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夢野久作の文章はこの時代にしては平易ですごく読みやすい。またドグラマグラと同様古さを感じさせない。面白かった
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姫草ユリ子にそっくりな人間に出会ったことが有る。あまりにも似ていて怖かった。そいつも医療従事者、というか薬学関連の人間である。一読してぞっとした。
「火星の女」大人のエゴに傷つけられる少女。校長先生は大事なものが見えてない。生命の生きられない星、侵略する宇宙人の象徴にされる星、その実は、とても寒くて悲しいものね。
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夢野久作(1889-1936)の短編集。
身内に虚無を宿した少女たちの、その内なる空虚は、何によって埋められていくのか・・・。地獄とは少女たちの内に既に巣食っていたのであって、それがかような仕方で現実の側に現れ出てきたに過ぎない。現代という時代の一つの側面が表れているように感じる。
夢野は、女を畏れていただろうか。収録されているどの作品にも、女に魅せられながら同時に女を畏怖している、そんな ambivalence が透けて見える。
古来より男は、自分勝手にも、女に処女と娼婦の二面性を見出しては、女を無垢と残酷とが綯い交ぜになった不可解な存在として表象してきた。本書に登場するような狂人や倒錯者や殺人者に対して名状しがたい蠱惑的な何かを感じ取ることができるのは、何よりもそれが女であるからだ(或いは人形のように自我を感じさせない無垢な美少年でもいいのかもしれない)。もし仮に、登場人物の女/男を全て逆転させてしまったら、実にチグハグで、もはや物語にならないのではないか。女が放射している(と男が勝手に思い込んでいる)性愛の芳香によって否応なしに自我が翻弄されてしまう男は、女に対して一面では憧憬を他面では憎悪を、しかしその根底には何よりも恐怖を、抱いているのではないかと考えさせられた。
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ドグラマグラと比べたら格段に読みやすいです(笑)
姫草ユリ子さんが知人に似ていた為個人的には後味悪かったです。
殺人リレーは何故か爽快に感じてしまいました。
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1人の看護婦に色々な人が振り回されてく。夢野久作って怖い人間というより人間の怖さをよく描いてる気がする
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企画物だよなー。こっちが満腹気味なのにとことんやってくる。怖い女、嫌な女、みんなまとめて「女性専用車両」に乗っちゃってください(笑)。でも夢野久作レベルの不思議さは世の中にもあるような気がする。
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どれも面白かったけど、特に「火星の女」にはやられました。なぜか「坊っちゃん」を思い出した。ものすごい勧善懲悪。
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見かけたので思わず買ってしまった一冊。どうやら夢野久作が結構好きらしい。
文体もね、かなり好き。この時代の文章としては普通なのかもしれないけどやたら滅多らカタカナが使われてたりするところとか、妙に頭に残る言い回しとか。
表題作「少女地獄」の他に「童貞」「けむりを吐かぬ煙突」「女坑主」が入ってて、尚且つ「少女地獄」は「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三つの話が入ってる短編集。それぞれが短いからあっさり読めた、というのもあるのかもしれない。
「少女地獄」は三つとも全部書簡形式で話が進む。要は一人称小説。過去にあった出来事を書き手が延々と語る、というものだけれど、それに飽きがこないのがすごい。内容が内容だからかなぁ。
暗いというか、えぐいというか、どろどろしているというか。黒いわけではない。漆黒じゃなくって、なんか色々混ざってどろどろしてる、そんな色。
とりあえず、女って怖ぇ、と思わされました。
抜粋。「少女地獄」の「火星の女」より。
どうぞ火星の女の置土産、黒焦少女の屍体をお受け取り下さい。
私の肉体は永久に貴方のものですから……ペッペッ……。
05.06.22
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夏になると必ず書店に並ぶ無料の小冊子を必ず持ち帰り、普段読まない本の開拓に勤しむのが習慣になっていて、それで見つけた1冊。
夢野久作とは、「夢の久作」からきたもので、【夢想家、夢ばかり見る変人】ということだそうです
書店の平積みで「ドグラ・マグラ」をよく見かけていましたが、実際読むのは初めて。書簡体形式で綴られる物語は、終始不可思議ですが、なんだか先を読み進めてしまうような独特の世界観を感じられました。
どの話も、少女の執念や恐怖をじわじわと味わわせる作品。
特に、『火星の女』の女の心中はこの語り口だからこそ静かな恐怖がひたひた迫るような印象を受けました。
実際、現代小説以外のジャンルを読むことがとても少ないので、
まだまだ小説全体の味わいの深みを味わえてないんだろうなあというのが読み終えた感覚。
次は、「ドグラ・マグラ」を読んでみようと思います。
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歪んだ少女たちの物語。
『何でも無い』では、少し前に読んだ『平気でうそをつく人々』を思い出しました。この少女にしても、後の話に出てくる少女にしても、読んでるうちになんだか可哀想になってきます。
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タイトルも強烈ですが中身もすごかった。
特に”火星の女”のラスト一行(というか一言)、本当にしびれます。
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「少女の地獄はいつになっても終わらず」
少女は地獄を見た。
どこまでも続く。
地獄は続く。
死んでも続く。
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難しかった。
作品の紹介
可憐な少女姫草ユリ子は、すべての人間に好意を抱かせる天才的な看護婦だった。その秘密は、虚言癖にあった。ウソを支えるためにまたウソをつく。【夢幻」の世界に生きた少女の果ては…。(
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表題作は、「何んでもない」「殺人リレー」「火星の女」の3つで成る短編。タイトルに地獄とあり、地獄のような環境に少女が置かれているのかなぁと思いながら読んでいたが、どちらかというと少女が自分自身を地獄へ追いやっていくような話だった。
姫野ユリ子は、人を騙して利益を得たり自分の立場を良くしたりというよりも、ほとんど嘘をつくために嘘をついているかのよう。私は読者で事件の渦中にいるわけでもないから腹は立たないし、空想を嘘という手法でげんじつに築いてしまう彼女が何か創作家のようにすら見えてくる。
とはいえ周囲の人間はその嘘の世界に付き合うわけにはいかないし、迷惑を被る可能性もあるのだから野放しにするわけにもいかないのだが、そうすると彼女はその虚構世界を破壊されるしかない。嘘を真実として実現させようなどというムードも一切ないので、手詰まり感と救いようの無さが残る、何とも言い難い後味。魅力的ではあるのだけれど、それだけに不憫。
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「少女地獄/童貞/けむりを吐かぬ煙突/女抗主」の4編を収録。
いずれも怪奇色の強い作品となっています。
表題作「少女地獄」は1編ですが、3人の少女の悲劇を描いた連作。
(最初、すべて繋がっている作品だと思っていたのですが、どうやら別々の作品のようです)
「少女地獄」で一番印象に残るのは虚言癖によって身を滅ぼす女性の話でしょうか。(題:何でも無い)
嘘をつくという行為には、相手よりも優位に立とうとか、心の平穏を得ようとか、色々な意味が出てくると思いますが
この女性は空想を形に変え、嘘によって何を得ようとしていたのか。
私の知人にもひとり虚言症と思わしき女性がいました。
虚言というのは女性にとって非常に近しい心の病にあるようです。
個人的には発想が女性的でも、文章が男目線から見た女性のような気がしてならなかった。
女性の人はこの作品を読んでどう思うのだろうか。
私は文庫を購入しましたが、著作権切れのために青空文庫でも無料で読めます。
興味ある人はそちらでも楽しますのでどうぞ。