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オリジナルを超えたか?
2015/10/10 10:55
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投稿者:JACK2012 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに「新」と付いているところからも分かりますように、本作はオリジナルの「顎十郎捕物帳」を著作権者の了承を得た上で、都筑道夫さんが続編を書いたという成り立ちの作品であります。
で、オリジナルの方はミステリー好きの人たちの間では数ある捕物帳作品の中でも名作という評判が高いのではありますが、一般的にそれほど知名度が高い訳ではなく、捕物帳といえばどうしても「半七捕物帳」とか「むっつり右門」、「銭形平次」といった作品のほうが圧倒的に有名でありまして、一つには映像化により影響と、あとは主人公の違いによるものではないかと思います。
どういうことかと言いますと、先にあげた半七さんや右門さんは男前でありまして、映像化する際にも文字通り絵になる主人公なのですが、それに対して顎十郎さんの方は表紙を見てもらえば分かりますように顔の半分が顎という奇相の持ち主でありまして、また性格もかなり捻くれており一筋縄ではいかない人物となっております。
なにしろオリジナルの方の後半では、主人公は奉行所勤めを辞めて駕籠かきになってしまうという荒唐無稽ぶりでして、すでにその時点で捕物帳じゃないのではとも思うのですが、そんな感じで他の著名な捕物帳作品とは一線を画すような内容となっております。
オリジナルはそういった感じなのですが、さて都筑さんが書いた続編は果たしてその荒唐無稽ぶりを受け継いでいるのかと言いますと、実はそこまでのハチャメチャな展開ではなく、まだ奉行所勤めのままで色々な難事件を解決していくという、思ったよりオーソドックスな印象ではあります。
ただ、謎解きの部分はかなりトリッキーでありまして、ここはオリジナルを色濃く受け継いでいるという感じで、特に「浅草寺消失」や「きつね姫」の真相には驚かされますし、あと「えげれす伊呂波」や「闇かぐら」といった作品には作者が得意とする2重3重の仕掛けがあったりと、こと謎解きの部分においてはオリジナルを超えているのではといった感想です。
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