し古い感じを受けるけれど、心の問題を取り扱っているので古くて新しいテーマだと思います。
主人公が恋人への持つ「恋情」的な面と「父性」的なのバランスが絶妙です。なんていい男なんだと。
理想の男性過ぎて、魅力があってそのあたりはBLに出てくる理想の男性像なのかなーと。身勝手なところもあるけれど、相手を思いやれるいい男。
そんあ彼から無償の愛情を受けるもう一人の主人も繊細ではかなげで。心に影のある。でも、心の優しい芯の強い人で。やはり理想の人だなーと思います。
主人公以外の登場人物たちの「隣人愛」的な愛情や「親子の情」的な感「家族愛」のような愛情。庇護欲からくる愛情。
いろんな「人へ向ける優しい感情」について丁寧にきれいな文章でまとめ上げられた。「愛情」の話のように思いました。
ただ好きになって恋愛成就して二人は幸せになりました、という話ではないので新鮮でした。
なれそめから、もっと深い情交わせるようになった後日談など。主人公たちの前後のお話を読んでみたいなーと思いました。
あとがきによると、同人誌の形でお話がまとめられているそうです。
何かの機会に読めるといいな。
とても面白かったです。
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切ない。幼児退行してしまった恋人。11歳の精神状態になった受に戸惑う攻。それまでクールで控えめな年下の恋人の過去など知らずにいた太夏志が、詩草の生きてきた背景を知ろうとしながら、子供になってしまった詩草に惹かれていく。
プレゼントの傘などの直接的なエピソードはもちろん、最後の会話での詩草の表情などの語られなかった部分にも、切なさを感じてやるせない読後感。
喪ってしまった子供の詩草に、悔恨とそして決してそれだけではない想いが残る攻の気持ちが痛いくらいに伝わる。
切なくて寂しいけれど美しい物語。哀切ってこういうことなのかなと思った。