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アイザックアシモフのユニオン・クラブ綺談に似た雰囲気の短編ミステリ。ジェノヴァで戦争捕虜として捉えられている,船乗り,仕立て屋,僧侶,貴族という四人の若者に,百万のマルコと呼ばれているマルコ・ポーロが,牢の中での退屈を紛らわせる不思議な話をするという設定になっている。13本の短編からなるが,謎の質は,いわゆる日常の謎系のミステリというよりもっとシンプルであり,なぞなぞやとんちというレベル。ジパングから,一人では収集しきれないほどの金をどうやって収集したのかという謎(第1話:百万のマルコ)などの,たわいのない話が続く。しかし,設定が面白く,キャラクターの造形がうまいので,たわいのない謎ではあったが,楽しく読むことができた。一番面白かった作品は,片膝と片手を床につき,神戸を垂れた姿勢で跪拝せよという指令と,そのような卑屈な態度を取ればその首を打ち落とすという使者の言葉の両方を満たす機転を見せた第6話:半分の半分だった。
面白い…!というほどではないが,小粒ながらそこそこ満足できるデキの作品。★3つで。
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文庫本の表紙の地球儀とタイトル。「マルコは、俺たちをここから連れ出してくれる。」というように、ここから連れ出してくれる。
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うまいよ、柳さん!
マルコ・ポーロが獄中で囚人たち相手に、自分が元のフビライに仕えていた時の話を聞かせるのだが、その話にはいつも謎解きが含まれている…という脳トレみたいな面白さ。
一話ずつはすごく短いのに、すごく充実してる。
解き明かされると「ああ〜」と思うのに、自分じゃ全然わかんないんだよね。
まあだからこそ、私はミステリを楽しめるんだな。笑
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フビライハーンに仕えたマルコポーロ。
ジェノヴァの牢に幽閉され、そこで三人の囚人と過ごすことになる。
退屈に苦しむ彼らに、東方見聞録を聞かせ、一時の脱獄を与える。
法螺吹きマルコの語る物語はいつも肝心なところが解せぬまま終わってしまう。
そこで、三人は知恵を絞るのだが...
マルコポーロの東方見聞録を下地に創作されたミステリだが、ちらりほらりと「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓が見え隠れするのあたりが柳氏らしい気もする作品でした。